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崖っぷち

2012.03.16 (金)


いつもの歯医者へ、今年最初のクリーニングに行って来た。

保険は年2回しか払ってくれないのに、私は3ヶ月に1回来いと言われている。それでも歯だけは何ものにも代えられないので行く。

もう10年以上診てもらっているドクターCは、Periodontist 歯周病専門医。

出無精でケチな私が、家から高速を飛ばして30分かけて通う価値があると認めるくらい、有能である。

子どもが生まれるまでは、歯が痛くなってやっと歯医者にかけこみ、クリーニングは年1回行けばいいほうだった。

もともと私は歯が弱く、子どもの頃から苦労した。母もそのまた母も歯が悪かったらしく、遺伝かもしれない。そのうえ母は歯科衛生の概念に乏しかったので、小さかった私が寝つけないでぐずると、よりにもよって砂糖水を与えたのである。

大学に入るまでは、デンタルフロスの実物を見たことすらなかった。

それがアメリカに来て、「輝くように白い、まっすぐに並んだ歯」がどれだけ重要かを実感し、ドクターCに会って歯のメンテナンスについてコペルニクス的転回が起きた。

痛くなる前に歯医者に行くことだ


               *


私の歯並びはそう悪くなかったが、ドクターCのところで下の前歯だけ矯正した。

それ以外にも、Gum Graft 歯茎移植 やRoot Canal 根管治療 などいろんな処置をしてもらい、私はドクターCに全面的な信頼を置いている。もし引っ越すなら、この歯医者に通えるところでなければと半ば本気で考える。

そういう歯医者さんなので、歯科衛生士も粒ぞろい。

ただし、あの仕事は腰に来るらしく、数年すると新顔が現れる。歯科衛生士を指名する人もいるが、私は「誰でもいいです」と受付で言う。たまに、おしゃべり過ぎる女性だったり、いまひとつ荒っぽいやり方だったりすると、「次回は他の人がいいなあ」と思う。

このごろは、もし指名したいときのために、歯科衛生士のファーストネームをしっかり覚えるようにしている。

今回の担当はスー。まだ小さいお子さんがいるという。

おしゃべりは適度で、手際がよく、とても丁寧だった。ガリガリやられても痛くない。私の質問にも詳しく答えてくれる。4枚レントゲンを撮ったが、いつもほど不快ではなかった。これからは彼女にしようと、名前を頭に叩きこむ。


            *


クリーニングの前に歯周ポケットの深さを調べていたスーが言った。

「ほとんど問題ありませんが、上の一番奥だけ両側とも4ですね。」

4?! それは相当ひどいっていうことじゃないですか」と落ち込む私。

「ふつう1から3までが正常です。でも、この程度の4なら十分回復しますよ。2ヵ所だけですし」と彼女はポジティブに持っていこうとする。

しかし、ポケットは4段階で、4が一番深いんじゃなかったか? 初めてドクターCのところに来たとき、私の歯はスケーリングが必要なほどで、確か4があちこちにあったはずだ。

「ポケットの深さは1から4までですよね?4が一番悪い状態で」と聞いてみた。

「いいえ、9までありますよ。これが深さを測る道具なんですけど」と先のとがった金属の棒を見せてくれた。

細かい横線がいくつも入っていた。単位はミリメートルらしい。なぜかこういうところはアメリカでもメートル法になっている。

そうか、9が最悪なのかと勉強になったものの、私にとっては4だって崖っぷちである。

前回のチェックアップで、別のところにあるクラウンの手入れがよくないと指摘され、そこに集中していて、上の奥歯がおろそかになったのかもしれない。クラウンのところはバッチリできていたのだ。

「そうですね。ときどき、そうやって患者さんを脅かすと効果があるんですよ」とスーは笑った。


            *


ドクターCがチェックアップにやってきて、「Good, good. 骨がしっかりしてますね」と私のレントゲンを指差してほめてくれた。白っぽい影で見分けがつかない。毎日飲むカルシウムのおかげだろうか。万が一インプラントが必要になっても、どうにかなるかもしれないと希望が持てる。

おみやげ(フロスとスレッダー)を渡しながら、スーが言った。

「いちばん大事なのはフロスだと私は思ってます。とにかくフロス。Cの文字みたいにして。あとはやわらかいブラシを使って優しく磨くことですね。」

ほとんど自宅にいる私は、歯の手入れをする時間も機会もじゅうぶんにある。「もう後がない」と自覚しているので、めんどくさがりの私にしては真面目にやっている。それなのに、4ミリのポケットができてしまうのだから、やり方が下手なのか、そこまで私の歯はだめなのか。

