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G氏からのメール

2011.02.08 (火)



せっかく私が譲歩して、G氏にメールを書いてもらわなくてもよいと言ったのに、夫はその日とうとうメールを送ってこなかった。電話での受け答えからして、G氏は関わりたくなさそうだった。いったい夫は何を画策しているのだろう。

夫とG氏の会話から、ルーマニア人とビジネス上の付き合いがあったことが確認できたので、私はそれ以上追求するつもりはなかった。

翌朝アウトルックを開くと、G氏からのメールが届いていた。Ccには夫。

これまでも夫が彼のメールを私に転送したことはあったが、直接私宛に来たのは初めてだった。きっと夫があれからG氏を説得して、夫の都合のいいように書いてもらったのだろうという予感がした。

件名は「ハロー、kometto3、このメールはGが書いています」となっていた。

「500ドルの件」あるいは「ルーマニア人への支払い」にしなかったのは、G氏の気遣いか。夫は前日の電話で「ぼくはルーマニアに関してはぜんぜん妻に信用されてないんだよ」とこぼしていた。G氏はこれまでの経緯もかなり知っているのかもしれない。

メールの内容はこんなふうだった。


        *

「あなたに会うのをとても楽しみにしています。お互いの存在はとっくに知っているんですから(特に私はとんでもない時間に電話してあなたを起こしたりしますね)、でも、近々実際にお目にかかりたいと思っています。

ご主人からお聞き及びかもしれませんが、私は10歳くらいまで日本に何度か住んでいました。出会った人も場所もイベントも、とても楽しい思い出ばかりです。」

私は他人の話をあまり熱心に聞かないので、そういえば夫がそんなことを言っていたようなおぼろげな記憶があるだけだ。父親の仕事の都合だろうが、どんな職業だったのか、どこに住んでいたのかなど何も覚えていない。

私はG氏からの電話には出ないことにしている。夫でなければ話にならないのだし、私が伝言を書き取るより留守電に残したほうが効率がいい。

その前の週に、初めてG氏と会話らしいことをした。

1日おきくらいに学校から「今日は雪のために休校です」という電話が入っていたときで、たいてい朝6時ごろにかかってきた。その電話もまた学校だろうと、半ば朦朧として出た。たいてい録音なので私はただ聞くだけなのだが、なぜかメッセージが流れない。人間の声がしないとスタートしないのかなと思って、「ハロー?」と言ってみた。

少しの沈黙の後で、"I'm so sorry."

間違い電話だと思ったが、G氏だった。「本当にすみません。Gです。今までご主人とスカイプで話していたんですが、切れてしまったので、電話をかけてみたんです。申し訳ない。まさかあなたを起こしてしまうとは思わなくて。」

スピーカフォンで聞くよりも深めの、自信に満ちたいい声だった。

時計を見たら、まだ4時半ごろだった。

私はぼんやりと「ちょっとお待ちください。きっと起きてると思いますから、見てきます」というようなことを口走った。直前までスカイプをしていたのだから、起きているに決まっている。ヘッドフォンのせいで呼び出し音が聞こえなかっただけだ。

夫の部屋をノックして、受話器を渡し、もう一度寝た。

その後、G氏がまた謝っていたというので、「ふだんなら猫に起こされる頃だし、学校からの電話だと思いこんでいただけだから気にしないでって言って」と夫に告げた。あとから考えると、メールをもらう前に、そんなやり取りでも実際に言葉を交わしたのはよかったのだ。


           *


メールでは、G氏のプロジェクトにどういう人が関わっているかという説明が続いた。

ルーマニア女の名前は Zoica C. 夫もG氏もゾーイと呼んでいるらしい。ラストネームもちゃんと書いてあったが、本名かどうかの確証はない。

夫は、正式な契約を結ぶ前に仕事と報酬の話をゾーイにしてしまい、彼女は仕事を終えたらすぐに支払ってもらえると思い込んだという話だった。

"It was a mistake."

夫のしでかしたことなのだから、his mistake と書けばいいのに。

ゾーイは口約束の報酬のうち500ドル分だけ先に払ってほしいと頼み、G氏の会社が発注先から支払いを受け取ったら、その分だけ差し引いてくれと言ってきた(というのがG氏の解説だが、これは夫の計画だと私は睨んでいる)。

「残念ながら、いつそのお金が入ってくるか正確には予測できません。ご主人は彼女に期待を持たせたことで責任を感じています。それで、まだ会社には収入として計上されていないのに、個人的に500ドルを支払いたいと考えているわけです。」

「こんな形で自己紹介するはめになって残念です。難しい状況を説明する必要が生じてしまったことについても申し訳ないと思います。お会いしたときに許してもらえるといいのですが。いずれにせよ、これで我々(夫とG氏のこと)がゾーイとどういう立場にあるのか、また背景をいくらかご説明できたと思います。」

