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ケンカに聞こえる日本語

2011.10.09 (日)


カリフォルニアの義父母宅に滞在したときのこと。

夫と長男は書斎でパソコンをし、私と次男はゲストルームでしゃべっていた。

何の話だったかよく覚えていないくらい、どうでもいい内容だった。おそらく、猫はどうしているだろうかとか、あの本を持ってくればよかったとか、日本のスーパーで何を買おうかとか、英語でいうところの単なるchit-chat(雑談)である。

うちはみんなおしゃべりなのだが、特に次男は小さい頃から、のべつ幕なしにしゃべっていた。おしゃべりだと思っていた長男がおとなしく見えたくらいで、それはティーンエージャーになってからも変わらない。

おしゃべりな性格は彼らが日本語を覚えるのに役立った。語彙が少ないのも、つっかえるのもお構いなく、私には日本語でしゃべりまくる。

そろそろ「はぁ?」「別に…」くらいの愛想の無い受け答えをする年頃だという予想は、みごと外れた。

そういう次男と話をすると、私はいつも以上に早口になり、口を挟むタイミングを逃すまじとしゃべり続ける羽目になる。

私にとって、日本語で話すのはストレス発散。機嫌のいい次男と存分に話し、「そろそろグランマと晩御飯の話をしようかな」と言うと、次男は長男のいる書斎へ行った。

あーなんか楽しかったわと、私はキッチンへ向かった。


       *


ドアのないオープン・レイアウトなので、キッチンもファミリールームも朝食のテーブルも見渡せる。

義父はファミリールームでリクライニングチェアに座ってテレビを見ていた。

義母はキッチンに立っていたのだが、私を見るなり心配そうに歩み寄って、”Are you OK?”と私をハグした。

私には何のことかわからなかった。

「大丈夫ですけど? 何かありましたっけ?」

今、次男君と長いことargue(口論)してたでしょ。彼、何か気に入らないのかしら。何か私にできることある?」と義母。

私と次男が日本語で話しているのを聞いて、彼女はてっきりケンカだと思い込んだらしい。

次男は声が大きく、コーラスをやらせたいくらい歌もうまい(本人は好きな歌が歌えないからいやだと抵抗して、やらずじまい)。

私はアメリカに来てから声が大きくなった

自覚はなかったが、実家に戻るたびに「あんた、そんな大きい声出して!隣近所に聞こえるに」と母にたしなめられ、姉にも「なんでそんな大きい声でしゃべるのよ。うるさいよ」と文句を言われて、やっと気がついた。

うちはアメリカではごく標準的な家だが、やはり一つ一つの部屋が大きいのだろう。

台所から「ごはんよー!」と2階の連中に知らせるには、叫ばないと届かない。ときには、地下室から「カゴ持ってきてー!」と頼むこともあるし、夫の呼ぶ声がリビングルームにいる子どもたちに聞こえなさそうなときは、私が「ダディが呼んでるよー!」とひときわ大きい声を出さねばならない。

そんな生活を続けていたら、地声が大きくなろうというものである。


       *


カリフォルニアのゲストルームで次男と楽しくおしゃべりしているうちに、ついボルテージが上がったのだ。笑いながらしゃべっていたはずだが、義母にはわからなかったらしい(難聴の義父には何も聞こえない)。

彼女は日本語はまったくできない。

私は義父母の前でも子どもたちには日本語で話す。「いまこういうことを話してました」と英語で要約することもあるが、特に義父は日本語教育に賛成なので、好きにやらせてもらっている。

ともかく義母の誤解を解かねばならない。彼女はお客に楽しく過ごしてもらうのが好きなので、余計な気遣いをさせたくない。

「おしゃべりしてただけです。すみません、声が大きくて」と謝った。

「ほんと? それだったらいいんだけど」と義母は首をかしげた。

グランマにケンカしてたと思われちゃったわよっ!」とあとで次男に言うと、「えー、なんで?」と驚いていた。

私たちは楽しくおしゃべりをしていただけで(ちょっとはしゃぎすぎたか)、次男にも口論の意識はまったくなかったようだ。
 
しかし、これを肝に銘じて、その後は少しおしとやかに話す努力をした我々であった。


        *


夫も、ときどき私と子どもたちの会話を口論だと思い込む。

決まって、夫だけ別の部屋にいるときである。いっしょにいれば、その場の雰囲気でわかるのだろうが、日本語の会話を耳だけで聞くと、言い争いをしているような気がするらしい

