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日本語を話さない日系人

2011.09.05 (月)


カリフォルニアでは日本食と日本語の本を買おうと決めていた。

せっかく嫌いな飛行機を乗り継いで、はるばるアメリカ大陸の東から西まで行くのだ。

義父たちはオレンジ郡に住んでいて、車で15分のところにその手のお店がある。うちからマンハッタンまで大遠征するより、よっぽど近い。

次男は長男ほど日本のものに執着がないし、すぐグズるので連れて行かない。長男はアニメや漫画が好きで、カレーとうどんとラーメンに目がない(ただし、刺身は食べない。生の魚だと思うと、口に入れられないそうだ)。

私は丸1日だって本屋で過ごせる。

義母は「ほんと? 退屈しない?」と半信半疑だった。それでも、朝11時に私と長男をマルカイというスーパーとブックオフのあるショッピングセンターに連れて行ってくれた。お迎えは4時である。

古本屋なので、新刊を選ぶ楽しみはないが、日本語に飢えている身にはなんだってありがたい。


        *


ずっと前に、オレンジ郡のブックオフに初めて行ったとき、私はお店の人に「地下と2階へ行く階段はどこですか」と聞いた。マンハッタンのブックオフは地下1階地上2階で、それ以外のブックオフを私は知らなかった。

店員さんは「階段は…ないです。このフロアだけですけど」と困惑したように答えた。

そうだ。ここは土地が無限にある(かのように見える)西部なのである。マンハッタンのように地下を掘る必要もなければ、垂直に積み上げることもしない。

今回はそんなおのぼりさん発言はしなかった。

しかし、長男が「おかあさん、そんなにキャーキャーしないでよ」とこっそり耳打ちするくらい、わくわくした。20年以上もアメリカに住み、ほとんど何でもアメリカのもので支障ない(=まあ我慢できる)ようになっても、日本語の書物だけはいつも恋しい。これは死ぬまで治らない。

さすがに本を扱うだけあって、ブックオフの店員さんは日本語が母国語らしい。読み書きができなければ、仕事になるまい。


       *
   

長男がおなかがすいたと言うので、マルカイに向かった。そこでもまた興奮を抑えきれない。「おかあさん、日本語わかる人がいるんだよ」と長男がささやく。

私が数ヶ月に1回買出しに行くニューヨーク州の小さい日本食品店に比べたら、マルカイはデパートである。なんでもある。常温保存のものしか持ち帰られないのが非常に残念だった。

珍しいので、食品だけでなく、文房具から日用品からくまなく見て回った。やたらにかわいい。気が利いている。化粧品などいろいろありすぎて、なにがなんだかわからない。何度も長男を呼んでは「ねえねえ、これ見て!」 

長男はため息をつく。あんたにはわからないわよ。

多少落ち着いてから周りを見回すと、当然のことながら日本人のお客が多い。日本語も耳に入る。しかし、どこか違う。

以前に来たときも同じことを思った。

どう見ても日本人の顔なのに、まるっきりネイティブ・スピーカーの英語を話す人たちが少なからずいる。日本語ができるのかどうか、ぱっと見にはわからない。

一人の男性店員に換気扇のフィルターについて英語で質問したら、いかにもカリフォルニア風のアメリカ英語で返事が返ってきた。

私の英語にはどうしたって日本語なまりがある。私は当然日本語で話すほうが楽だし、彼も私のまどろっこしい説明にいらいらしただろうが、どうも彼は日本語ができないらしかった。棚に商品を並べるだけなら、日本語は必要ないのかもしれない。


        *
       

子どもたちが補習校を辞めてから、私も彼らも日本人との付き合いがほぼゼロになった。見かけることも話すこともない。

私の知り合いは、大人になってからアメリカに移住した日本人ばかりで、子どもの友だちは駐在家庭の子か、片親あるいは両親が日本人永住者でアメリカで生まれ育った子だった。

そういう大人や子どもは、少なくとも会話程度の日本語はできた。

カリフォルニアで見かける日系人は、顔は私と同じなのに、同じ言葉を話さない。頭ではそういう人たちが何万人もいると理解できても、とても奇妙な感じがする。

長男が生まれるまで、私はアメリカで仕事をしていた。シカゴ支社にヤマモトさんという男性がいた。何度か電話のやり取りをして、彼は両親とも日本人だが日本語はまったくできないということがわかった。でも、電話だけで顔が見えないので、気にならなかった。

