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Wolves Eat Dogs

2012.03.27 (火)


マーティン・クルーズ・スミスのWolves Eat Dogsを読んだ。

1ヶ月ほどまえに夫から渡され、何回か手に取ったが2章で止まっていた。話の進み方が遅くて食いつきが悪かったのを、昨日と今日で一気に読み終えた。

つまり、そのあいだは家事はいつも以上に手抜きということであるが、これは夫が持ってきた本だ。夫は私がいやいや台所に立つより、自分が薦めた本を熱心に読むほうがうれしいタイプ。

夫が本好きでしかも捨てられない人なので、うちには英語の本ならお店が開けるほどある。

スミスの本は何冊か日本語にも翻訳されているようだが、私は読んだことがない。名前も知らなかった。

私はもちろん日本語のほうが楽だし、日本語の本を読みたい。

でも、手持ちの本は限られている。カリフォルニアで買ったのも実家から送ってもらったのも全部読んでしまった。同じ本ばかり読み返すのもつまらない。

日本語の電子書籍事情はよくわからないのだが、日本のアマゾンには、アメリカのアマゾンみたいにPCにダウンロードできるKindle Editionという選択肢はない。いつになったら、日本語の本を気軽にネットで読めるようになるのだろうか。

ドルは弱く、郵送料は高い。

しかも、本屋で手に取ることができないので、書評が頼りである。わざわざ取り寄せたのに失望したケースも少なくない。おのずと慎重になる。


        *


夫がたまに聞く。

「ぼくの持ってる本で、どれがおもしろかった?」

夫の本棚には小難しい本もあるが、pulp fictionと呼ばれる三文小説、空港の売店で買って機中で読み捨てるような本もずらりと並んでいる。サイエンス・フィクション、ファンタジー、ミステリー、歴史ものなど。

私は日本語でもそういう本は手に取らないのだが、たまにおもしろいのもあって、寝る時間も削って読んだりする。Page-turner(読み始めたら止まらない小説)なので、文学性は低い。単なるエンタテインメントである。

夫のこの質問には何度も答えているのだが、昨今あちらの記憶力も私と同じくらい怪しい。

数年前、夫が子どもたちをつれてカリフォルニアに行っている間、何の気なしに手に取ったのがThe Grid.

舞台はロサンゼルス。すべてコンピュータ制御されたハイテクなビルが完成間近なのだが、ソフトウェアの異常で建築関係者や警備員がビルに閉じ込められてしまう。エレベータを開かないようにしてしかも空調を冷凍庫並みにして凍死させるとか、トイレを密封して清掃のための水を出しっぱなしにして溺死させるとか、いろんな方法で殺されていく話。

コンピュータは、脱出しようとした社員に彼の友人のふりをして話しかける。社員は信用していいのかわからない。やり取りの末、「神は存在するか?」という質問を投げかけ、コンピュータの仕業だと見破る。

テクノロジーに詳しい人にはありえない設定らしいが、わくわく楽しく読め、私にしては珍しくあらすじを覚えている。


          *


The Gridか。じゃあ、これだな」と夫が持ってきたのが、同じ作者フィリップ・カーによるA Philosophical Investigationと今回読んだWolves Eat Dogs.

やっぱりロシアの話にしようと、後者を選んだ。

The New York Times Bestsellerと書いてあるが、あのリストにはダニエル・スティールだって載るのだから、当てにならない。

モスクワのペントハウスから、ロシアのオリガークである元物理学者パーシャ・イヴァノフが投身自殺を図った。手にはソルト・シェーカー。彼の部屋のクロゼットには、大量の塩。

刑事アルカディ・レンコはただの自殺ではないと調査を始め、上司に睨まれる。

1週間後、イヴァノフの右腕だったティモフェーエフが、チェルノブイリにある墓地で他殺体で見つかる。

   【注: 結末を知りたくない人は、ここから先を読まないように

刑事レンコは体よく現場へ飛ばされ、原発事故から20年経ってもまだお守りをしている原発労働者、研究員、警備関係者らから情報を得ようとするも、行き詰まる。

研究所のボスは、アレックス・ゲラシモフ。彼の元妻であるエヴァは医者。彼女は、慣れ親しんだ土地に舞い戻ってきた老人たちの健診をしている。

レンコは、ティモフェーエフの死体を発見した若い警官カレルを突き止める。イヴァノフのクロゼットに塩を運び入れたのは彼だった。しかも、その塩にはセシウムが混ぜてあった。カレルは内部被曝してしまい、瀕死の状態にある。

すべての黒幕はアレックス・ゲラシモフ所長。

彼の父親フェリックス・ゲラシモフは、原発事故当時モスクワの責任者だったが、酔いつぶれていて、部下だったイヴァノフとティモフェーエフに処理をまかせた。現場から届いたのは、「だいじょうぶです」という虚偽の報告。イヴァノフらも自己保全のために隠蔽を計る。

