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10年が過ぎても

2011.09.11 (日)


しばらく前から、9/11の追悼特集が出始めた。

毎年いまの時期になると、メディアに教えてもらわなくても思い出す。2機目がツインタワーに突っ込み、高層ビルが崩れ落ちるのを生中継で見た。

一度だけ、ワールド・トレード・センターの展望台にのぼったことがある。渡米したばかりのころ、どこにも行きたがらない私を夫が連れて行ったのだ。眼下に雲が漂っているように見えた。

「もう1年経ったのか」「あれから2年か」「もう5年になるのか」と、衝撃はだんだん薄れていったものの、生々しい記憶は消えない。

うちからシティまでは1日がかりだが、それでもニューヨークは地元だ。

もしロサンゼルスやシカゴに住んでいたら、いくらか受け止め方が違ったかもしれないと思う。同じく攻撃されたペンタゴンや飛行機が墜落したペンシルバニア のほうには心理的な距離がある。


          *


新学年が始まってまもない、青空の広がる早秋の朝だった。

炎上するツインタワーの映像を見ると、マンハッタンもやはり雲ひとつない快晴だった。

私は9/11の犠牲になった人を個人的には誰も知らない。その日にマンハッタンに居合わせた知り合いすらいない。そんな私でも、10年経った今、当時の録画や録音を聞くと、あの朝がくっきりよみがえる。

ちょうど、ある年代のアメリカ人が「ケネディ大統領が暗殺されたとき、自分はどこで何をしていたか」をはっきり覚えているように。

9/11を"This is your Pearl Harbor."と称した政治家やコメンテーターがいた。

真珠湾を持ち出されると、私はドキッとする。両者は同じものではないが、9/11以後、イスラム教徒への風当たりが強くなったのを思うと、真珠湾攻撃のあとで日系人がどんな目で見られたのか、やっとわかるような気がした。

こんな仕打ちを受けたときは、理性でなく感情が優位に立つ。


         *


10年前、5歳の次男は午後だけのキンダーガーテンに入ったばかりだった。

毎朝、私は次男を連れて、長男のスクールバス・ストップまで歩いていった。子どもの足でも2分である。

近所のおばさんたちと話をして、9時少し前のバスを待つ。長男がバスに乗ると、次男と歩いて家に戻り、お昼過ぎに次男のバスが来るまで時間をつぶす。

その頃、夫と私はタイ女をめぐって修羅場の真っ最中で、私は夫となるべく顔を合わさないようにしていた。家にいるのがいやで、バスストップから家に戻るときも、次男とのろのろ歩いた。

2001年9月11日火曜日の朝もそうだった。

ツインタワーに飛行機がつっこんだのを知ったのは、日本にいる姉からの電話だった。日本では夜の10時過ぎで、姉はまだ起きていた。

私はあわててCNNをつけ、呆然とした。画面の半分はツインタワーで、半分はペンタゴンだった。

そして、口を利きたくないはずの夫を呼びに行った。

そのあとは記憶がぼやけている。

確かに次男を午後のスクールバスに乗せたはずだし、4時前には長男と次男を迎えにまたバス・ストップへ向かったはずだ。

近所のお母さんたちの話はテロ一色だった。ふだんから血の気が多いメアリは、ヒステリー寸前でしゃべりまくった。

心配で子どもを学校まで迎えに行き、早退させた人たちのうわさが出たが、私にはそんな発想はなかった。こんな田舎より安全な場所はないと思った。


             *


メアリは救援活動をする消防や警察のために支援物資を集めようと呼びかけ、私も毛布やタオルを寄付した。

誰がどうやってマンハッタンまで届けるのか知らなかった。ただ、傍観者ではいられない空気があった。

そのうち、ご近所の郵便受けにハンカチくらいの大きさの星条旗がはためくようになり、3日もすると、旗を出していないのはうちと斜め向かいのたった2軒になった。バス・ストップまで歩くとき、いやでも目に入った。

