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「波乱を生きる 相場に賭けた六十年」

2011.01.17 (月)


アメリカの株式市場がジワジワと上がり続けている。

投資会社の口座残高が増えるのは喜ばしい。何もしていない真性専業主婦なのに、パートなんか馬鹿らしくてやってられないわと思いつつ、そのうちドーンと落ちやしないかと不安にもなる。

是川銀蔵(これかわ・ぎんぞう)の自伝「波乱を生きる 相場に賭けた六十年」を読んだ。日本に住んでいたら、おそらく絶対に手に取らないであろう本だ。

特に興味があったわけではない。日本語の本がそう簡単に買えない環境なので、手に入った古本はありがたく読むことにしている(ただし、例外はある。いつだったか林真理子の「白蓮れんれん」を読んで非常にがっかりした。教訓: 短い人生、駄作で時間を無駄にしてはいけない)。

私みたいな怠け者で数字に弱い小心者は、株に手を出してはいけないということがよくわかる。

是川氏のようにダイナミックな日本人は、もう出てこないんじゃないだろうか。最近は波乱万丈という表現が軽々しく使われると思っていたが、まさに株の乱高下みたいな一生を送った。正真正銘のバクチ打ちである。

株を本格的にやり始めたのは40歳を過ぎてからで、それまでは実業家だった。いくら戦争中でもありえない行動をして、その後も億万長者と破産・極貧を繰り返すような生活である。

ただし、彼は猛勉強家だった。学歴はないが、物事をとことん追求し、理論的に勝算があるかどうかを見極める才能もあった。そして、フェア(公平)ということを知っていた。株で儲けたお金を慈善事業につぎ込んだりもした。

私はむしろ奥さんのほうに興味を持った。

こんな破天荒な人生でよくも別れなかったものだ。奥さんこそタダモノではない。私には務まらない。残念ながら、奥さんは本を書いていない。

是川氏の文章の端々に、奥さんに対する尊敬と感謝の気持ちが感じられる。大正3年生まれの是川氏はおおっぴらに口にしたことはなかろうが、奥さんと子供4人に深い愛情を持っていたことが伝わってきた。


           *


相場は人間の希望通りには決して行かず、逆に逆に出るものである。希望的観測は必ず裏切られる運命にあることを硬く肝に銘じ、忘れてはならない。

しかし、是川氏は株の魅力に取り付かれた。

同和鉱業株で大やけどをして、奥さんにもう株はやらないと約束しておきながら、住友金属鉱山が金鉱を見つけたといニュースに居ても立ってもいられなくなり、「もう一度だけやらせてくれ。」と奥さんに頼み込んだ。すでに80歳を超えていた。

奥さんはこれは死ぬまで直らないと悟って、許してあげた。

私だって、夫が80を過ぎたらルーマニアでもブルガリアでも勝手にしてくれと思う。ただし、夫と私の引退資金に手を付けないという条件つき。私は人間が小さい。

律儀に奥さんの許可を得た是川氏は、即刻、金鉱発見の現場に赴く。

そして十数社の証券会社を陣頭指揮して、住友金属の株を買いまくった。同社の社長から会いたいという連絡が入った頃には、すでに五千万株以上、同社の発行済み株式の16パーセントを所有していたという。

自己資金三十億円では足らず、ありとあらゆるテクニックで株を買い集めた。ついには、自分で金鉱ありと確信した土地まで買ってしまう。

株価は一進一退のあとで、市場最高値でストップ高となるものの、高値反発して、さらに暴落、一気に値崩れした。是川氏は破産寸前となった。このへんでもう私の血圧は急上昇。

株価の急変動の裏では住友グループが糸を引いていた。しかし、最終的には是川氏の逆転大勝利に終わり、1983年には高額所得者番付第一位になった。半年で二百億円もの資産を作った84歳の老人だった。もっとも税金で90%取られて、残りは微々たる物(それでも億単位)だったらしい。

この本は、1990年の年明け、日本の株式が暴落したあたりで終わっている。是川氏は、「日本の円は世界で最強の通貨」であり、「したがって今後日本経済が弱体化したり、円の価値が下がるといったことは絶対にあり得ない」と述べている。

当時は1ドル160円近くまで下落した。1ドル82円の今日からすれば、里帰りもずいぶんお得だった。確かに円は無駄に強い。でも、景気は停滞している。「絶対」なんていう言葉は、ぜったい安易に使ってはいけないのである。

失われた20年について、是川氏の見解を聞いてみたいが、1992年に95歳で亡くなった。


            *


もうはまだなり。まだはもうなり。」と是川氏は諭す。

まだまだ上がると欲の皮を突っ張らせてはいけない。もうこれ以上は上がらないのだ。

人間は欲張りだ。私もある会社の株を売ろうとして、もう少し上がるだろうと待っていたら、あっという間に急降下して、8万ドルを手にし損なったことがある。その後、全部売ってしまった。売値も株数も覚えていない。

まさに是川氏の法則どおり、「希望的観測は必ず裏切られる運命に」あった。

今はほとんどミューチュアル・ファンドだけになった。それも評価が高そうなものを適当に選んでいる日和見投資家に過ぎない。

例外は、夫がストック・オプションで手にした会社の株だ。四半期ごとにきっちり配当金がある優良株なので、これは手放さないつもりでいる。老人ホームへの入居料にするのである。


<今日の英語>  

I have a mental block about it.
それは生理的に受け付けない。


「この料理には、ぜひ clarified butter (澄ましバター)を使ってほしい。」と説明したシェフに、あまり料理が得意でないインタビュアーが一言。「あれはすごく難しそうなので、名前を聞くだけで拒否してしまいます。」 mental block には思考停止、度忘れの意味もある。



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 |  本と映画  |  コメント(1)

Comment

始めまして。名古屋から。

すごく知的な文体で、話の中に引き込まれました!


寝なくては明日の集中力が持つかどうかというところですが、面白い小説の良いところで寝るタイミングを逃してしまったといったところでしょうか。

またお邪魔します。
命 |  2011.01.18(火) 01:12 | URL |  【編集】

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