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鼻輪とヌードモデル

2011.08.06 (土)


ついに6週間の送り迎えが終わった。開放感でいっぱいである。

最終日のパーティとは名ばかりで、エアコンもない巨大な倉庫のような建物(ここで長男は4週間も絵を描いたり、オブジェを作っていたらしい)の中に長いテーブルをつなげ、みんなが持ってきた差し入れのお菓子やチップスやソーダが並べてあった。

このコースに参加した子どもたちと家族がうろうろしている。カジュアルというのか、挨拶の言葉もない。場末の画廊のオープニングパーティか。あるいは、ゆるい校内展示会、おやつ付。

アーティストの巣窟みたいな場所だ。

壁一面に絵というべきか、イラストというべきか、ありとあらゆるイメージがペンキで描かれ、トイレ・シートまでそんな感じでたまげた。中央ではスライドショーをやっている。

卓球台やらアーケードゲーム機やらビリヤード台が並び、破れたソファ、ペンキだらけのテーブル、壁にはLPレコードがそのまま取り付けられていた。

子どもたちの作品は区切られた部屋にあり、そこだけは白い壁になっていた。

「おかあさん、どう思う?」と長男。

「うーん、どう思うと言われても…」と私。

私はまったく芸術センスがない。ある絵がどちらかといえば好きか嫌いかくらいは答えられるが、たいていは何もコメントがないのだ。前衛的なオブジェにいたっては、「こんなのがうちにあったら、邪魔だわ」と思う。

それでも、「これはうまいじゃない。あれはおもしろい感じ」と適当に批評してみた。長男本人の作品については、はたしてこれで大学に行けるほどの才能なのかどうか、それしか考えられない。

朝、長男を送り届けて、図書館や銀行やスーパーにより、家でフランスパンを2つ食べただけで、次男を歯科矯正医に連れて行き(こちらも無事に終了)、私はおなかがすいていた。芸術よりも食べ物に関心が向く。


              *


「先生はどの人?」と長男に聞いてみた。

こういうとき、日本語で会話できるのはいい。小声で、しかし堂々と人を形容できる。

一人は背の高い若い(このごろは、たいていの人が若い)男の人で、オレンジ色のポロシャツとカーキパンツという平凡な服装だった。身だしなみもきちんとして、まるで会社員。アートの先生とは思えない。

もう一人は初老のほっそりした女性で、首にスカーフを巻き、涼しそうなブラウスとスカート。長男の選択しなかった「ファイバー・アート」を教えていたという。静かにほほえむような、こちらも意外に普通の人に見えた。

「あと一人はねえ、あそこに立ってるパープルのシャツの人」と長男。

彼女が体の向きを変えて、私はぎょっとなった。

シルバーの太い鼻輪をしていた。

「あの、鼻にリングつけている人? あの人? 何を教えてる人? ここの教授?」

「うん、ここで卒業して、ここで教えてるって。」 そして、私のわからない彼女の取り組んでいる芸術について長男が続けたが、私は鼻輪から目が離せない。

鼻輪をした人間を見たことがないのではないが、それにしても、これは知恵の輪みたいに太い。本当に鼻の中に穴を開けているのか、クリップみたいになっているのか。磁石で鼻腔の両側からとめているのか。気になってしょうがない。鼻をかむときはどうするんだろう。寝るときははずすんだろうか。

いちおう挨拶しようと思って、鼻輪先生(名前はスー)に話しかけた。とても気さくで、よければ長男の推薦状を書いてくれると言ってくれた。お礼を述べつつ、「鼻輪についてお伺いしたいんですけど」とのどまでで出かかった。

スー先生の目を見て話そうとしても、銀色に光る鼻輪に吸い寄せられた。アーティストでなくても鼻輪をする人はいるだろうに、壁一面に絵がかかれた不思議な空間にいたせいか、異人種に見えた。

いや、私とは本当に住む世界がちがうのだ。

レシピ・カードにポップ’オーバーのイラストを描いて冷蔵庫にはったら、「これ、ブロッコリー?」と次男に聞かれたくらい、私は絵心がない。

それにしても、長男はアートで食べていけるのだろうか。好きなこと、やりたいことがあるのは幸せだと思うが、ロマンのない私は生活のことばかり心配している。


            *


ぼちぼち帰り支度をする親子の姿が見られた。

私は異空間から脱出したくて、長男に自分の作品をまとめるように言った。駐車場が遠いので、車を回さねばならない。

車を入り口の近くに停めて、戻ってみると、絵やオブジェが山積みになってはいるが、長男も次男もいない。外に出て携帯から電話したが、誰も出ない。あちこち見回し、まだ作品を取り外しているかもしれないと、白い部屋も一通り探したがいない。

