スポンサーサイト

--.--.-- (--)


上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



クリック募金を始めました。下記サイトにて協賛企業のリンクを各社1回クリックすると、1円ずつ募金できます。
    JWordクリック募金

 |  スポンサー広告

G氏の奥さん デニース

2011.02.14 (月)



休職中の夫にG氏が連絡してきたのは、たぶん2年前のこと。

ふだん以上に生活が不規則になり、手持ち無沙汰だった夫に何かやることができて、私はほっとした。無報酬であっても、毎日G氏と話をして、助言したり討論したりするのは精神安定のためにもいいと思った。

その後何度かG氏の仕事の話を聞いたが、どうも私にはよくわからなかった。

「Gの奥さんも手伝うらしいよ。きみもやってみる?」と言われたこともあった。少し書類を見たが、とても私には歯が立たない。データ入力を少しだけ手伝った。

もしG氏の会社に正式に参加して引っ越すとなれば(そのころには少なくとも長男は大学に行っているはず)、雑用くらいはできると思うと夫には伝えた。

私は単純作業が好きなのである。

書類を作ったり、ファイリングを工夫したり、何かを順番にしたり、そういうことが性にあっている。その割には片付けがはかどらないが、オフィスという環境ではやる気が違う。

G氏が私を雇ってくれるという保証はない。関節炎と老眼に悩む私よりは、大学生のインターンでも使ったほうがよさそうな気もする。一日中夫と同じ空間にいるのも疲れる。

私はお菓子の差し入れ係くらいがちょうどいいが、すべては今後G氏のスタートアップがどうなるかにかかっている。


            *


G氏は自己資金をミリオン単位で会社につぎ込んでいるので、奥さんのデニースは機嫌が悪い。

私は彼女に会ったことも話したこともない。たぶん私と同じくらいの年齢ではないかと思う。子どもは2人いて、1人は大学生、もう1人はハイスクール。

「それだけお金があるんでしょうけど、貯金をミリオンも使われたら、私だって怒るわよ。」と夫に言う。

「Gは前にも会社を作って、それが成功したから、確かにお金はあるみたいだ。でも、会社を立ち上げるのは大変なんだよ。特に最初のうちは、いくら投資家が出してくれても、ある程度は自己資金も必要になる。」と講義を始める夫。

私だってそれくらい想像がつく。

「デニースはちょくちょく旅行に出るらしい。この間も、友だちとハワイかどこかに行っていたし。まあ、Gもそのほうがたまには解放されていいと思うよ。」

まだ貯金はあるのだろうが、腹いせに旅行に出るのか。それとも、ご主人と顔を合わせると愚痴が出るから、わざと離れるのか。

奥さんはかなり勝手にやっているような印象を受けた。典型的な、ちょっと強気のアメリカ人奥さんかもしれない。


            *


あるとき、夫はG氏と丸一日連絡が取れなくなった。

いつもスカイプとメールでやり取りをしていたのに、電話にも出ない。ちょうどその頃、G氏の疲れがたまっていて、夫は最悪の事態を危惧した。奥さんは泊りがけで出かけていて、不在だった。

夫はG氏の町にある警察に電話をして、警官にG氏の自宅まで見に行ってもらった。私は大げさなと思ったが、言わないでおいた。

G氏は生きていたが、どうにも仕事から離れたくなって、寝たり、外を歩いたり、ボンヤリしていたらしい。「Gに感謝されたよ。」と夫。

いきなり警察がうちの玄関に現れたら迷惑だし、事件でもないのに警察を呼びつけるのは気が引ける。ただし、警察は嫌味も言わず、「これが仕事ですから」と無事を確かめて立ち去ったのだそうだ。

