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「大学浪人」という概念

2011.03.05 (土)



私はほとんど1日中家にいるので、時間だけはありそうなものだが、こういう忙しいときにかぎって興味深い事件があちこちで起きる。ついニュースを読んでしまって、仕事が片付かない。

日本では、大学入試の本番中に携帯電話から質問サイトに投稿し、解答を募った事件があった。

ヤフーで英語の解答案を見たが、あれでは合格できまい。機械翻訳にしてもひどい。単純な英文しか書けなくても、自分の頭で考えてまともに取り組んだほうがよっぽど得点できそうだ。

この生徒は1年間浪人生活をしていたという。

しかも、高3のときに父親を亡くし、シングルマザーとなった母親から仕送りをもらって、予備校の寮(そんなものがあるのか)に住んでいたのだそうだ。グレていたのでもなく、前科者でもなく、むしろ真面目で孤独な浪人生活を送っていたという印象を受けた。

京大を受けるくらいだから、勉強は得意なほうなのだろう。でも、統一テスト(私の時代には共通一次試験だった)でいい点数が取れなかった。

よほど追い詰められていたらしく、心療内科を探していたという報道も読んだ。

ちょっと考えたら、こんなズルはすぐに足がつくとわかる。母親にとって、息子が有名大学に合格する喜びより、警察のやっかいになる悲しみのほうがどれだけ大きいか、想像できそうなものだ。

それにしても、試験監督が甘い。まさか携帯でカンニングするなんてと、なにを今さら驚いているのだ。

夫によると、アメリカの大学レベルの試験では携帯の持込は厳禁だそうだ。そういえば、長男がSATの模擬試験のようなPSATを去年受けたのだが、筆記用具や電卓以外の荷物は廊下に出したと言っていた。


         *


うちの長男は9月にシニア、つまりハイスクールの最終学年に上がる。

来年の1月には7~8校の大学へ願書を出す。本人も多少は考えているようだが、この予備校生のストレスレベルとは雲泥の差である。長男より私のほうがやきもきしている。

それでも、たぶんどこかに収まるだろうという気がする。最悪の場合は、2年制のコミュニティ・カレッジに入ってから4年制の大学へ編入する、あるいは専門学校へ行くという手もある。それもだめなら、1年間日本で働いてもいい。そして、来年またSATを受け、エッセイを書き、大学へ願書を出す。

いずれにせよ、浪人になる予定はない。

夫にこの事件の説明をしてから聞いてみたが、アメリカには日本の「浪人」という概念はないと言う。

(博士号を取得後、行き場がないという人はいるかもしれないが、私はそちらの世界はまったく知らないので、大学入学の話に限定する)。

ところで、夫は日本の受験事情を知らない。記憶式詰め込み教育が主流で、子どもはジュクに通い、トーダイが頂点にあり、合否は一発試験で決まるというくらいのレベルか。

ローニンは知っているが、時代劇に出てくるほうの浪人である。大学浪人の解説に手間取った。こんなふうに説明してみた。

「大学進学希望者は高校を3月に卒業して、翌月に大学に入学するのが通常のコースであり、だから大学生のほとんどは18歳から25歳くらいまでの年齢層に限定されていて、希望大学に受からなければ予備校(こういう学校の存在から解説せねばならない)で筆記試験の勉強をやって、1年後に再度受験に挑むが、また失敗したらもう1年また予備校に通う。3年以上そういう生活を続ける人もいる。」

アメリカ生活が長くなった今、これはかなり異様に思える。


          *


私自身はアメリカの大学で勉強したことがないので話に聞くだけだが、高校卒業後にまず働き、それから大学へ行く人もそれほど珍しくない。大学から合格通知をもらっても、入学を1年先にしてもらい、高校卒業からの1年間バックパック旅行で世界を見て回るなんていう人もいる。

そういう柔軟性が日本にはない。

もちろん、宝くじみたいに競争率の高い一流大学を目指す人は、SAT(これが日本の共通テストに当たる。春と秋の2回あり、1回でも2回でも受けていい。それとは別に ACT というテストも受けたい人は受ける)でもGPA(成績評価平均点)でも、点数を上げるために必死で頑張る。

それに加えて、クラブ活動やボランティア、サイエンスのコンクール、楽器にスポーツと、自分をアピールすべく、時間も労力もお金もかける。

アメリカの大学入試はテストの点数や通信簿だけで決まらない。かなりグレーな部分がある。

親がその学校の卒業生だったり、親が有力者だったりすると、有利に働く。ジョージWみたいなパーが、パパの後押しでエール大学とハーバード・ビジネススクールに入学し、しかも卒業できたのはそういう仕組みの恩恵を受けたからである。おかしな話だ。