しかし、医療費の高いアメリカで歯にトラブルが起きると、それこそ百ドル、千ドル単位でお金が飛ぶ。予防しかない。

スーによると、年を取るにつれてバクテリアへの抵抗力がなくなり、持病あるいは服用薬が増えることで歯にも悪影響が出るようになるのだそうだ。

本来、人間の歯は80年、90年も持つものではないと聞いたことがある。インプラントなど新しい技術ができても、骨や歯茎の土台が弱ってはどうしようもない。

歯がなくなるなら、長生きしてもうれしくない。

私は食べることが楽しみなのだ。


          *


日本には80歳で20本の歯を残そうという運動がある。

ウィキペディアによると、2005年の調査では、80歳での残存歯数は約10本、80~84歳で20本以上の残存歯を持つ者は21.1%だった。

アメリカの高齢者はどうだろうか。

8020財団のページに統計があった。アメリカには8020運動はなく、調査内容も違うので、一概には比べられない。それに1980年代後半から90年代の数字なので、データが古い。

それでも、65~74歳では、未処置歯数はアメリカのほうがだんぜん少ない(アメリカ0.7本、日本2.3本)。喪失歯数もアメリカ10.1本、日本14.3本で、アメリカ人のほうが自分の歯を残せている。

さすがにアメリカのほうが意識が高いなと思ったら、こんなデータもあって驚いた。

65~74歳で無歯顎者(歯が1本もない人。漢字で書くと怖い)の割合は、アメリカ36.9%、日本30%。歯が1本もない人は、アメリカ人のほうが多かった

ただし、75-79歳では、アメリカ45%、日本49%。80歳以上 では、アメリカ46%、日本59%。年齢が上がるほど、日本人のほうが多くなる。


          *


アメリカでは65歳以上の高齢者向けにメディケアという公的保険がある。しかし、歯科は適用されない(顎の損傷で手術するなどの特例があるのみ)。

私費で歯科保険にはいっていなければ、予防のためのクリーニングや簡単な詰め物やブリッジ、インプラントにいたるまで、全額自費である。

それでは歯医者から足が遠のくはずだ(アメリカで歯科保険を持っていない成人は、4500万人もいる)。

歯を見れば、その人の懐具合がわかると言ってもいい。

そういえば、それほど年を取っていないアメリカ人でも、歯が抜けたところをそのままにしている人がたまにいる。歯の保険がないのか、あっても自己負担分が払えないのか。

それなのに、マニキュアをべっとり塗って、安物のアクセサリーをゴチャゴチャつけたりしていると、「そのお金で歯を治せばいいのに」とおせっかいなことを思う。

医療保険制度改革法案では、21歳までの子どもに関しては歯科医療がカバーされる。大人には何もない。22歳以降、自分の歯は自分で面倒見ろということか。

アメリカでは健康もお金で買うのだとつくづく考えさせられる。


<今日の英語>   

Are you having fun yet?
楽しい?


歯科衛生士がクリーニングの途中で私に言った皮肉な一言。



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 |  医療  |  コメント(2)

Comment

アメリカでは化粧品やアクセサリーは安いものがたくさんありますから。
その分使わないで貯めたとしても、歯医者さんのクリーニング一回分にも足りません。
良い保険をお持ちの方にはきっと想像がつかない現実です。
BAKE-O-RAMA |  2012.03.17(土) 00:30 | URL |  【編集】

本当に

kometto3さんと同年代の者です。kometto3さん同様、私も生まれつき歯が強い方ではない上(母も若い頃から歯が悪かったよう)、デンタルフロスにはNYに来た20代半ばまで全く縁がありませんでした。結果、小学~高校までの歯科検診では何かしらの虫歯がみつかることが常で、成人するまでに歯科治療をさんざんやったクチです。

NYに来て以来ずっとお世話になっている歯科医にフロスの大切さを強く説かれ、かなり真面目にフロスをするようになり早くも四半世紀、滅多に虫歯にならなくなりました。今ではお気に入りのフロスをいつもストックして、切らせないようにしています。

この歯科医さんは定期クリーニングさえ歯科衛生士に任せず、ご本人がとっても丁寧にして下さいます。信頼できる腕の良い歯科医に巡り会えたことは、とても幸運でした。

それにしても高いですよね、アメリカの医療費。歯科医療費もホントに恐い位高いです。でも、kometto3さんと同じく、予防に勝るものはないとばかり、年に二回は定期検診とクリーニングに行っています。歯だけは一旦悪くなったが最後、自然治癒はありませんから。

そうそう、私の歯の中には30年くらい前に治療・詰め物(金!)がされたものもあるのですが、私のNYの歯科医さんに「とてもきっちり治療されている」とお褒めの言葉をいただきましたよ。今のところ大丈夫のようです。いつかはダメになってやり直す必要が出て来るのでしょうが。


Manhattanite |  2012.03.17(土) 09:53 | URL |  【編集】

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