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「もうすぐ終わった。」

2011.01.14 (金)



うちの子どもたちは、いまだに私とは日本語で話す。

日本人との付き合いはほぼゼロだし、夫は英語しかわからないし、日本語のテレビ放映もない。インターネットで日本語のアニメやドラマを見ている気配はない。もうドラえもんやナルトのコミックスもめったに読まなくなった。

唯一、遊戯王のカードに日本で買ったものが混じっていると、漢字やひらがなを目にする程度である。

そういう環境なので、日本語の語彙は非常に偏っている。

基本は、母親と子どもが日常生活で使う言葉。アカデミックな(学問的な)日本語はたぶん小学生レベルで止まった。ハイスクールで Trigonometry を学んでいても、それが三角関数とは知らない。私は何度かその言葉を会話にわざと入れてみたが、まだ定着していない。

なぜか Physics は物理だと知っている。義父が物理の博士号を持っているので、昔から耳にしていたせいかもしれない。それでも、すぐに「物理」と出てくるときと、「Physics...[ ほんの1秒くらい開いて] 物理」と付け足すときとがある。


               *


長男のほうが日本語能力が高く、アメリカ人特有の訛りもほとんどない。もっとも日本在住の日本人が聞いたら、ちょっとちがうなと気づかれると思う。

次男は長男よりかなり成績がいいのに、こと日本語に関しては発音も会話も兄より劣る。日常の受け答えには問題ないが、たとえば「今日の午後、友だちとオンラインでやったゲームの概要と、自分たちがどういう場面でどのように攻略したか」を流暢に説明することはできない。

本人はそれはそれは熱心に解説してくれるのだが、私がゲームを知らないせいもあって、支離滅裂に聞こえるときがある。次男は英語で考えたことを日本語に変換しながら話している気もする。

ゲームなのでもちろんカタカナが多いし、「えっと」がたくさん入るし、いかにもアメリカ風のアクセントがつく。

私は「ふーん。へえー。」と一応聞いているものの、「そんなに難しい話を無理に日本語でしなくていいのよ。」と言いたくなる。

次男にとってはゲームが人生最大の関心ごとなので、「語学は自分に興味のあることを取っ掛かりにすべし」という原則に従ってはいるのである。

私がちょっと込み入った長話を夫にすると、きっとこんな風じゃないかなと思う。

夫は私の話を辛抱強く聞いてはくれるが、「いま突然出てきた they はいったい誰だ? 前置詞が抜けたぞ 【息子たちが日本語を話すときは助詞を抜かす】。前半の結論は出たのか?今のややこしい構文は何だ?いったい何の話だ?」とうんざりしているのかもしれない。

これは言語というより、男女の話し方の違いか、私個人の問題か。


            *


ともかく、私は子どもたちが日本語で話すかぎりは付き合おうと思っている。

なにしろ私には彼らしか日本語を話す相手がいないのだ。だから、少々難ありの日本語でもよしとせねばならない。

しかし、たまにどうしても見過ごせないときがある。最近一番引っかかるのは、たとえばこういうやり取り。

わたし 「宿題、ホントにぜんぶできたの?」
次男 「もうすぐ終わった。

長男も同じ間違いをする。昔はどうだったか覚えていないが、ここ3ヶ月くらい頻繁にこんな言い方をしてくれる。

英語の未来完了形に引きずられているというのが私の推測である。「もうすぐ」は未来のある時点で、そのときには終えているだろうという感覚で日本語でも「終わった」という過去形にしてしまうのではないだろうか。以下、例文。

I will have finished my homework by then.
宿題はそのときまでに終えているだろう。

私は「もうすぐ終わった。」なんていう言い回しは絶対にしない自信がある。彼らは私からその言い方を習い覚えたのではない。

いちいち指摘しては子どもたちが日本語を話すのを嫌がるかもしれないが、どうにも耳ざわりで困る。間髪入れずに、「もうすぐ終わる!」と私が言い、彼らも言い直す。

「まだ終わってないんでしょ。どうして『終わった』って過去形にするの?」というと、彼らはちょっと困ったような顔をして笑う。

【追記】 "Almost done." を直訳しているのではないかというコメントをいただきました。それで気がついたのですが、日本語でも「ほとんどできた。だいたい終わった。」という言い方をします。「もうすぐ」と「終わった」の組み合わせが問題なので、「もうすぐ終わる」でなく、「ほとんど(だいたい)終わった」と教えるほうが簡単かもしれません。


            *


こういう微妙なズレは他にもいろいろあるのだが、最近顕著なのは「今頃」の間違った使い方である。

「ぼく、算数はねえ、今頃90点くらいだよ。」
(算数の平均点。「今のところ」じゃない?)

「今頃は、クエストの4分の3くらいにいる。」
(ゲームの攻略レベル。単に「今」でいいんじゃない?)