フェリックスが事態を把握したときは、すでに遅し。

何も知らない住民は、メーデーのお祭りのために戸外で過ごし、ソ連政府が避難勧告を出した頃には大量の放射能を浴びていた。

フェリックスはそれ以後、毎年メーデーになると良心の呵責からアルコールに逃げ、さらに責任者として当局に連行されている間に糖尿病の治療ができずに両足を切断しなくてはならなかった。

ソ連崩壊後に億万長者となったイヴァノフとティモフェーエフに対して、アレックスが父親の復讐をしたということになるのだが(2人とも死ぬ前に内部被曝させられていた)、動機としてはやや弱い。だいたい酔っ払っていた当人の責任はどうなる?

舞台が大きいので、壮大なクライマックスを期待すると、がっかりする。


        *


刑事レンコは、女医エヴァと懇ろになるのだが、嫉妬に狂ったアレックスに邪魔される。

アレックスがイヴァノフらの死を仕込んだと知ったレンコは、彼に撃ち殺されそうになるが、カレルの姉が現れて危機一髪で助かる(これは都合がよすぎる)。

エヴァとレンコがくっつくだろうという予感はある。しかし、彼がエヴァの家にいきなり押しかけてベッドに倒れこむ場面は取ってつけたような感じがした。

そこにいたるまでの2人の関係がちゃんと描かれていないせいである。

エヴァの魅力もいまいち伝わらない。

また、レンコはモスクワの孤児院にいる男の子ゼニャの世話を押し付けられているのだが、この子は一言もしゃべらない(最終章を除く)。なぜか童話(たとえば、ババヤガというロシアの魔女の話)とチェスを抱えている。

作者はババヤガを一種のモチーフにして、孤児院の院長を困らせる少年にレンコが電話で創作童話を聞かせてやる場面が何度が出てくる。あれは、ロシアらしい雰囲気を出すのに一役買っている。

このほか、レンコの同僚刑事ヴィクトルや、ユダヤ系アメリカ人ホフマンと彼の連れであるユダヤ老人(死者のための祈りその他、ユダヤの話が絡まる)、ロシア・マフィアのボス、チェルノブイリで狩猟した動物を剥製にするのが趣味の老人とその孫娘(彼女の弟カレルが、墓地での死体発見者。レンコの命を救うのは彼女)、カレルに従うスケボーに乗る兄弟など、アミダくじのように話が広がり、誰がどう関わってくるのかさっぱりわからなくなる。

それがミステリなのだろうが、もう少し練るべきである。あまり意味のないサブプロットがうっとうしい。

題名になっている「狼が犬を食べる」もたびたび引用されるわりに、こじつけに思える。

政府の勧告に従わず、チェルノブイリに戻ってきた老夫婦一組と老女が3人。昔ながらに、畑を耕して野菜を作り、牛や豚を飼って生活している。お酒を作り、歌い、踊る。

周りの家は朽ちていくばかり。赤い森と動かない観覧車と石棺。

物語は、レンコがモスクワからゼニャとエヴァを伴って、老夫婦を訪ねるシーンで終わる。

豚の喉を切り、逆さづりにして血を出してから丸焼きにする。その豚には名前もつけて飼っていたのに。私は肉を食べないが、私みたいなヤワな神経ではロシアの田舎に遊びに行けそうにない。

豚がどれくらい放射能で汚染されているかという話は出ない。


        *


この作品はシリーズなので、レンコと孤児ゼニャの関係については前の作品に成り行きが出ていると思われる。

「これより、有名なGorky Parkを先に読むべきだったんじゃない?これまでレンコが何をしてきたかわからないじゃない」と夫に言うと、

「いや、それは関係ないね。それに、あいにくその本だけうちにないんだな」とやぶへびであった。

「いいの、いいの。買わないで!図書館で借りるから!」と私。

「あれを買えば、シリーズが揃う」と夫。夫の前で、あの本が読みたいなどと言ってはいけないのである。

しばらくして、夫がまたやってきた。

「次はこれなんかどう? 薄いよ」と私にThree Stationsを手渡す。刑事レンコのシリーズである。

私はレンコにそれほど興味はない。クリーシィの魅力には到底及ばない。

あっちもパルプ・フィクションではあるが、キャラクターに思い入れがないとシリーズで読んでもおもしろくない。たくさん読めば愛着がわくのかもしれない。しかし、いくら私でもそうそう寝転がって本ばかり読んでもいられない。

「とりあえず、もらっとくわ」とベッド脇に置いた。

この本は、どうしても家事をやりたくない日の大事な助っ人となるのである。


<今日の英語>   

I'm oblivious to the score a lot of times.
スコアに気づかないことが何度もある。


相手にマッチポイントがあったのを知らなかったので、それほどプレッシャーを感じずに接戦を勝ち抜くことができたというヴィーナスの一言。



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