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長引く入院

2013.04.29 (月)


今週末、次男は外出許可がもらえなかった。

もしかしたら5月中に退院できるかもと思っていたが、このぶんでは長引きそうである。医療チームには私の里帰りの件は話した。

私が留守の間に退院し、通院となると、それはそれで心もとない。夫は事務手続きが苦手だし、予約や薬の手配なども任せられない。

焦って退院させるよりは、もう少し時間がかかってもじっくり治したほうがいいのだろう。ありがたいことに、病院内に学校があって、ハイスクールと打ち合わせしてカリキュラムも組んでくれる。

次男はすでに高校卒業に必要な単位はほとんど全部取れている。それでアドバンスのクラスをやっていたのだが、院内学校ではそのレベルで教えられる人がいないので、落とさざるを得なかった。

発病当初、私は勉強のこと、大学進学のことばかり心配していた。

病状の深刻さがわかっていなかったせいもある。長男より勉強のできる次男のほうがいい大学に行けるし、将来を考えてちゃんとした大学でしっかり勉強してほしかった。ジュニアという一番大事なときに、長期欠席していられない。翌年シニアの1~2学期までの成績で決まるのだ。

その後、医療チームから治療は長期戦になると告げられた。ただし、いますぐ命が危険だという話ではない。

それだけに私はいつ学校に復帰できるか、ずっとやきもきしていた。

長い時間がかかったが、春になってやっと私はあきらめがついた。


        *


夫は、1年遅らせて、もう一度ジュニアをやらせたほうがいいと主張した。

ハイスクールのガイダンスカウンセラーは、次男は友達と同じように卒業できると太鼓判を押してくれるが、大学へ出す成績にアドバンスコース履修の数が減ることとボランティアやスポーツもすっぽり抜け落ちることで、本来なら合格できる大学にも受からないかもしれないという理由である。高校で大学レベルの授業を受けておけば、単位が先取りできるし、大学での勉強にもなじみやすい。

「日本のおばあちゃんのところで1年過ごせばいいじゃないか。次男は長男とちがって、おばあちゃんとうまくやってたんだろう。ギャップイヤーと同じだよ。外国にいたっていうのはむしろメリットになる」と、なにもわかっていない夫は無責任なことを言った。

ギャップイヤーというのは、大学から合格通知をもらっているのにわざわざ入学を1年遅らせることである。その間に、ボランティアや旅行をして、大学生活を始める前に見聞を広めるのだ。学費のために働く人もいる。

治癒してもいつ再発するかわからない。そんな子を80歳の母に任せられない。だいたい次男も会話はできるが、読み書きは小学校1年レベル。田舎で友達もいないところで何をしろと言うのか。母と気が合ったというのも、あの子がたくさん食べるのを母が喜んだだけで、しかも5歳か7歳ごろの話である。ティーンエージャーになった今はどうなのか。

私は反対理由をこれでもかと述べたが、夫はしつこかった。

私には夫の無謀な考えが理解できず、平行線をたどっていた。私はその話題が出ると不機嫌になった。

幸い、医療チームが私の味方をしてくれて、とりあえずこの話は棚上げになった。だいたい、あまりにも先の話だ。それに、病気の治療が優先である。「あまり大学のことでプレッシャーを与えないでください」と医者は言う。

でも、夫はまだあきらめていないと思う。


        *


今の病院は2つ目で、健康保険だけでまかなった最初の病院とちがって州政府の補助が出る。長期治療のための施設なので、そうでもしなければミドルクラスは破産してしまう。

州の管轄部署に支払いの件で電話したとき、入院費は実質1日いくらかかるのか聞いてみた。

「1405ドルです。」

これだけ長くアメリカに住み、私が家のお金のことは全部やっているので、数字を聞き間違えることはめったにない。しかし、このときは聞き返した。金額の大きさにドキッとした。

「1405ドルとおっしゃいました? あの、1日で?」と私。

「そうです。でも、あなたの支払い分はもっと少ないですから。大丈夫ですよ。ざっと計算してみましょう」とお役人にしては親切だ。病気の子を抱える親を相手にする部署だからか。収入によっては無料になる場合もあるという。