言わんとすることはわかる。よーくわかるのだが、日本語ネイティブスピーカー100%の私としては、非常に違和感があり、見過ごせない。

こういうときは、すぐその場で注意せねばならない。幸い、長男も次男も私が日本語の間違いを指摘すると、素直に受け入れ、言い直す。「もうすぐ終わった」はたぶん10回、いや20回近く私に直されて、ここ2週間くらいでようやく「もうすぐ終わる」と言える回数が増えた。

話す前に考えているのか、それとも自然にそういう言い方が出るようになったのか、私には判断できない。

外国人の話す日本語だと位置づければ、たぶんそれくらいの誤用は見逃してもらえると思う。

しかし、あと数年で彼らは家を出る。大学で日本人の友だちを作るか、日本語を専攻しない限りは、本当に日本語を話す相手がいなくなる。ハイスクールを卒業するまでが、私がマンツーマンで教えられる最後のチャンスなのだ。

英語のダムが決壊して日本語を飲み込まないよう、私1人で堤防を押し戻しているかのような感覚にとらわれる。これをとどめる最強の作戦は、1ヶ月くらい子どもたちを日本へ連れて行くことだが、今年の夏も帰れそうにない。

【関連記事】
カチンと来る日本語 2009.07.05
ブドウの皮膚 2010.03.03



<今日の英語>  

Sometimes you get a curve ball.
ときには、不意をつかれることがあるものです。


NYCのブルームバーグ市長が前回の大雪で除雪作業が追いつかなかったことを釈明したときの一言。直球でなく、予期せぬカーブが来て対応が間に合わなかったのだが、彼はいさぎよく自分の責任であると認めた。そして、今回は過剰なほど万全の体制で取り組み、汚名返上となった。



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Comment

こんにちは

はじめまして。JIKOと申します。
いつも興味深く勝手に愛読させていただいています。

ところで、いらぬお世話かもしれませんが、TV JAPANというプログラムをご存知ですか。うちはそれを引いています。私はこちらに来てまだ3年にも満たないので本当はそれが無いほうがいいのですが、20年以上すんでいる夫にしてみれば、逆に日本語を勉強できるし、日本のニュースをほぼ同時期にみる事が出来るので、重宝しているようです。 FIOS TVの中に選択肢として1770chであります。 子供さんと、そしてコメットさんご自身のためにも如何でしょう、、。 

それでは、寒いですがお体ご自愛ください。
JIKO |  2011.01.15(土) 03:53 | URL |  【編集】

子供の日本語

こんにちは。
2回目のコメントです。
子供達の日本語は私にとっても永遠のテーマです。
うちの子達がよくおかす間違いは「テストをとる」です。
英語だとtake a test.
日本語ではテストは「受ける」だ!と
何十回言っても直りません。
息子さんもalmost done.というのを
直訳しているのでしょうね~。
Doneを訳すと「終わった」ですから、
気持ちは分かります。
お互い根気よくいきましょう。
これからもブログを楽しみにしています。
Fried Egg |  2011.01.15(土) 03:55 | URL |  【編集】

今頃

私の義母(日本からの移民1世、在米40年)が、やはり「今頃」という言葉を変な風に使うので、いつもとても気になっていました。

出身地の方言なのかしら?と思っていたのですが、英語生活が長くて日本語が変化したのかもしれませんね。彼女の話す日本語は、「私もずっとここに暮らすとこうなるのか」と恐ろしくなるような乱れっぷりです。反面教師にしたいところです。

アメリカに永住予定で子供が二人おりますので、日本語の維持について興味深く読ませていただきました。
さちこ |  2011.01.15(土) 04:37 | URL |  【編集】

お腹すいてる

アメリカで、コメットさんのお子さん達のような環境にある、知り合いのお子さん(女の子)が、「お母さん、お腹すいてる-。」といってるのをみて、普通だと「お腹すいたー。」だろうと微妙な違和感を覚えました。いまハングリーなんだから間違ってないんですが、日本語では「お腹すいた」なんですよね。あとは、ヘルプ・ミーを「手伝って」といわずに「助けて」というので、少し大げさな言い回しが、可愛いいなと、という感じでした。
私の息子は18ヶ月で日本語と英語の単語、ごっちゃに覚えていますが、毎日コメットさんのAchievementを思い、日本語のみで話しかけています。
シネマガール |  2011.01.15(土) 21:29 | URL |  【編集】

助詞が抜けたぞ。

すみません。英語の助詞ってどんなのでしたっけ?

英語の時制感覚にとらわれているとナチュラルな日本語は話せるようにならない、と読んだことがあります。また、本当にきちんとしたバイリンガルになるためには、最終的には本人の自覚的努力が欠かせないようですね。
だだ |  2011.01.16(日) 13:48 | URL |  【編集】

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