スポンサーサイト

--.--.-- (--)


上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



クリック募金を始めました。下記サイトにて協賛企業のリンクを各社1回クリックすると、1円ずつ募金できます。
    JWordクリック募金

 |  スポンサー広告

うまくやった人たち

2011.10.04 (火)


夏にカリフォルニアへ行ったとき、義父母の家から南へ20分ほど離れたところに住む友人Dに会いに行った。

私が最後に彼に会ったのは、おそらく8年前。

その後、一度電話で話したことがあるくらいだったが、夫はずっとメールでやり取りしていたらしい。

Dは私が日本で働いていたときのアメリカ人同僚で、私が結婚してアメリカに移住してしばらくしてから、彼も一家で帰国した。

その後、夫は転職し、彼も会社が統廃合を繰り返したせいで、別の大企業へ移籍したのだが、50歳で早期退職した。

Dは若い頃に結婚し、子どもも早かった。だから、退職した時点で上の子は社会人、下の子は大学3年生くらいだったはずだ。ちなみに、子どもたちは二人とも東部の有名大学を卒業している。

D夫妻は、退職と同時にコロラドへ引っ越した。なぜそこを選んだのか知らない。

半年前にコロラドの家を売り、南カリフォルニアに引っ越していた。夫が連絡をすると、ぜひ寄ってくれという話になった。

Dは人当たりがよくて、かつての同僚たちとも親しい。

私は昔の知り合いがその後どうなったかなど聞きたくない。だから、あまり気乗りがしなかったが、「きみが行かなかったら、そりゃガッカリするよ」と夫にせっつかれて出かけた。

子どもたちは義父と留守番をするという口実で、久々にゲーム三昧。

義母の友だちベティがD夫妻の近くに住んでいるので、義母に送ってもらい、彼女はベティと買い物に行き、夕方夫と私を迎えに来る手はずになった。


      *


義父母はオレンジ郡のgated communityに住んでいる。文字通りゲートがあって、住人しか入れない。

2年前、義母は中古のレクサスを運転していたのに、今度は新車のメルセデスだった。義父は反対したらしいが、見栄っ張りの義母には高級車は生活必需品なのである。

しかも、ご近所でもスーパーでも、駐車場にはメルセデス、レクサス、アウディ、BMWがずらりと並び、それ以外の車が珍しいくらいの高級住宅地。

義父母は以前にも近くのgated communityに住んでいたが、そこは55歳以上でないと住めないシニアコミュニティでもあった。それで、てっきり今の住まいも老人向けだと思い込んでいたが、年齢制限はないのだそうだ。お金さえあれば、誰でも住める。

D夫妻が購入した家はやはりgated communityで、そちらは50歳以上が条件。夫婦のどちらかがクリアしていればいいらしい。

しかし、一番の違いは、義父母の家ほど高級ではなく、あとで義母に聞かれた夫が「modestな(控えめな、地味な)住まいだよ」と説明していたように、コミュニティ全体がいかにもミドルクラスという雰囲気だった。それでもオレンジ郡なので、安くないと思う。

何百も家が連なって、10以上あるゲートに番号がついており、広大なコミュニティの中はまるで迷路。先にDが「途中まで出迎えるよ。わかりにくいから」と話していた通り、家の番号と通りの名前だけではとても見つかりそうになかった。

私のような方向音痴には住めない。

しかも、ゲートには門番がいて、Dの名前をつげても要領を得なかった。ちなみに、門番は住民のボランティア。名簿を見て、訪問宅の情報と照合するのが仕事らしい。国境警備かと錯覚しそうなほどだった。

結局、夫がDに電話し、細い道を入ってDの姿が見えるまで、携帯で誘導してもらった。


      *


3ヶ月前にリノベーションが終わったばかりのその家は、夫婦二人にはちょうどいい大きさで、若い人たちがいないせいか、付近はしんとしていた。

家というよりは平屋建てのコンドミニアムと言うべきか。2軒ずつ背中合わせになっていて、ガレージはなく、広いカーポートが並んでいた。

私は「ここが彼らの終の棲家か…」とぼんやり考えた。

Dは数日前にひざの手術をしたばかりで、杖をついていた。

「早期退職のパッケージに、退職後も従来どおり健康保険が適用されるとあったから、飛びついたんだよ。おかげでこの手術も払ってもらえた」とD.

かつて手厚かった大手でも、いまや福利厚生を少しずつ削っている。現役社員に対してもそうなので、退職者への健康保険を保障してくれるという条件は非常に恵まれている。

Dがコロラドの家を売却したのは去年のことで、不動産不況もなんのその、わりと早く買い手がついたそうだ。

そして、高級住宅地ではないが、気候のいいオレンジ郡に安全な住居を手に入れた。

D夫妻は、うまくやった人たちの代表だ。

若い結婚だったので、最初は苦労しただろうが、その後は子どもの成長に合わせて家を買い替え、大企業でもレイオフにならず、優秀な子どもたちが有名大学に入り、とても恵まれた早期退職者のパッケージをもらい、コロラドでの生活を楽しみ、60歳を前に南カリフォルニアに腰をすえた。

Dは頭がよく、楽器もできて、セスナの操縦を習ったりして、人生を楽しむことを知っている。それほど友だちが多いタイプではなさそうで、ちょっと神経質なところもあるが、私には昔からとてもよくしてくれた。

