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巣立ち その2

2012.10.08 (月)


巣立ち その1 の続き)

市営駐車場に車を停め、大学へ戻るために夫と歩き始めた。

いつもどこへ行くにも車という生活をしていると、路を歩くのが新鮮に感じる。ボストン・ケンブリッジ辺りは歩くのが前提のようで、歩道が充実している。こういうところに住めば自然と運動ができるのだろう。

うちの近所の人たちは、わざわざハイスクールまで(車で)出かけて、楕円形のトラックをぐるぐる歩いたりする。私にはそれがどうにも空しく思える。出無精な私は、どこに住んでも同じか。

しばらくして私の携帯が鳴った。ルームメイトのジョンが到着して、付き添ってきた彼の叔父さんといっしょに何か食べに行くという。

「私とダディも行くわよ。ルームメイトに会うために来たんだもん。」

叔父さんという人はボストンに何度も来たことがあるらしく、Veggieなんとかというお店だという。ルームメイトもベジタリアンなのだろうか。

しかし、長男はまだ土地勘がなく、携帯で指示してもらいながら、蒸し暑いのに延々と歩いた(と思ったが、実際はたいした距離ではなかった)。

そして、ようやく合流して、いかにも若い人向けといった、地下にある小さなお店に入った。野菜だけではなかったが、豆腐でつくったクルトンだの、聞いたこともない穀物だの、粗末なテーブルと椅子、プラスチックのコップなど、私と夫だけなら絶対に選ばないような場所である。見渡すと、周りは学生か研究者タイプだけで、夫と私だけが場違いだった。


         *


その後、みんなで大学へ戻り、長男とジョンは荷物を整理するために寮へ、彼のおじさんはそのへんをぶらぶらするらしい。

歩きつかれた私と夫は、4時のセレモニー開始まで大学のカフェテリアで時間をつぶすことにした。

手持ち無沙汰で、「寮をもう一度見に行ってもいいかしら。慌しくて、長男の部屋もじっくり見てないし、バスルームなんかどうなってるのかしら」と私は言い、夫はまた「ノー。ジョンと2人でできるよ。きみが行く必要はない」と阻止する。

ノートにビジネスプランなど書いている夫を置いて、私は散歩に出た。駐車場は方向音痴の私でもすぐわかり、記憶をたどって車にたどりついた。そして、座席においてあった文庫本をかばんに入れた。ふと見ると、新品のマウスウォッシュが後部座席に落ちていた。

長男の忘れ物である。初日からこれでは先が思いやられるが、これで寮に行く口実ができたと私はほくそ笑んだ。念のため、長男に携帯で連絡してから、寮に向かって歩き始めた。

どこも5分で行けるくらい、こじんまりしている。長男の寮は新入生向けなのか、いくつかあるキャンパスのすぐ向かいにある。1階はカフェテリアなので、朝ギリギリまで寝ていても、走って3分で食事にありつける。


           *


部屋のドアをノックすると、長男がドアを開けた。

「はい、これ」とマウスウォッシュを手渡し、荷物が広げられた部屋をちらっと見渡す。ベッドの上にいたジョンに「ハーイ」と手をふり、「じゃあね。あとでセレモニーに行くから」と長男に言って、ドアを閉めた。

そうして、他の階もバスルームの中も見ずに、カフェテリアに戻った。

私がいては、長男が恥ずかしいだろうと思った。ジョンは1人でやっているのである。それに、私は黙ってみているタイプではない。ぜったいに口出しをする。「それは、ここにしまったほうがいいんじゃない? 冷蔵庫はそっち側のほうが便利じゃない?」などと指示をして、長男に「もう出てって」と追い出されるのが落ちである。

夫に「車に本を取りに行ったら、マウスウォッシュがあったのよ。いま、届けてきた。二人で部屋を片付けてたわ」と報告すると、「寮に行ったのか」と半ば呆れていた。

「だって忘れ物があったんだから、しょうがないじゃない。それにすぐ出たわよ」と自己弁護する私。



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