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やれやれボストン

2013.04.21 (日)


月曜日の夕方、ボストンマラソンのゴール付近で連続爆発があったというニュースを聞いた。

長男の時間割を見ると、授業中だった。マラソンには縁のない子なので、大丈夫だろうが、爆発の映像は強烈である。

ふだんは授業時間に連絡しないようにしているものの、緊急時とて短いテキストを携帯に送ると、思いがけずすぐに返信があった。

"Daijobu." 

授業中なのに携帯をつけていていいんだろうか。

なんの気なしに、マラソンのコースを調べると、爆発の起きた場所は長男がよく行くキャンパスに近い。案外のんびり授業を続けるんだなと思った。

そのときは知らなかったが、当日はマサチューセッツ州の休日で、大学も休み。長男は寮にいた。

アメリカでは州によって特別な祝日がある。日本のように全国統一の祝祭日で育った私は、いつまでたっても慣れない。


       *


いったいどういう馬鹿がこんなことをするのだろう。

素人っぽい爆弾だというから、アルカイダではないのか。オクラホマの連邦ビル爆破のような、反政府主義アメリカ人の犯行か。ボストンは大学町だから、テッド・カジンスキーみたいな半天才・半狂人タイプか。

私はのん気に想像していたが、事態は深刻だった。

空港は閉鎖、現場近くでは避難命令が出たり、ヘリコプターが上空を警戒したり、このところアメリカ国内でのテロはなかったのに、事件のスケールや衝撃度は違えど、また9/11に引き戻されたような気になった。

長男がどこの大学に行くかを決めたとき、ボストンのほかにマンハッタンやフィラデルフィア、シカゴも候補に入っていた。

NYはなんといっても9/11の現場だし、街そのものは昔にくらべて治安はいいものの、テロの格好の標的であることは変わりない。フィラデルフィアはすさんだ地域があるし、シカゴはサウスサイドという危ないところもある。

長男の第一志望はボストンで、キャンパスはケンブリッジにもあり、一番安全そうだった。

ツインタワーに突っ込んだ飛行機はボストンのローガン空港発で、テロリストのセルはあるかもしれないが、地元での被害はなさそうに思えた。

私の一番の心配は、ノーと言えない長男が悪い女にだまされやしないかという他は、ぼんやりうっかり長男が車にひかれやしないか、雪道で転びやしないかというものだったのである。


         *


2日ほどして、容疑者の映像が流れた。

監視カメラから分析したもので、画像は荒いが、よくまあ見つけたものだ。

こういうときのFBIやCIAの仕事ぶりにはいつもながら感心させられる。ふだんは、気の利かないスーパーの店員やいい加減な芝生管理会社の作業員などが標準で、もはや腹も立たず、期待もしない。

だから、事件が起きてテキパキと対応する当局が頼もしく、「やればできるじゃないの!」と褒めたくなるのだ。アメリカは平時は適当すぎてだめだが、有事の際には底力を発揮するようにできているのか。

献血も集まりすぎるほど集まり、間に合ってますと赤十字がPRしていた。さすがカレッジタウン。活きのいい血液がたっぷり集まっただろう。

それはともかく、容疑者はどこにでもいそうな白人だった。大学の街ボストンにはそれらしき若者が何万人もいる。なかなかつかまらないだろうという気がした。

そのうちブログに書こうと悠長に構えていたら、現実は待ったなしだった。


        *


翌朝、目が覚めてラジオをつけると、事態は急展開していた。

容疑者二人はケンブリッジのコンビニで強盗、カージャックをして盗んだ車で逃走、MITに配属されたばかりの若い警察官が巻き込まれて死亡。

そして、容疑者二人は兄弟で、兄は警察との銃撃戦で死亡したが、弟は逃げてしまい、警察が追跡中と報道された。

撃ち合いのあったウォータータウンは、うちからボストンへ向かうハイウェイで見かける地名だ。どこだっけとグーグルマップを見ていたら、ボストンの地下鉄もバスもすべて運行中止という前代未聞の措置が取られ、住民は外出禁止になった。ドアを施錠し、窓から離れろと繰り返す。警察がしらみつぶしに調べていく。大学もビジネスもすべて休業。

まるで、できの悪いB級映画である。

とりあえず長男に「寮から出ないように。ドアはロックするように」と念を押した。長男は「わかってる。だいじょうぶ。食べ物あります。学校のすぐそばで、拳銃の音がしてた」とおっとりテキストしてきた。しかも、前日には夜中の2時に、大学構内の自動販売機でスナックを買っているのだ(大学発行のキャッシュカードの記録にある)。おやつの心配をしている場合か。

一軒家を改造した寮なのでこじんまりしているが、それでも20人はいるだろう。ルームメイトのジョンもおっとりタイプ。しっかりした女の子たちが頼りである。


         *


容疑者兄弟はチェチェン出身だった。そういえば、監視カメラに映った彼らは、目元が濃かった。

ものすごい勢いで、いろんな情報が公開されていった。

容疑者兄弟のSNSや高校時代の友達、メリーランドに住むおじさんや、病気の治療でロシアに帰国中の父親、ニュージャージーに住む姉など、続々と関係者が浮上した。ほんの1年前と比べても、伝達スピードは格段に速く、範囲は広く、また情報量は何倍も多いと思った。

