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初フィラデルフィア 前編

2011.08.10 (水)


うちからシティまでは遠い。最寄の駅にはだだっ広い駐車場がある。通勤者以外はかなり奥に停めることになり、そこから乗り場まで歩いて行くのに一苦労。駅までの行き帰りは夫に運転してもらうことにした。

早めについたので、1本早いのに乗っていた(電車が動き出してから気がついた事実)。シティについたら1時間も余裕がある。幸先がいい。

そして、グランド・セントラルでデニッシュを買い、シャトルを目指す。

最後にシャトルに乗ったのはいつだったか。たぶん子どもたちが生まれる前だ。だいぶ記憶がよみがえる。しかし、42ND STそしてTimes Squareと書いてある。Penn Stationという表示は見当たらない。でも、シャトルはひとつしかないし、グランド・セントラルとペン・ステーションを行ったり来たりしている電車だ。これしかありえない。

シャトルを降りると、やっぱりそこは42nd Street/Times Squareだった。アムトラックのAの字も見えない。

ともかく長男と地上に出てみた。

前にシティに来たときに印刷したミッドタウンの地図を出してみると、ペン・ステーションは34丁目あたりにある。いったいどういうことだろう。

アムトラックの出発時間は刻々とせまる。一駅で着くはずがとんでもないことになった。

そして、致命的な誤解にやっと気がついた。

ペン・ステーションに行くには、さらに地下鉄に乗らねばならないのだ。私はてっきりシャトルがそこまで続いていると思い込んでいた。

実は前日、夫にも確かめたのだ。「グランド・セントラルからペン・ステーションに行くにはシャトルでしょ?」

夫は「Sの文字をたどればいい。すぐ次の駅だよ」とうけ合った。

夫はNYCに住んだことがある。そうでなくても、数え切れないくらいシティに出かけた。それなのに、こんな初歩的な間違いをしでかしてくれたのだ。


        *


これ以上さまよい歩く時間はない。

ちょうど目の前に警察官が二人、パトカーにもたれていたので、ペン・ステーションの方角を聞いた。

おまわりさんは「ここをまっすぐ、34丁目にあります」と指差した。私は警察にしょっちゅうお世話になっている。なんど道案内を頼んだかわからない。

まだ朝早いが、蒸し暑い中を大急ぎで歩く。ぜんぜん計画になかった8ブロックものウォーキング。

そして34丁目までたどり着いたが、出発まで残りわずか5分。

しかし、どこを見渡してもペン・ステーションの建物がない。地図ではあるのに実物がないという例のパターンである。

なんでこんなところにマジソン・スクエア・ガーデンがあるの?

焦っている私はパニック寸前になった。

いかにも近所に住んでいそうな白人のおばさんを呼び止めて、すぐここにあるはずのペン・ステーションの場所を聞いた。彼女の英語には東欧のなまりがあった。親切に教えてくれたが、ともかくまた歩かなくてはならないらしい。

フィラデルフィアで迷うのは覚悟していたが、まだマンハッタンのど真ん中である。

長男は「おかあさん、あっちじゃない?」などど口を挟むものの、よくわかっていない。

足は痛いし、汗はかくし、よれよれでペンステーションに着いた。


         *


さすがにそこには「アムトラックはこちら」という表示があった。オンラインで予約した切符をキオスクで出す。

乗り場がどこなのか、さっぱりわからない。大きい待合室の周りをうろうろしたが、どこから電車のホームにつながるのか、ヒントすら見つけられなかった。

電光掲示板を見たが、すでに私たちの乗るはずだった電車は消えていた。

ともかく、確実なのは乗り遅れたという事実だけである。

「だから出かけたくないのよ!」といつもの文句を言う私。「だからダディの言うことをそのままうのみにしちゃいけないんだわ。あんたも自分でちゃんとルートを確認しておくべきだったのよ」と長男にやつあたり。

方向音痴の私と二人だけで知らない町へ行くというのに、危機感がなさすぎる。

切符売り場には長い列ができていた。私は待つのがいやでオンラインで切符を買ったのに。どうすればいいか、だめもとでカスタマー・サービスにまず聞くことにした。長男には切符売り場の列に並ぶように言いつけた。

私より先にヨーロッパ人が3人、グランド・セントラルへの行き方をたずねていた。デスクには黒人のおばさんが2人。なぜか1人が説明している間、もう1人はボケッとやり取りを見ている。次に並んでいる私に対応する気はないらしい。なんで1人1件ずつ担当しない?