前にも見たことがある、ちょっとしゃれた署名があった。


             *


私はすぐに返信しなかった。

10時ごろ、夫が「Gからメールが届いてるはずだけど、読んだ?」と聞いた。「ざっと読んだだけ。あとでじっくり読むから」と私。「返事を書くなら、ぼくもCcに入れてくれないか。」

夫は私がG氏に何を書くのかを心配していたらしい。

言いたいことは山ほどあったが、これもビジネスのメールだと私は受け止めていた。しかし、返信を読む夫に向けて一言チクリと言いたい。

夫には必ずCcするとなだめておいて、どういう返事をすべきか考えた。G氏のメールは長かったが、私からはごく短くしよう。とても忙しい人に、これ以上の手間隙をかけてはいけない。

そして、午後2時ごろ、こういう趣旨の返事を書いた。

「お時間を割いて状況を説明してくださり、ありがとうございます。

こんなに面倒をおかけするつもりではなく、この女性が実在の人物であり、費用はビジネス関連であることを確認したかっただけです。毎月のように事故やトラブルでお金の援助が必要なルーマニア人へこれ以上の送金はしたくありませんでした。特に、彼女のファーストネームすら知らされていないとあっては。

おっしゃるとおり、雇用条件の合意も正式な契約書もなく、彼女に仕事を始めさせたのですから、夫の勇み足だったと思います。支払日の保証もないのに彼女に前払いしたいのは、夫個人の考えであると理解しております。

あなたの会社がどのような状況にあるか、だいたいのところは存じています。これまでのハードワークが報われ、会社が成功することを祈願しています。

先日の電話のことはお気になさらず。私もいつかお目にかかるのを楽しみにしています。」

夫からもG氏からも更なる返信はなかった。


             *


週が開けて、「500ドルは銀行にあるかな。今日は大雪で出られないけど」と夫が聞いた。

すでに当座に入っていて、ATMから引き落とせるようになっていた。雪が降ると医者の予約もキャンセルする夫なので、銀行に行くのは週の後半だろうと思った。

ところが、翌日の夕方、もう暗くなってから、夫が出かけるしたくを始めた。

「どうにも良心の呵責を感じる。今日、送金するよ。」

「まだ雪が残っているし、日が沈んだから気温が下がって凍結してるんじゃない。明日にしたら?」 無駄とは知りつつ、言ってみた。歯医者にもそれくらいの根性で行けないの?

「いや、今日行くよ。」

まあ勝手にどうぞ。

夫は30分もしないで帰宅した。いろいろまくし立てていたが、どうやらATMが故障していたらしい。日本ではありえないだろうが、半年に1回くらいはATMが使えないことがある。夫がまたクレジットカードを使ったのではないかと思った。でも、前回のファイナンスチャージで私が文句を言い、私と同じくらい銀行の手数料を嫌悪している夫はあきらめたようだった。

その夜は夫の機嫌が悪かった。

そして、翌朝、夫にしては早い9時半に銀行へ行き、スーパーのカスタマー・サービスにあるウェスタン・ユニオン経由で送金したらしい。もちろん私にはレシートは見せない。


              *


私はいまだにゾーイなる女性を検索していない。そのうち調べてみようと思っている。

関節炎でパソコンから離れていたせいもあるが、G氏も彼女の正体、少なくとも契約書に書く名前や住所、さらにはメールアドレスなども持っていると思われ、そちらのルートで情報が手に入る可能性が出てきたわけだ。

G氏は私の味方になったのではない。夫が正式に彼の会社に参加したら、ビジネス・パートナーとして夫の側につくかもしれない。

それでも、夫と電話していたG氏の言い分を聞き、こういうメールを受け取ったことで、私はなぜか落ち着いた。ルーマニアの件が持ち上がるたびに、心の中が泡立つような不快感にとらわれたのに、それに比べたらごく平静でいられた。

500ドルがいつ戻ってくるのかわからない。夫はまたありえない言い訳を持ち出してくるかもしれない。

でも、ルーマニアのことで話ができそうな人が初めて現れたのは、私にとって大きな進展だった。まさかG氏だとはまったく予期していなかった。

これだけで全容はつかめないにしろ、なんらかの糸口になりそうではある。




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 |   |  コメント(1)

Comment

なんかわけのわからない話ですね。

どうしてルーマニアの女がでてくるの?

G氏はどこの誰ともわからない女を信用するの?

そんな女にお金を払う価値を認めるようなら、
G氏と旦那の仕事の将来性もないような気がするわ。
気を付けたほうがいいと思うけど。
piko |  2011.02.11(金) 16:28 | URL |  【編集】

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