彼らはいつもこうなのだ。どうして言われたところでちゃんと待機しないのだ。

イライラがつのる。

そして、はたと気がついた。アーケードゲームがずらりと並んだ一角をのぞいてみると、やっぱり二人ともそこでゲームをしていた。

私は怒りくるって、「なにやってんのよ!おかあさん、もう5分も待ってんのよ。車も停めっぱなしだし、すぐ来なさい!」と言いつけた。

「ごめん、一人の友だちが最後にいっしょにゲームやろうって」と言い訳をする長男。

こういうときに、友だちが単数であることを明確にする意義は何? 私にとっては一人だろうが五人だろうが関係ないけれど、英語の影響で長男も次男もときおりこういう言い方をする。

がっくりしつつ、まだゲームから離れない次男を呼び、車に向かう。

オレンジのポロシャツを着た先生(デレク)は、「とてもよくやってましたよ。熱心で、それにmatureですね、彼は」と長男をほめてくれたが、絵を描くときはともかく、実生活では5歳児と同じなのである。

彫刻の時間に、ガールフレンドのジェシカの誕生日プレゼントにするという刀セット4本を作ったのだそうだ。私の身長より長いシロモノである。そんなものもらって、どうする?


          *


ところで、このコースはpre-collegeというだけあって、かなり本格的だったらしい。

初日に長男を迎えに行ったとき、クラスはどうだったかと聞いたら、「ヌードモデルが来たよ」。

ピューリタニズムの呪縛から逃れられないアメリカで、せいぜい17か16の子どもたちの前で、そんなことをするのか。訴える親はいないのか。それとも、アーティストを目指す子どもたちの親だから、そのへんは寛容なのか。

「ええーっ、ほんと? どんな人? いきなりなの? 寒いじゃない?」とトンチンカンなことを言う私。若いグラマラスな美女だったら、デッサンどころじゃなくなるんじゃないだろうか。

「おばさんだよ。でも、スポーツをやってたみたいな筋肉の体だった。先生が、そのポーズで10分は大変じゃないかって聞いたら、30分でもできますって」と長男。どうして私がそんなに驚き、慌てふためくのかわからないふうだった。

そうか、プロのモデルか。それにしても、素っ裸の女性など、長男はネットでしかじっくり見たことはないだろうに。ボッティッチェリの絵を鑑賞するのとは違う。

最終日には、その女性モデルを描いたらしい作品がいくつも展示してあり、男性ヌードもあった。私は絵に興味がないので、長男にコースの内容をあまり聞かなかったが、男性ヌードモデルも来たらしい。

女性も男性もほんとうに全裸なのだった。




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 |  子ども  |  コメント(3)

Comment

やっぱり

コメットさんのブログ、すごく面白い! 待つ間、過去のを読んでいました。原発関係は、雑音が多くてお疲れになったことと思います。私は新潟ですが、今後収穫の時期、また生産者を苦しめる事実が明らかになるでしょう。コメットさんの地元?の東海テレビの愚かな事件、どうしようもない精神の麻痺を感じます。まさにマス「ゴミ」です。
ケイ |  2011.08.07(日) 10:02 | URL |  【編集】

おかえり

待ってましたよ~。
心配も勝手にしてました。
お元気そうで良かった。
毎年夏は忙しそうだからかなぁっておもったり具合が悪すぎるのか・・・
あ~良かった。

それにしても普通の主婦ですといいながら
色々な経験しますよね~。
○ー○モデル!?同じ年頃の子供を持つ親なのでびっくりしています。
高校生でありえないです!・・でも芸術系は普通なのかな。外国は子供に色々な経験をさせる教育方針が羨ましいかな。

またブログ楽しみです。

ps モデルの前に文字を入れたら「禁止キーワード」で送信ができなかった。
なので○にしました。
りんご |  2011.08.07(日) 19:03 | URL |  【編集】

待っていました!

おかえりなさい。毎回ブログの更新を楽しみにしておりました。アメリカの西海岸に留学中なので、またひと味違った生活が目に見えるのも面白いです。
鼻輪先生とでも呼びたくなりますよね。笑 アメリカは本当に色々な意味で個性に寛容な国だなあ、と思います。
無理をなさらず、ご自分のペースで執筆なさってくださいね。
蜜柑 |  2011.08.07(日) 19:11 | URL |  【編集】

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