ヨーロッパ人たちは、わかったんだかわかってないんだか、半ばあきらめた様子で出て行った。ニューヨーク州に住む私がこれだけ混乱するのだから、外国人が悩んだって不思議はない。

乗り遅れた旨をカスタマー・サービスのおばさんに告げると、彼女は「チケット・カウンターで手続きして」とそちらを指さした。「ペン・ステーションのわかりにくさはどうにかなりませんか。掲示板すらないし、どこに行けばいいのか、あまりに不親切すぎる」と文句を言おうと思ったが、きっと彼女たちは肩をすくめるくらいだろう。時間の無駄である。

そして、列の最後に並んでいた長男に合流した。

足は痛いし、蒸し暑いし、人が多いし、空気が悪い。私は外出も嫌いだが、並ぶのと待たされるのもそれと同じくらい嫌いなのだ。しかも、切符を変更すると、手数料が取られるだろうし、値段が違えば差額を払わねばならない。

じゅうぶん余裕を持って大学に到着するはずが、怪しくなってきた。

ちょうど飛行場のチェックイン・カウンターみたいに、荷物を持った人たちがじりじりと前進する。私たちは日帰りなので、何もない。それだけでもありがたい。

やっと順番が来た。

「この切符の列車に乗り遅れました。次のフィラデルフィア行きはいつですか」と私。

ガラスの向こうにいる、白人のおじさんは大きなあくびをしたあと、ぼそりと「xx時xx分、xxドル、xx時xx分、xxドル」と、これ以上やる気のない返事はできないという態度でつぶやいた。

防弾ガラスか何かしらないが、空気穴みたいなのもないし、マイクロフォンもない。ざわついた構内で、ちょっと耳の遠い人なら聞き取れないだろう。

私は隣に立っていた長男に「何て? すぐ次のほうが安いの?」とたずねた。

「いや、ちがうよ。最初のはxxドルで」と説明を始めた長男をさえぎり、

「すぐ次のほうが安いとおっしゃいました?」と切符売りのおじさんに直接聞いた。

「ノー。」

「その次は何時出発なんですか。次の次は?」と私は自分ではっきりさせたくなった。おじさんは出発時間を言うものの、あと何分で出るのかは言ってくれない。そのへんに時計もない。私の携帯はかばんの底にある。

「いま何時ですか」と聞くと教えてくれる。乗客の立場に立って、気を回して情報を渡すつもりはないらしい。

大学の予約時間から逆算して、早いほう(そして、高いほう)の切符を買った。差額はクレジットカードで払ったが、結局二人分でいくらかかったのか、わからなくなった。変更手数料も取られたんだろうか。

「どのトラックから出るんですか」と聞いたら、「掲示板で見てください。出発の10分前に出ます」と切符売り。

耳を疑った。10分前? 長男に確かめたら、やっぱりそう言っているとのことだった。

私たちは1時間も待ち時間があったが、直前までどのトラックかわからなかった。慣れたら何でもないのだろうが、初めて乗る私は戸惑った。

アムトラックは、ボストンとワシントンの間にAcela Express という高速列車を走らせている。そのために私はアムトラックを日本の新幹線と同じような感覚で捉えていた。

でも、「出発の30分前に駅に来てください」と飛行機みたいな指示が予約のレシートに書いてあった。それでいて、駅での切符変更はいかにも大陸での長距離列車らしかった。これは新幹線じゃない。