彼らの住んでいたアパートの住所を検索すると、長男のいる寮からもそう遠くない。そんな近くで爆弾を手作りしていたとは。

一番安全そうだったボストン、ケンブリッジでこれである。

私が何度か訪れて、歩き回った街に、装甲車が走り、武装した警察官や特殊部隊が銃を構えるシュールな映像が流れる。

こんなとき、急に産気づいた妊婦はどうするんだろう。命がけで病院へ向かうか、装甲車に乗せてもらうか、だめなら自宅で出産か。ブリザードのときと同じく、私はそんなことが気になる。

現場中継では、シェパードが何度も映った。警察犬の鼻で追跡すればすぐ見つかるだろうと思ったが、そうではなかった。

これがニューヨークや東京だったら、果たして地下鉄やバスを止めて、会社も学校も閉鎖して、自宅から一歩も出るなという戒厳令が実行できるだろうか。ボストンといっても、いまや犯行現場は郊外だから、町全体の封鎖もできないことはないのか。

うちみたいに、もう少し田舎だと、森も湖もあるし、封鎖しても抜け道がいくらでもありそうで、どっちにしてもボストン市の思い切った決断はすばやく、徹底的だったと、これまた妙に感心した。


         *


もう容疑者は他の町へ脱出したかもしれない、これは長期戦になるかもしれない、長男はどれくらい食料を持っているだろうかと考えていたら、また進展があった。

容疑者はつかまっていないのに、外出禁止令が解除された。

どうもよくわからないが、そういつまでも町全体をロックダウンしておけないということか。

しかし、この事件は急展開を続け、警察は容疑者の居場所を限定できたらしく、道路の名前が報道された。ここは撃ち合いにならず、生きたまま逮捕してもらわねばならない。

怪我を負った弟は説得に応じたのか投降し、病院に収容された。

(弟はある家の裏にあったボートに隠れ潜んでいた。皮肉にも、外出禁止令が解除されたあと、その家の人がボートへ続く血痕を見つけ、ボートのシートをはずしたら血まみれで、警察を呼んだという。警察犬でも匂いをたどれなかったのはなぜだろう。)

ほかに共犯がいる可能性もゼロではないが、ともかくこれで事態は収拾し、地下鉄も動き出した。

容疑者の母親のインタビュー音声を聞いた。流暢な英語でしっかりした話しぶりだったので、てっきり通訳の声かと思ったら、本人だった。チェチェンで弁護士をしていたと聞いて、合点がいった。彼女は息子たちは誰かにはめられたと主張している。

19歳といえば、長男とほぼ同い年。世間に顔向けできないようなことだけはしてくれるなとあらためて思う。


          *


ところで、世界の地理に弱いアメリカ人。

容疑者がチェチェン生まれというニュースで、なぜかチェチェンとチェコを混同する人たちが現れ、駐米チェコ大使が地図を出して説明する羽目になった。人種も場所も発音もまったく違うのに、いい迷惑である。

アメリカのサイトでは、今回のテロで初めてチェチェンの独立紛争やロシアとの関係を知ったというコメントもしばしば見かけて驚いた。

たとえばアフリカの部族闘争についてなら私も無知なので偉そうなことは言えない。しかし、チェチェンはメジャーだ。モスクワの劇場を占拠したのも、ノース・オセチアの小学校占拠もチェチェンの独立派がかかわっていたのは周知の事実だと思っていたし、アメリカのメディアでもよく報道されていた。

どこをどうやったら、Czech Republicと Chechnya がいっしょになるのか。

これでは、中国と日本を混同する人がいても不思議ではない。

そして、容疑者逮捕のニュースに街中で"USA! USA!"とオリンピックで応援するようなシュプレヒコールが上がったのにも、別の意味で驚いた。

確かに警察もFBIもよくやった。市民も団結、協力した。容疑者の生け捕りという最善の結果だった。しかし、何人も死んで重症者も大勢いる状況で雄叫びという感覚は、私にはない。

いつか市民権を取っても、あんなシュプレヒコールは自発的に出ないだろうと思った。


<今日の英語>

That's unfortunate..
そりゃ残念だったね。


先日見つけて気に入ったスナックlentil chipsがスーパーに売っていなかったことを夫に告げたときの返事。



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 |  社会  |  コメント(1)

Comment

こんにちは

いつも興味深く読ませていただいています。

息子さん、ご無事で何よりですね。

容疑者が捕まって一安心ですが、私は複雑な心境です。

バーで容疑者捕獲を祝う人々、アメリカ国旗を掲げる人。ちょっと何を勘違いしてるの?と思います。
容疑者は外国人で、どんな理由があっても許されないことをした。それは事実です。
だけど、あそこで祝う人たちは、アメリカという自国の意味も理解してないんじゃないかと思いました。
容疑者たちを含め、私たち外国人のほうが、アメリカという国がよく見えてる気がするのは私だけでしょうか?
Erina |  2013.04.24(水) 05:16 | URL |  【編集】

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