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ローラー・コースター

2011.08.13 (土)


遊園地ではない。株価のことである。

アメリカの議会が債務上限引き上げ問題で何週間も幼稚な諍いをしていたころ、 長男はまだ大学のサマー・コースに通っていた。行き帰りの車中でラジオを聴きながら、長男と私は議員連中を毎日こきおろしていた。

こいつら、全員クビよっ!

その間にも、ギリシャとスペインの債務がどうの、イタリアも危ないだの、いったい世の中はどうしてこんなに混乱してしまったのか。

しかも、ソマリアではアフリカで30年ぶりという深刻な飢餓状態。確かあのへんはアルカイダがうろうろしていて、内戦していたはずだ。

ウィキペディアで「ソマリア内戦」を調べたら、

  時   1988年 - 進行中 
  場所  ソマリア      
  結果  失敗国家(進行中) 


「失敗国家」なんていう定義があったのか。「進行中」? スポーツの試合じゃあるまいし。なんとも無機質な表記である。

旱魃で水も食べ物もなくて、人や家畜がバタバタ死んでいるのに、戦ってるのはやっぱり男。女は食べ物を確保したり、子どもの世話をするのに忙しい。鉄砲かかえて戦争ごっこをしている暇はないのだ。

私が小学生くらいのころにエチオピアで大飢饉があった。おなかだけ異様にふく らみ、やせほそった顔に目だけがギョロリと大きく、ハエがたかるのを払おうともしない。強烈な印象を残した。

それと同じことが21世紀に起きている。

しかし、アメリカではあまりニュースにならない。ちょくちょく報道はあるが、ソマリアを救えという一大キャンペーンは聞かない。

それよりも、ずっとAAAだったアメリカの国債格付けが史上初の格下げとなり(これだけ借金を抱えた国が最高の格付けだったこと自体がおかしいんじゃないのか)、責任のなすりつけ合いに忙しい。ぎりぎりで債務上限引き上げに合意したのに、それから株価は乱高下になった。

  500ポイント アップ!
  550ポイント ダウン!
  420ポイント アップ!


私は遊園地の乗り物がきらいだが、ローラー・コースターになんか乗らなくたって、株価を聞いているだけで体験できる。実際、めまいがする。


          *


7月半ば、ある手持ちの株がうまいこと上がっていて、少しだけ売って現金に換えた。あまりキャッシュポジションを多くすると、夫がよそへあげてしまうかもしれず、私はなるべく現金以外の形で預けている。

もうちょっと上がったらまた売ろうと思っていたのに、これでは当分売れない。

「あー、あのとき売っておけばよかった。185で売ろうと思ってたのよ。165になっちゃったわよ。」と子どもたちにブーブー言うと、

「おかあさん、いつもそう言ってるよ。前にも、そう言ってたよ」と長男。

「そうなのよ。それもわかってるのよ。でもね、あと少し上がるかなと思ったの。欲ばりになるのよ。あー、馬鹿だった。今度、おかあさんがまた売ろうかな、どうしようかなって迷ってたら、売れ!ってすぐ言ってよ」と私。

それでも飽き足らず、次男にパソコンで株価チャートを見せる。

「ほら、下がってる。このときが一番高かったのよ。ここで売っておけばねえ。」

「これ6ヶ月にして。1年のレンジにして」と次男が表示する期間を指定する。

もちろん1年前に比べたら、ものすごく上がっているのだ。

「そっかー。あの頃はこんなに安かったのよ。じゃあ、私は損してないのよ。ここんとこ下がったけど、それでも売ればだいぶ儲かるってことじゃない?」

「そうだよ。そうやって考えればいいね」と次男。

「そうしよう。でも、今はまだ売らないわよ。安すぎる。もうちょっと上がってから」と、このまま株価が落ち着き、また上昇するのを待つつもりである。私は何も学習しないのか。


              *


長男をサマー・コースへ送っていったある朝のこと。

BBCでは連日経済ニュースを詳しく報じていた。その合間に、ニューズコープの盗聴騒ぎとか、ベルルスコーニの進退とか、各地の異常気象とか、もちろんソマリアの飢饉など、他のニュースが混じる。

「次のレポートはエチオピアからです。Disturbing(動揺させる、心をかき乱す)な内容を含むことを事前にお断りいたします」とアナウンサー。

ぼんやり聞いていた私は、エチオピアだったらソマリアの飢餓関連かと思った。実際、ソマリア難民が大量にエチオピアに流れ込んでいた。

しかし、それは集団レイプされたエチオピア女性のインタビューだった。

エチオピア政府は、外国からの支援金を国民を弾圧するために使っている。拷問や殺人はもちろん、食料や肥料の差し押さえをして、反政府勢力を押さえ込む。見捨てられた村落では飢餓状態。現政権に投票しなかったことへの報復らしい。

ある女性への暴行は特にひどかった。

政府軍らしき兵たちに殴られながら、集団レイプされた。おなかに飛び乗られ、銃床でおなかを打たれて、血だらけになり、女性は意識を失った。

彼女は妊娠8ヶ月だったのである。

胎児は死んでしまった。彼女は生き延びたが、こんな経験をしてこれからどうやって生きていくのだろう。


                 *


しばらくして、BBCのアナウンサーが視聴者からのメールを読み上げた。

「エチオピアでレイプされた妊婦の話を聞き、他のニュースがどれも非常にささいなことに思われました。私たちの直面している問題は、彼女の苦痛に比べたらなんでもないことです。」

きっと他にも同じような声が寄せられたのだろう。

より不幸な人と比べて自分はずっとマシだという考え方には醜さがつきまとう。しかし、あまりにも状況が違えば、比較の対象にもならないのだ。あの人のほうがお金持ちだとか、あの人のほうが大きい家に住んでいるとか、そういう次元の問題ではない。

株価についてああでもないこうでもないと文句をたれることができる私は、非常にラッキーな人間である。

ローラー・コースターで遊んでいるんだから。




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 |  社会  |  コメント(2)

Comment

ひさしぶりに開けてみたら更新なさっていたのでとてもうれしくなりました! これからもブログ続けてくださいね! 楽しみにしています!
一ファン |  2011.08.14(日) 08:54 | URL |  【編集】

残暑お見舞い申し上げます。再開されたのですね。嬉しい!!日本は本日日曜日。本を読むのはやめにして、komettoさんのブログ拝読いたします。
sungoesup |  2011.08.14(日) 14:38 | URL |  【編集】

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