スクールバスを待つ間、私へのあからさまな非難はなかったが、星条旗には無言のプレッシャーがあった。

私は夫に相談した。

「うちも国旗を出すべきなの?」

「その必要はない。きみが出したければ出せばいい。きみは出したいのか?」

「ご近所さんはみんな出してるのよ。出してないのは、斜め向かいと家だけ。」

「それがどうした? 国旗を出すか出さないかは各自の自由だ。全体主義みたいに強制すべきもんじゃない。そういう考えは嫌いだね」

私も夫と同じ考えだった。結婚以来、最大の危機を迎えていたのに、私と夫はこういう問題では意見が一致するのだ。結局、うちは一度も星条旗を出さなかった。

もともと、家にはアメリカの旗はなかったし、買いに行く気もなかった。

もし斜め向かいのお家も国旗を掲げて、そうしていないのはうちだけだったら、どうしていたかわからない。

いま、ご近所で郵便受けに星条旗を掲げている人はいない。独立記念日やメモリアル・デーにちらほら見かけるだけである。


          *


9/11の遺族にインタビューする番組を聴いた。

気丈に受け答えはしていても、途中で泣き崩れる人も少なくなかった。10年経っても、まだ傷は癒えていない。

夏の終わるのがいやだという人もいた。空気が秋らしくなってくると、9/11の朝が思い出されるからだ。

ツインタワーの105階にいたご主人から電話を受け取った女性もいた。煙がビルの中に充満しはじめ、逃げることもできず、最後の会話をしていた。ビルの崩れ落ちる轟音が最後の通信だったという。

「あなたにとって、9/11はどういう意味を持ちますか」と尋ねるアナウンサーに、この女性はすぐに答えなかった。そして、おもむろに言った。

9月12日になってほしいです。そうすれば、ほかのことが考えられるようになりますから。」


         *


奇しくも今日は、3月11日の東日本大震災からちょうど半年

9/11と同じく、私にできることは何もない。せいぜい募金のPRくらいである。

というわけで、本日の購読料は1円です。この記事を読んだらクリック募金をお願いします(お金はかかりません。実際に寄付するのは協賛企業です)。


<今日の英語>  

I just lost it.
感情を抑えきれなくなった。


日常のなんでもないときに、9/11で殺された家族の思い出がとつぜん押し寄せて、自制心を失い、涙が止まらなくなったという遺族の一言。




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 |  社会  |  コメント(3)

Comment

あの日・・・

9/11・・忘れられません。私はその時マンハッタンに居ました。
仕事で数年住んで、帰国する前日でした。
荷物を日本に送ったばかりで、アパートも明日限り、朝から街に出て感慨深く「最後の散歩」をしていたら、
煙を上げるワールドトレードセンターを、ユニオンスクエアから見て動けなくなり、崩落まで呆然と見ていました。
驚きと悲しみと途方に暮れるのとでパニックになって、猫を抱きしめてわんわん泣いた事、心配した実家の母から電話をもらって、やっと落ち着いた事、夜中の戦闘機の音が怖くて眠れなかった事、そして、あの日のくっきりとした青い空、10年経っても、昨日の事のようにはっきりと覚えています。
(ちなみに、猫はまだ生きています。アパートは好意で帰国出来るまで延長してくれました)
昨夜何を食べたか、すぐには思い出せない私も、きっと10年経っても、地震があった時、自分が何をしていて、何を考えたか、その日の事をはっきりと覚えていると思います。
まさに、刻み込まれるって感じですね。
ねこやま |  2011.09.12(月) 09:37 | URL |  【編集】

北米に長く住んでいますが、真珠湾攻撃から70年経っているのに毎年12月になるとトラトラトラそして近年では7,8年前に作られた真珠湾が攻撃されたテーマの映画がTVで放映されます。

それが日本人に対する憎悪の感情を呼び起こすのではないかと不安な気持ちになります。
楓 |  2011.09.13(火) 00:07 | URL |  【編集】

そちらにいると…そうなんですね。
意識のどこかに住まわせなくてはならない…。
真珠湾にしても何故あのような形になってしまったのかを知ると、命を奪う「意識」はどこにあったのだろうと思います。
1919年、国連において日本が提案し否決されたものがあった事をご存じでしたか?
これにより自分達の怒りは正しいとした存在もあったでしょう。
正義の形は幾つもあり、それぞれにとって純粋なものであるという…実は悲劇が必ず存在しているという事でしょうか…。
白ふく改め ふ |  2011.09.13(火) 23:43 | URL |  【編集】

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