「ほら、xxを覚えてるだろう? 彼(彼女)、その後こうしてこうなって、今はどこそこでああいうことをしているんだって」ということさえ言わなければ、私は彼が気に入っている。

幸い、今回は私の嫌いな「あの人は今」は一切出てこなかった。何年も会っていなくて、D夫妻の引越しやひざの手術、夫の躁うつ病や退職など、他の話題が多かったせいかもしれない。


       *


ところで、Dの奥さんは台湾出身で、Dより3つか4つ年上。

Dとは大学時代に知り合ったらしい。留学できたのが不思議なくらい貧しかったそうだが、台湾にはもう家族はいないと言っていたから、アメリカの市民権を取ったと思う。

二人の子どもに中国語のみで話しかけ、週1回はチャイニーズ・スクールへ通わせ、英語と中国語のバイリンガルに育てた。読み書きは最初からあきらめていて、会話だけだそうだが、たいしたものである。

18年前に会ったきりだったので(それまでも親しかったわけではない)、今回の対面には緊張した。

私よりさらに小柄で驚いた。私の記憶と違う。

髪は短めで茶色に染めていた。さすがに老けていたが、昔の面影があった。

気取りのない人である。地味なTシャツとジーンズ。椅子に座ると、彼女のお腹がかなりプックリしていて、なぜか私はホッとした。私も適当な服を着て来たが、私は義母とは別の意味で見栄っ張りなので、彼女よりおばさんぽくみえたらいやだなと思っていたのだ。彼女は私より一回りも年上なのに。

私が「痩せたい」とこぼすと、「どうして?ちょうどいいじゃない!」と社交辞令をまるで本心みたいに言ってくれる優しい人。


      *


彼女は思ったより英語が下手で、ちょっと驚いた。

いや、決して下手ではないのだが、語彙が少なく、非常にシンプルな言い回しや受け答えをする。これは私の記憶違いというよりは、私の英語が上達したせいかもしれない。

昔の私は自分の英語に自信がなく、英語を外国語として話す人の誰もが上手に思えたのだろう。

もちろん今も英語で苦労しているし、子どもたちにしょっちゅう発音や文法を直されるのだが、やっと落ち着いて周りを見渡す余裕ができたということである。

20年かかった。

私は彼女にどうしてここに引っ越そうと思ったのかと尋ねた。

私のチャイニーズの友だちがいるから」と彼女は即答した。実際、私たちがいる間にも2回ほど電話がかかり、彼女は中国語で受け答えしていた。

まったくの偶然らしいが、昔の友だちの何人もがこの広大なGated Communityに移り住んでいたという。D夫妻がコロラドを引き払おうとして、家を探していたとき、オレンジ郡に来なさいよと誘われ、気に入って決めたのだそうだ。

義母も、「あそこはチャイニーズが多いわね」と言っていた。「ベティがいつもこぼしてるのよ。どこに行っても、チャイニーズばっかりって」。

ベティも義母も、ある年齢の白人女性にありがちな人種偏見を持っている。


       *


ベティは医師だった夫とともにgated communityに家を買い、夫婦で余生を楽しむために引っ越したのだが、1ヶ月もしないうちに夫が脳梗塞で倒れ、そのままナーシング・ホームに入った夫は数年後に他界した。

それで、ベティは1人では広すぎる家にもう何年も1人で住んでいる。

なかなか予定通りにはいかないものだ。

しかし、D夫妻はちがう。

東京で働いていたときに、国際結婚していた同僚が何組かいたが、そのうち半分は離婚している(それもDからの報告で知った)。

D夫妻は、いろんな意味で一番安定している。

結婚生活35年。お金や健康保険の心配もなく、子どもたちは社会人として自立し(つい先日、親たちの新しい住まいを心配して見に来たそうだ)、奥さんは同国人の友だちがいて、Dは誰とでも仲良くやれるタイプ。奥さんのためにここへ引っ越したようなふしすらある。

外からはうかがい知れない悩みもあるだろうが、「うまくやったなあ」と私は羨ましくなる。


<今日の英語> 
 
We should follow suit.
我々も見習うべきだ。


デンマークで飽和脂肪酸が2.3%以上含まれる食品に課税する「脂肪税」が導入されたというニュースに、あるアメリカ人が「あとに続け」とコメント。トランプで、前に出たカードと同じ柄(suit)のカードを出すときの言い回しから。



クリック募金を始めました。下記サイトにて協賛企業のリンクを各社1回クリックすると、1円ずつ募金できます。
    JWordクリック募金

 |  アメリカ人  |  コメント(2)

Comment

アメリカの生活がよくわかります。

愛読させていただいております。私も本名でブログを書いています。川島信也のブログです。ご笑覧ください。
近江商人の末裔 |  2011.10.06(木) 15:34 | URL |  【編集】

iphone4S・・・

世界中の期待を受けての新製品発表でしたが
iphone5という名前じゃなかった理由が
説明できますね。

そうでなかったとしてもそう思いたいと思います。
ひまわり |  2011.10.07(金) 18:39 | URL |  【編集】

コメントを投稿する

URL
コメント
パスワード  編集・削除するのに必要
非公開  管理者だけにコメントを表示  (非公開コメント投稿可能)
 

▲ページトップへ

Trackback

この記事のトラックバックURL

→http://halfwaymark.blog114.fc2.com/tb.php/858-4c691d82

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事へのトラックバック

▲ページトップへ

 | ホーム | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。