旅なれた人なら、なんでもないんだろうか。(日本以外の)どこの鉄道でもこんなもんだろうか。


             *


電光掲示板に私たちの乗る電車のトラック番号がやっと出た。

待合室に向かう途中でふと見上げると、3とか4とか数字が並んでいて、やっとそれがトラック番号、すなわち乗り場への入り口であることがわかった。

そして、飛行機の搭乗のように、乗客は列を作り、係員に長い切符を見せて、エスカレーターでやっとホームに降りられる。

私のすぐ前にいた青年は、小さい切符を見せて(アムトラックの切符は飛行機のチケットのように大きい)、駅員に「どこへ行くんですか。これはアムトラックの切符じゃありませんよ」と断られていた。英語がわからないらしく、青年は困った顔をした。

どこから迷い込んできたのか知らないが、きっと彼が自分の目的地に着くまで、相当の時間がかかりそうな気がした。

東海岸に20年も住んで、英語もわかる私がこれだけ迷ったのである。いったい誰がこの駅のレイアウトやらデザインを考えたのか。グランド・セントラルも大きいけれど、まだしもわかりやすいし、表示がきちんとしている。

長男と二人でペン・ステーションの欠点をあげつらいながら、エスカレーターを降りる。


               *


切符にはリザーブとあるが、車両や座席番号は書いてない。駅員に聞くと、「どこでもお座りください」と言う。コーチ、ビジネスというクラスの違いはあるが、その中ならつまり早い者勝ちらしい。

大きいスーツケースを持った旅行者も多い。

そして、切羽詰ったアナウンスが流れる。

「本日はソールド・アウト、満席です!座席に荷物は置かないで。切符を持たないお子さんはひざの上に。」

私と長男は、二つ並んでいる席がなさそうだったので、通路をはさんでさっさと座った。やっとこれでフィラデルフィアに近づく。

すでに私はクタクタだった。座席は思ったよりゆったりしていた(平均的なアメリカ人にはそうでもないか)。

私の隣にいたおばさんがすぐ次で降りたので、長男に私の隣に来させた。そして、電車がまた動き始めると、車掌がやってきて「切符を拝見」と私にだけ言う。すでに私たちは切符を見せて、半券を持っていた。

「どなたか動きましたか」と車掌さん。

「ここにいた人がさっきの駅でおりて、息子は通路の向こう側からこちらへ移動しましたけど」と私。

そして、息子のいた席には、さっきの駅で乗った黒人女性が座っていた。

車掌はわかったという顔で、座席の上のさしこんであったカードとメモをヒョイヒョイと動かし、黒人女性の切符を確かめた。

「ねえ、席を替わっちゃいけないみたいよ」とひそひそ話す私。

「ぼくも知らなかった」と長男。

この組み合わせはよくない。夫と長男、あるいは私と次男のほうがまだしもお互いを補うことができる。

しかし、いまさら引き返すわけにはいかない。

フィラデルフィアでのタクシー・ドライバーに渡すチップの心配なんかをしていた私は、予想外のトラブル続きでどっと疲れが出た。

ふつうの人なら、ニューヨークからフィラデルイアまでスイスイと乗り継いでいくだろうが、私はこと移動についてはふつうではない。ふつうの人ならまずやらない間違いをしでかす。

今回は夫までもがシャトルについて思い違いをしていたために、トラブルが倍増してしまった。歩かなくてもいいマンハッタンを歩き回って足の裏は痛く、乗り遅れでハラハラし、駅員にムッとして、精神的にもどっと疲れてしまった。

しかも、まだペンシルバニア州にすら入っていないのである。

後編に続く)



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 |  生活  |  コメント(1)

Comment

あ~、もうハラハラドキドキです。
頼りにならない長男君(ごめんなさい)にヤキモキ、勘違い夫君にイライラでもあります。
ひまわり |  2011.08.10(水) 19:10 | URL |  【編集】

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