そんなこともあって、G氏の苦労がわかるのは夫だけかもしれないと思うようになった。


            *


「デニースが実家に戻るというくらい、こじれてきたらしい」と夫が言う。

「貯金をこれ以上スタートアップにつぎ込まれたら、そりゃ心配にもなるでしょう。」 私なんか、500ドル単位で夫にムカムカするのに、あちらはミリオンなのである。

「それもそうなんだが、彼女は家でパーティをやりたいらしい。前はよくやっていたのに、それができなくなって、怒ってるんだそうだ。」

「パーティ? G氏の会社のために取引先でも招いたの? G氏の立場なら、そういうのも必要じゃない?」

私はパーティと名のつくものは嫌いである。

出かけるのはもちろん、招くのもいやだ。まあ仕事と思えばできないことはない。私は知らない人とでも適当に話を合わせることができる。そういう場では、ごく表面的な会話でいいのだ。アメリカ人が得意とするところである。

「いや、仕事というか、友だちでも知り合いでもなんでもいいらしい。ともかくケータリングを雇って、皆を家に招待して、パーティを開くこと自体が好きらしい。G氏は会社の立ち上げにかかりっきりだし、資金の問題もあるし、そういう暮らしができなくなって不満が貯まっているんだそうだ。」

夫は私のパーティ嫌いを知っている。デニースは私の対極にある。夫の継母の長女夫妻を思い出した。ハリウッドのエンタテインメント業界周辺にいて、ブラックタイ・パーティが大好きな人たちである。

「それでも、たまにはパーティをやるらしいが、Gにも参加させたがるんだな。お客さんに愛想を振りまいて、気の利いたことを言って、パーティを盛り上げてもらいたいらしい。Gはそれどころじゃない。今は1分でもスタートアップのために費やしたいんだ。」

「G氏はパーティが好きなの? 時間もお金も余裕があるときは、パーティがしたいタイプなの?」

「そのへんはよくわからん。それで、デニースは外食も好きで、Gに連れて行けというらしい。」

「それで! この間も彼がつかまらないと思ったら、奥さんにレストランへ引っぱって行かれたっていう話ね。」

「ちょっとデニースに付き合わなくちゃいかんとGは慌ててスカイプを切って、それから戻ってこなかった。また心配したけど、夜遅くになってディナーに行ってたことがわかった。奥さんのご機嫌取りだよ。」


           *


G氏はかなり奥さんの尻に敷かれているということだろうか。それとも惚れていて言いなりなのだろうか。

奥さんはG氏が毎日どれくらい仕事をしているかわかっていそうなものだが、それでも(おそらく)高級レストランへ(きっと)着飾って出かけたいと言う自分の要求は曲げないらしい。

「もうケータリングを頼んでのパーティができないなら、家にいたってしょうがない、自分の母親の家に行くと言っているらしいよ。」

子どもはどうするんだろう。ハイスクールだから自分のことはまあできるだろうが、それくらいの理由で「実家に帰らせていただきます」となるのか。

彼女と私の接点は、「おいしいものを食べたい」ということだけかもしれない。

私は出かけるのはきらいだし、肉もきらいだが、外食はきらいではない。うちから30分以内にまともなレストランが1つもないので、出かけないだけである(お金がもったいないせいもある)。

ただし、それは高級である必要はない。おいしければいいのであって、有名店でなくてもいい。私は並ぶのも嫌いなので、行列を作らねば入れないようなお店は困る。

私がG氏とデニースに会うのはかなり先になりそうである。


<今日の英語>  

I sized him up.
彼を品定めしました。


ホームレスの男に言い寄られたある独身女性の一言。



クリック募金を始めました。下記サイトにて協賛企業のリンクを各社1回クリックすると、1円ずつ募金できます。
    JWordクリック募金

 |  アメリカ人  |  コメント(0)

Comment

コメントを投稿する

URL
コメント
パスワード  編集・削除するのに必要
非公開  管理者だけにコメントを表示  (非公開コメント投稿可能)
 

▲ページトップへ

Trackback

この記事のトラックバックURL

→http://halfwaymark.blog114.fc2.com/tb.php/732-04db1d9b

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事へのトラックバック

▲ページトップへ

 | ホーム | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。