そういう迷惑もあるけれど、長男みたいな子は日本の受験競争についていけないので、アメリカに生まれてよかったと思う。

ゆとり教育時代、日本は個性を伸ばすという方針を示していたらしいが、あれは単なるお役所の言葉遊びだったというのが私の意見である。実質はない。それで当然のごとく個性は育たず、学力は低下し、今度は慌てて授業時間を増やしたりして滑稽ですらある。

アメリカはアメリカで、自分がどれだけのことを成し遂げたかをアピールする競争が激しくなるという弊害が出てくる。好成績を保ちつつ、課外活動にも手が抜けない。

どいつもこいつも「南米の貧しい村で井戸掘りボランティアをして、村に初めての水道設備を導入した」だの「xxという目標のために、xxという組織を立ち上げ、xxドル相当の事業をした」だの、夫が大学に入った1970年ごろとは雲泥の差である。もちろん、そういうことを願書に書きたい高校生のために、ツアーを企画するビジネスもできた。エッセイの書き方コーチもいる。そうなると親の経済力に左右される。

皮肉なことに、大学の入学審査官の中には「またこういう功績話か」「プロに指導してもらったエッセイだな」と飽き飽きしてきた人もいるとどこかで読んだ。

もちろんSATやGPAは重要だが、客観的に点数だけで決まるのとは違った難しさがある。

じゃあ、どうすればいいのよ?!と私がアメリカの受験生なら途方にくれる。


            *


カンニングはアメリカにもある。Cheating と呼ぶ。

中国では、携帯で外部と連絡を取って解答を教えてもらっていた例や、別人が受験者になりすまして試験を受けた例があった。日本より受験戦争が激しいという韓国でもあるだろうし、ヨーロッパだってあると思う。

カンニングだけでなく、盗作だってどこの国にもあるのだ。

人間の考えることは、どこにいてもたいしてかわらない。人種や国籍に関わらず、不正をする人はするし、しない人はしない。

この予備校生は、これで前科者になったのだろうか。将来、大学受験や就職試験に臨むとき、「2011年に不正入試により逮捕」という情報がついて回るのだろうか。

確かに本人は悪いことをした。相応の処罰が必要だと思う。しかし、高校を卒業して、年を空けずに大学へ進学し、4年後には正社員として就職するという大前提が根強い日本で、いったんレールを外れたらどうやって再起したらいいのか。最近でこそフリーターや中途採用が珍しくないものの、おそらく先行きは厳しい。

そして、彼の母親も苦しいだろうと思う。無理して有名大学に行かなくてもいいと言ってやればよかったとか、そこまで追い詰められていた息子の気持ちがなぜわからなかったのかとか、自分を責めているんじゃないだろうか。


          *


ところで、私は子どもたちに「世間に後ろ指をさされるようなことだけはしてくれるな」とつねづね言い聞かせている。

未成年が飲酒運転やドラッグ所持でつかまったというニュースがローカル新聞に出れば、「警察のお世話になることだけはしてくれるな」と諭す。

小さい頃から、人の迷惑になることはしてはいけないと教えてきた。これは特に日本的な考え方なのかどうか、わからない。

「それじゃあ、あちらのお宅に迷惑でしょ」とか「あんただけ遅れたら、みんなが迷惑するじゃないの」ということはしょっちゅう口に出る。だから、子どもたちもそういう感覚をいくらか持っていると思う。

夫はあまりそういうことを言わない。むしろ、私が気を回しすぎだと考えているふしがある。

どっちにしろ、不正を働くのは不名誉なことだ。予備校生もそんなことは承知の上でやったはずである。

年を取れば、大学だけがすべてではないとわかる。いい大学=いい会社=いい人生という保証はないのだが、予備校で1年も毎日受験勉強だけをしていたら、大学合格以外のゴールは見えないのだろう。

私は現役で合格したものの、4年間の大学生活を無意味に過ごし、どういう因果かアメリカ人と結婚して、日本はしだいに遠くなり、人生50年を目前にしながら未だに何がしたいのか何ができるのかわからずに、ぼんやりしている。

大学に行ってもこんなんじゃあ困るねえといういい見本である。



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 |  社会  |  コメント(1)

Comment

教育

今回の記事は非常に考えるポイントが多くあり、2回目ですが投稿してみます。
たしかに彼は、ヒーローでもあり、犯罪者でもあり、日本でも評価が分かれていますが、まあここまで叩かれてはもう浮かび上がれないでしょう、その辺が日本の残念なことだと思います。
僕はいま留学を終えて日本に帰るのですが、子供達はアメリカの学校に残りたいと言っています。日本の閉塞的な受験システムにのっかっていけばよいのか、それともアメリカに再度留学させていけばよいのか、悩む点は多々あります。ただ、日本の国立大学はアメリカの多くの大学よりも授業料が安いのでその点は大きいなと思われます。
とりとめもないですが、、、
zen1999 |  2011.03.06(日) 16:01 | URL |  【編集】

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