「毎月の支払いは、451ドルです。」

「1日当たりじゃなくて、1ヶ月分ですね」と私は再度確認した。

電話を切ると、大きなため息が出た。それなら、1日15ドル(1500円)。払える。おかげで長期入院でもお金の心配はなくなった。1日14万円払っていたら、今頃は1000万円を超えていただろう。


         *


最初の病院でも今の病院でも、「次男くんの病気は、あなたのせいではありませんよ。誰のせいでもないんです」とことあるごとに言われた。

特に最初の頃、医療チームとのミーティングで私はたびたび泣いた。声は出なくて、涙がとめどなく流れた。病院からの帰り道、泣きながら運転したこともある。涙で前が見えなくなった。

唯一打ち明けた姉との電話でも泣いた。姉は次男よりも私の精神状態のほうを心配していた。

私は何年か前に主治医にもう必要ないと言われても、ずっと抗うつ剤を服用し続けて来た。そのおかげで、次男の発病後も極端に落ち込むことはなく、ふだんどおりの生活ができた。

それでも、自分のせいだという気持ちは大きかった。

偏食で繊細で小柄で勉強が苦手な長男にかまけて、勉強ができて体格がよく友達も多かった次男はほったらかしだった。次男が病気になってから、記憶をたぐりよせ、「もしかしてあのときのあれがいけなかったのだろうか」とか「そういえば、あんなこともあった」とか、迂闊な自分を責め続けた。

今も心の中では自責の念が拭い切れない。

あれだけ私を心配させた長男がちゃんと第一志望の大学に受かって、あんなに楽しそうにやっている。

私は心配する相手を間違えていたのではないか

子どもが苦手な私がなぜ二人目を生もうと思ったんだろうと後悔した。それは一瞬のことだったが、なかなかよくならない次男の辛さを想像しては、そんな思いをさせてしまった自分を責めた。私は母親になるべきではなかったのではないかと思った。私にはそういう資質はないとよくわかっていたのに、どうして子どもを生もうと思ったんだろう。

「ぼく、もう家に帰りたい。もうよくなったよ」と言われて、「そうだよねえ。でも、ちゃんと治ってからでないとねえ」としか答えられない日が続く。


         *


次男の発病のことをブログに書いてから、非公開のコメントがいくつか来て、なかにはお子さんを亡くした人もいた。

姉の友達の息子さんが中学で発病して、大学1年生のときに再発して亡くなった。私は親しくなかったので、姉もわざわざ知らせなかったそうだ。次男が病気になってから、初めて姉が教えてくれた。2年前のことだったという。

おそらく次男はこの病気と一生付き合わなくてはならない。

それでも生きてるだけでラッキーなのかなあと思う。

私は年明けに定期健診に行き、なんでも話している主治医のドクターBに、次男のことを打ち明けた。彼女は両手で私の手を包み、「あなたのせいじゃないわよ。きっとよくなるわよ」と慰めた。フランス系の彼女はカソリックらしく、次男のためにお祈りすると言った。

無神論者の私は、お祈りして治るなら医者はいらないでしょとお医者の前で思ったが、サンキューと答えておいた。

夏に飛行機に乗るかもしれないと言って、パニック障害のための薬を処方してもらった。前に出してもらったのはすでに期限が切れていた。墜落が不安なのでなく、高度が下がるときの吐き気対策として服用する。

ドクターBは、「飛行機に乗らなくても、必要になったら飲みなさい」と勧めた。その頃はまだ次男の病気が受け入れられず、私は危なっかしく見えたのかもしれない。でも、まだ一度も飲んでいない。

明後日には、また医療チームとのミーティングがある。



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 |  子ども  |  コメント(1)

Comment

 はじめまして

 たまたまアメリカ料理(多分)検索していたらここに辿り着いたのですが、全部は読んでいないので次男さんの病気の事はあまりわかりませんが、私も日本で病気で長期入院したので勉強が中断してしまったほうです、友人達は亡くなった人もいるし、病気を第一に考えたほうが良いかと思われます、80歳の祖母には無理ですよ、ヘタしたら次男くんがおばあちゃんに何かあった時共倒れになりますよ。
 リリコイ |  2013.05.02(木) 00:37 | URL |  【編集】

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