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むなしい平行線

2011.08.08 (月)


私が長男を連れて行くことになったフィラデルフィアの大学訪問。悩む間もなく、もう明日である。

私より夫のほうが観察力があり(私は周囲の物事にあまり興味を持てない。目は見ていても脳みそが働かない。ふーん、へー、と思って通り過ぎるだけ。あるいは、表面的な情報で判断してしまう。総合的に考えない)、なんといってもアメリカ生活に関しては私よりもベテランなのだから、本当は夫に参加してもらいたかった。

あれだけよさそうだったバーモント州の大学も、帰る道すがら、夫の解説を聞いて私はやっと合点が行った。そして、結局あの大学はだめだという、夫と同じ結論を出した。

その後、日本のパスポートを受け取りにシティに行った際、私は次男と先に帰宅し、夫と長男だけは大学を1校見学して来た。そのときの話を聞いても、やはり私とは目の付け所が違うなと思った。

私が付き添っても交通費の無駄なのだが、長男一人で行かせるわけにいかない。


       *


地図で見ると、大学はアムトラックの駅からそんなに遠くない。電車(トロリー?)もバスもあるが、距離のわりに乗り換えがあったり、歩かなければならなかったりする。

大学のサイトでも交通手段としてタクシーを一番最初に挙げていた。

夫に相談してみる。

「明日の大学、すぐここにあるんだけど」と地図を示し、「これっぽちの距離で、乗り継ぎとかややこしそうなのよ」と私。

「これはタクシーだね」と夫は即答した。

「やっぱりそうしようかしら。でも、アムトラックの駅にはタクシー乗り場があるだろうけど、大学からはどうやってタクシーをつかまえたらいいの?」

「行きのタクシーのドライバーから名刺をもらえばいい。大学でもタクシー会社の番号くらい持ってるよ。アドミッション・オフィスで呼んでくれるかもしれん」と適当なことを言う。

これまで大学訪問ではどこも至れり尽くせりだったし、見るからにおのぼりさんの私が頼めば、タクシーを手配してくれそうな気がしてきた。もうその場でどうにかしよう。


            *


「タクシーのチップ、15%でいいと思う?」と私。

「いいよ。ごく順当だ。」

「20%だったら?」

「すごくいいチップだね。」

「じゃあ10%は?」

「そりゃチープ過ぎる。止めとけ。」

私だって、アメリカ生活は長い。髪を切っても、レストランで食事しても、チップを払う。

ホテルでポーターに荷物を運んでもらうときは、夫がさっと出すので、私はまず渡す機会がない。ドアマンにはどうするのか、私はいまだによくわからない。タクシーを呼んでくれたり、荷物がたくさんあるのを手伝ってくれたりしたら、たぶん払うんだろう。1ドル、2ドル、5ドル?

どこでも最低15%は出す。ヘアサロンでは20%。

ケチな私は、そのたびに騙されたような気になりつつ、毎回あきらめてチップを加算する。

ウェイトレスはチップ込みでやっと最低賃金を稼いでいるとか、サービスがよければそれに見合ったチップを渡すのが習慣だとか、頭では理解している。しかし、20年以上住んでも、すんなり受け入れられないのだ。

「それ、変じゃない? タクシーの運転手はお客さんを目的地まで運ぶのが仕事でしょ。当然のことをして、どうしてチップをもらおうとするの?」

「いいサービスをしてくれたら払うさ。」

「だから、サービスって何よ。わたし、飛行機のパイロットにチップ払わないわよ。」

「ぼくがもらっていたPerformance Bonusと同じだと思えばいいよ。」

夫の会社では毎年3月にボーナスが出た。でも、それはまず業績がよくて皆に配分できる利益があるのが前提で、また各部署で分け前が違い、個人でも評価によって金額が違った。

「あれは売り上げから出たんでしょ。だったら、タクシー会社の売り上げから出すべきじゃないの。」

「いや、運転手個人のパフォーマンスに対するチップだよ。」

「そりゃチップをはずみたいくらいの素晴らしいパフォーマンスなら話は別よ。私なんか、日本のヘアサロンとレストランで感激して、チップあげたくなるもの」と、私は迅速で丁寧で礼儀正しい日本の接客について具体例を挙げた。夫は同じ話を何度も聞かされている。

彼らは当然のことをしているにすぎないのだが、アメリカではその程度(往々にして、それ以下)でもチップが要求されるのだ。

「それにしたって、このごろじゃどこでも20%が基準みたいになってきて、それが当然って顔されるのがいやだわ。サンキュ~って気のない返事をされると、この悪習をどうしかしてくれと思うわよ。いつかのNYタイムズでも論争してたし、アメリカ人だって飽き飽きしてるんだわ。きっと私、死ぬまでチップには慣れない。なんかモヤモヤしたまま死んでくのよ。」


         *


夫はまずいストア・ブランドの缶詰を買って節約したりする一方で、チップはかなり多めに出す。

私は20%よりは18%あたりでまとめようとするのだが、夫は隣から「15ドルあげろ」などと口を挟む。

レストランで注文を取りに来たウェイトレスと、なんだか話がはずむのはよくない前兆である。会計の段になって、「彼女、大学生だと言ってただろう。25%にしよう。サービスにも気をつかってくれたし」と言い出す。

あれくらい普通の仕事でしょ、と思うが、テーブルでチップの額を言い争う夫婦は見苦しい。

どうせ夫の稼ぎなので、24%くらいにしておく。1%はささやかな抵抗である。

夫は私がチップが嫌いなのをよく知っている。こんな議論をふっかけても、たいてい私を説得しようと試みる。

しかしいくら理論で攻めてこようが、心情的に受け入れがたいのだからしょうがない。

どこまで行っても平行線。

夫と私のチップに関する見解は、双方歩み寄ることがない。結局、それがアメリカの常識だからとなり、議論しても無駄なのだが、たまに私は(アメリカ人代表の)夫に苦情を申し立てる。

でも、アメリカに住むかぎり、私は「慣例であるところのチップ」という、わけのわからん事象から逃れられない。

そして日本に帰るたびに、あちこちで(日本なら当たり前であろう)行き届いたサービスを受け、「こんなによくしてもらっても、チップ出さなくていいのか」と感激し、チップを払わないでお店を出ることに罪悪感を感じ、「私だってね、これくらいのサービスを受ければチップをあげたくなるのよ。聞いてんの、アメリカ?!」と、アメリカのチップ制度にますます不満がつのるのであった。

明日は1ドル札を用意しておかねばならない。

そして、タクシーの運転手は私たちを駅から大学まで送り届け、私は引きつった笑顔とともに料金と15%のチップを渡すのである。



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 |  社会  |  コメント(1)

Comment

日本人の私には到底理化できないチップの不思議・・・。
しかしアメリカ人は100分数(%)の計算がお得意なのでしょうか?10%と20%くらいはすんなり計算できますが。
ひまわり |  2011.08.10(水) 19:02 | URL |  【編集】

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