あるとき、彼が出張でニューヨークにやってきた。風貌はどうみても日本人なのに、私たちの会話は英語だった。そのときの違和感を思い出す。日本語のできない日系人に初めて接した経験だった。


        *


ふだんから日系人を見慣れていれば、あるいは想像力があれば、なんてことはないのだろう。

しかし、私は何年かに1度カリフォルニアに来て、おおぜいの日系人に出くわすと、書き取りのマスから字がはみ出たままになっているような、それをギュッと押して正しい位置に動かしたいような、もどかしい感覚にとらわれる。

(うちの息子たちは半分白人で、顔の造りからしてズレているので、そういう観察の対象にはならない。彼らは日本語を話すが母国語は英語だし、まるっきりアメリカ人みたいに肩をすくめたり両手を広げたりする。毎日見ているせいか、そんなもんだろうと思う。

それにしても、日本語で話しているときに「さあね」と言いたげに両肩を持ち上げられると、カッコつけるなっ!とムカッとくるのはなぜ?)

アメリカで生まれ育ったらしい日系人は、日本人の顔をしていても、どことなく違う。なんだか表情が豊かに見える。身振り手振りが大きい。目線を合わせて話す。店員同士で(むろん英語で)声高におしゃべりしたり、ハグをしてたりしているのも見かけた。

そして、日本語は限りなく薄められていき、ついには英語の中に溶けてしまう。

外見はどうあれ、彼らは芯からアメリカ人なのだ。たいていの移民がそうやって世代を追うごとに英語だけ話すアメリカ人になってきた。

20代後半に渡米した私は、ここに50年住んでもそこまで同化できないだろうと思う。


          *


と、ここまで書いて、私もJapanese American 日系人のカテゴリーに入るのかと気がついた。私はFirst Generationつまり、一世?

まだ市民権は取っていないし、自分の意識は「100%日本人」だが、そのへんのアメリカ人から見たら、私は単にジャパニーズ・アメリカン。いや、十把ひとからげにAsian Americanか。

そんな人間が、たまたま顔が同じなのに日本語を解さない人たちを見て軽いショックを受けるのだから世話はない。

そして、また日本人と縁のない生活に戻った。


<今日の英語>  

I’ve heard so many nice things about you.
お噂はかねがね伺っておりました。


初対面の人に“I’ve heard so much about you”と言うのは適切だろうかという相談に、「元IMFチーフのDSKみたいにタブロイド紙をにぎわせていた人もいます。こんな風にちょっと言い方を変えたほうが安全でしょう」というマナー・アドバイザーの一言。



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 |  言語  |  コメント(2)

Comment

れる・られる

こんにちは。

英語はもちろんですけれど、日本語も難しいですね。 この頃はあまり正しいかどうかに拘らないで話してしまっていますので、自分の(日本人なのに^^;)日本語がおかしいことに気がつきません。

英語はもちろんです「けど」・・・とか、話し「ちゃってる」ので・・・とか、話し言葉にしてももう少しきちんと話さなければいけないな・と考えさせられました。 

「れる・られる」は、いまだに正しく使えているかどうか心配になります。 以前と違っても、大勢の人が使うと市民権を得るというか、それでいいような気がしてしまいます。  いけませんね。 反省反省。
りゅうこ |  2011.09.07(水) 09:42 | URL |  【編集】

日系人

日系人が日本語を話せないのではなく、話せなくなったのです。戦争を経験した一世達はアメリカに忠誠を誓わせるために軍隊に強制的に入れられました。そむけば厳しい強制収容所に入れられ奴隷のように働かせられます。二世、三世の日本人はアメリカ人に負けないくらい英語を学びました。英語が出来ないと仕事にも就けませんので、そうゆう歴史を背負って生きた人達です。アメリカに渡ったのは彼らの意志ですが、帰る手立てもなく、日本からも見放されてしまったのです。
そのころから日系人は完全にアメリカ人として生きるようになったのではないですか?
雷雨 |  2015.07.24(金) 05:18 | URL |  【編集】

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