確かに私がガミガミ叱ることもあるし、子供たちが口答えをすることもある。

しかし、そうでないときでも、"Stop yelling!"(わめくのはやめろ)とか"What are you arguing about?"(何を言い争ってるんだ)とか、夫が2階から下手な合いの手を入れたりする。そのたびに、"I'm NOT yelling!" あるいは"We are NOT arguing anything!"と、これまた大きい声で返事をせねばならなくなる。

日本語を解さない英語話者にとっては、日本語が耳障りに聞こえる可能性が高い

母音の多い日本語は英語話者にはきつく聞こえるという説をどこかで読んだ。英語に比べて抑揚がないのもぶっきら棒に響く一因かもしれない。

それに加えて、私の声は高めで早口。

しかも、夫は会話の内容がまったくわからないときている。


        *


夫は20年以上私と暮らしているのに、ほとんど日本語がわからない。夫より猫のほうが日本語の語彙が多いくらいである。

自分だけが理解できない言語で家族が話をするという状況はどんなものだろう。

私はそういう立場に置かれたことがないのでわからない。

夫は最初からバイリンガル教育に賛成だったし、今も自慢の種らしいが(子どもたちの日本語レベルを知らないせいだ)、私と子どもたちが話していると、ときどき「ドアを閉めてくれ」と言う。そういうときに限ってドアが開いているのだが、やはり耳障りなんだろう。

しかし、今さら変えられない。

あと3年もすれば子どもたちは家を出る。そうしたら、私が日本語で話す相手は猫だけになる

夫はやっと日本語話者に囲まれた生活から開放される。

私は英語しか通じない相手との二人暮らしに戻る。ひょっとして英語が上達するのではないかと期待している。


<今日の英語>
  
He is climbing up the wall.
彼は発狂寸前だ。


締め切りに追われてカッカしているG氏の様子を、夫が私に説明したときの一言。文字通りには、壁をよじ登る。



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 |  言語  |  コメント(4)

Comment

こんにちは。
私はドイツ語圏に在住で夫はドイツ人です。日本の実家に帰って夫と普通に話していると実家の母から「けんかしてるの?」と聞かれビックリしたことを思い出しました。
ドイツ語発音は日本語に比べきつく聞こえるのでしょうね。
夫も日本語語彙は少ないですが私が娘と日本語で話していると何故か理解していて、話の内容にあった返事をしてきたりして驚かされることもあります。
国際結婚、色々ありますよね。
楽しいことも、イヤになっちゃうことも。。。うちも一人娘の大学入学まであと2年たらず。
母親業から解放されたら日本に帰りたいなぁとも思いますが現実は厳しいですね。フルタイムで仕事してきましたが今の状況で仕事を辞めるわけにもいかないし。
海外在住22年です。そろそろ日本が恋しいお年頃なのかも(笑)
また、お邪魔させてもらいますね~。v-222
ピロシキ猫 |  2011.10.09(日) 21:22 | URL |  【編集】

意外ですね。

こんにちは。いつもkomatto3のブログを楽しく、興味深く拝読しています。子供のいない私にとっては、色々と感心させられたり心配(?)させられたり、です。

日本語より、広東語や北京語、韓国語の会話の方が全般にボルテージが高くて、普通にしゃべっていてもケンカでもしているように聞こえるものだと、思い込んでいました。日本語ってフラットですしね・・・。

kometto3そして読者の中にも、国外在住期間が長くなってきている方が多いようで。。。
かく言う私もついに四半世紀に達してしまいました。人生の丁度半分です。。。
ずっと「NY市大好き」で、つい最近まで、ここに住むことに疑問を感じたこともなかったのですが、この二、三年でしょうか、少しずつ?の数が増えて来ています。かといって、ここ以外にどこに住むのかと聞かれると、はっきりとした答えは無いのですが。アメリカ国内だったらここしか考えられませんし。では日本に戻るのかというと、一体どこに?と思ってしまうのです。

どうしましょうか。
G.Villager |  2011.10.12(水) 02:15 | URL |  【編集】

私のコメントで、kometto3をkomatto3と間違って書いていた上、お名前の後に「さん」を入れていなかった事もお詫びします。ごめんなさい。
G.Villager |  2011.10.12(水) 13:04 | URL |  【編集】

適当でいいです

便宜上、適当に決めた名前なので、適当な表記で結構です。敬称も要りません。
kometto3 |  2011.10.13(木) 04:48 | URL |  【編集】

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