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年齢差のある夫婦の老後

2011.09.16 (金)


最後に義父がNYへ来たのは、たぶん5年ほど前。

彼はすでに80を過ぎていて、長い距離を歩いたり、長時間立ったりすることができなかった。出先ではよく車椅子を借りた。押すのは義母である。

夫や私が代わりにやったこともあるが、あれにはコツがいるらしい。結局義母が一番うまく、また義父がどこへ向かいたいのかも彼女が一番わかっていたので、私たちはあまり役に立たなかった。

そのころ、義父はちょくちょく手術をして、服用薬が増えたが、耳もそれほど悪くなく、出かけるのが好きで、おいしいものに目がなかった(グルメだけは今でも変わらない)。

義母は車椅子を押しながら、私に冗談を言った。

「よく見ておいて。あなたもハズバンドの車椅子を押すようになるのよ。」

私たちは笑い、私はチラッと想像してみたが、実感はなかった。

義父が80歳のとき、義母は65歳だった。

彼女は2番目の妻。夫の実母は夫が大学を卒業した頃に病気で亡くなり、義父はその後20年くらいやもめ暮らしをして、15歳年下のリンと再婚した。


             *


その後、義父は会うたびに少しずつ衰えていった。

そして、いつも明るい義母の愚痴も増えた。

彼女はとてもきれい好きで、おしゃれもブランド物も大好きで、ちょっと見栄っ張り。自分の夫が身の回りのことをしなくなるのに耐えられないのだ。

義父がオムツを常時はくようになると、「臭いがたまらない」と私にこぼした。義父は気がつかないのか面倒なのか、なかなか替えないのだそうだ。

「私にはぜんぜん臭いませんけど」と言うと、「あなたたちがいるから、ちゃんと替えてるのよ。まだ小のほうだけだから我慢できるけど、大までコントロールできなくなったら、ナーシング・ホームに入ってもらうわ」と義母ははっきり宣言した。

私にあれこれ言う権利はない。私だって、きっとそうする。私は黙って頷いた。

先月、カリフォルニアに行ったとき、義母は新たな問題について私に話した。

シャワーに入らないの。臭いから入ってって言うのに、2日も3日も入らなかったりするのよ。もうたまらないわ。」

しかし、やはり私には義父の体臭など気にならない。

「私にはぜんぜん臭いませんけど」とまた同じことを言うと、「あなたたちがいるから、ちゃんと入っているのよ。それに、今週はカイロプラクターや病院の予約がいくつもあって、シャワーに入らなくちゃいけない理由があるから。いつもは、出かけないからシャワーを浴びなくてもいいと思ってるのよ。」

義父はディナーの前に服を着替えるような人だった。

NYで私が適当な夕食を出すのにもそんなふうで、私はびっくりしたことがある。夫が食事にも服装にも無頓着なので、同じ親子でずいぶん違うもんだなあと思った。

そんな義父もさすがに87になれば、億劫になるのだろう。義母はそれが受け入れられないようだ。


               *


義父はまだ食事も1人でできるし、シャワーもトイレも1人でできる(膀胱のコントロールができないので、オムツは手放せない)。ぼけてもいない。パソコンもできる。

しかし、今回カリフォルニアに行って、義母の負担が倍増したのに気づいた。

車の運転。買出し。料理。かたづけ。洗濯。ごみ出し。庭木の手入れ。犬の世話。電話の受け答え。もはや義父は何も手伝えず、義母がすべて1人でやっている。

医者との連絡。医者への付き添い。ドラッグストアまで運転して、薬をもらい、管理する。

私たちが出発した朝、義母が義父を起こそうとしていた。てっきり私たちに挨拶をさせようとしたのかと思い、「起こさなくていいですよ。昨日のうちにさようならを言いましたから」と私が言うと、「起こさなくちゃだめなの。目薬の時間だから」と義母が答えた。そして、寝たままの義父に目薬をさした。

義父は耳に炎症を起こして、補聴器が使えなくなっていた。耳の薬は聞いていたが、目薬もあったのは知らなかった。

若い義母がいなかったら、義父はとっくに施設に入っていただろう。

私は義父が好きだが、同居は無理だ。義父も望んでいないと思う。

アリゾナに住む夫の弟が面倒を見るだろうか。彼は、今年になってまだ一度もカリフォルニアに電話してこないと義母が言っていた。たぶんそちらでもありえない。

夫も私も、義母に感謝の気持ちを伝えた。

私とちがって、義母は活動的で出かけるのが好きなので、年取った夫のために外出が制限されるのはつらいだろうと思う。次女のいるユタ州にも、好きなクルーズ旅行にもいけなくなった。

一泊どころか、数時間でも義父を1人で家に置いておくことはできないそうだ。


             *


夫の家系は長寿で、義父の実母は99歳まで生きた(最後はボケてしまって、息子の顔がわからなくなった)。

義父自身も心臓手術をしたり、胆嚢を取ったりと、お医者にかかることも多いが、もともと頑健な人だ。先月会ったときは、以前よりしっかりして見えた。

しかし、今やあらゆる面で義母に頼っている。義母だって、昔の怪我で右手が少し不自由だし、ひざの故障を抱えている。それでも、87歳にくらべたら73歳は若い。

驚くべきことに、義父の運転免許はまだ有効なのだそうだ。

もっとも本人はよくわかっていて、ハンドルは握らない。もう保険にも入っていない。その分、どこに行くにも義母が運転する。

15歳年上の人と再婚したとき、義母はこうなることを予想していただろうか。


              *


夫との結婚を決めたとき、私は夫が10歳年上であることをほとんど意識しなかった。

一回りより近いと思い、ほぼ確実に未亡人になるだろうという気はしたが、若くても病気や事故で死ぬ人はいる。あまり考えてもしかたのないことだった。

私は夫と同じような年のつもりだったが、ときどき人生経験の違いを痛感した。私は世間知らずだったので、特にそうだったのかもしれない。

夫が50歳のとき、私は40歳。

老眼がどうの、肩がどうの、体重が増えるだの言われても、ピンと来なかった。自分が50歳目前になって、「そうか、夫は10年前にこうだったのか」とやっとわかった。

追いついたところで、夫はもうすぐ60歳。また10年先を行っている。

また私にはよくわからないことを言い出す。体調だけでなく、老後はどこに住むかなど、私にとってはまだ先の話もある。私より先に老いを感じているせいか。

私は「ふ~ん」と聞き流す。

きっと10年後にわかるだろうと思う。




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