スポンサーサイト

--.--.-- (--)


上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



クリック募金を始めました。下記サイトにて協賛企業のリンクを各社1回クリックすると、1円ずつ募金できます。
    JWordクリック募金

 |  スポンサー広告

遠のく国民皆保険

2010.12.15 (水)



バージニア州の連邦地裁が、オバマ大統領が今年3月に署名した医療保険改革法案のうち、「国民に加入を義務付け、未加入者には罰金を科す」という条項に違憲判決を下した。

判決の根拠は、健康保険の商品としての側面を重視したもので、民間会社から保険を購入するかしないかは個人が決めるべきであり、連邦政府にはそれを強制する権限はないというのだ。

訴えていたのは、バージニア州の Attorney General (司法長官)。

日本で県の検察トップが国を訴えるなんて、たぶんありえない。こんな裁判にかけるお金をそっくり医療保険に回せばいいのに。

当件については他でも訴訟中らしいが、これまでに判決が出た2件はいずれも合憲だった。1件目はミシガン州の住人数名、2件目はバージニア州のキリスト教系私立大学が起こした訴訟に対する判決だった。

さすが訴訟大国。

どいつもこいつも、誰かを訴えることだけはさっさとできるらしい。

中間選挙で民主党が大敗してから、共和党に改革法案撤廃あるいはやり直しを押し切られそうな雰囲気はあった。

判事は義務化条項(保険に入らないと罰金)が違法だと判断しただけで、改革法案全部がダメといっているのではない。

でも、全員が入らなかったら皆保険にならないし、保険料や医療費の負担に偏りが出る。結局、会社の保険がなくて、お金がなくて、持病があってという人だけが加入したのでは成り立たないくらい、私でも想像がつく。

それにしても、国民のために政府が後押ししている医療保険を商品ととらえるこの感覚にはついていけない。

これに便乗して、現在義務付けられている自動車保険も違法にしろなどと叫ぶ人まで出てきたが、自動車を運転することは権利ではなくて特権なので、取り扱いが違うのだそうだ。


           *


しかし、もし訴えられたら、違法判決が出る可能性は予測できたはずである。

ワシントンにあれだけ大勢の弁護士がいて、どうしてあっさり覆される法案しか作れないのか。

そもそも、これは公的な健康保険制度というより、あくまでも民間の保険会社が売っている保険商品である。政府は加入しやすいように補助金を出したり、保険会社を規制したりして、お手伝いするだけ。

最初からまともな社会保障制度としての国民皆保険を作ればいいのだが、なぜかそれができない。アメリカには世界中から最高の頭脳が集まっているのではなかったか。

今回の違反判決に喝采を送る人たちも少なくない。

そういう人は病気になったらどうするつもりだろう。

ちゃんと勤務先が保険を提供してくれるか、自費で高額の私費保険に入ることができるならいいけれど、単に政府にコントロールされるのはいやだ、あるいは他人の保険料や医療費を負担するような強制加入はいやだという理由で入らないのは無責任すぎる。

今だって、無保険の低所得者がERにかけこみ、支払いができない場合は、他の人にしわよせがいっているのに。

低所得者用の公的医療保険(メディケイド)はあるのだが、それをもらうには収入が多すぎ、自分で買うほどのお金はない人たちもいる。あるいは、お金のかかる持病があって、治療費が限度額を超えてしまい、もはや保険会社が払ってくれない人たち。

ギリギリになってERにかつぎこまれるから重症で、さらに医療費が増える。

もっとも、ただの風邪や腹痛でERに行って、お金がないからと無銭飲食ならぬ無銭医療で平気で立ち去る連中の話も聞く。

公的医療保険制度が整備されていない先進国はアメリカだけである。制度が機能するかどうかの問題以前に、制度自体が存在しないのだから恐ろしい。


            *


公的な国民皆保険の失敗例として、イギリスの National Heath Service がよく引き合いに出される。

いわく、医者の予約は数ヶ月先まで取れない、決められた医者にしか診てもらえない、最新治療が受けられない、医者も看護婦も病院も足らなくて診療を断られる。

本当かどうか知らないが、では世界中の医療保険を比較して、まあ成功している国の方式にすればいいと思う。たとえばカナダ(行ったことがないので、イメージだけ)。

他の国はどうか調べてみた。

ウィキペディアにHealth care system という項目がある。

情報量が多すぎて消化できないが、こんな図表(Life Expectancy vs Health Care Spending in 2007 for OECD Countries)が目についた。


Life expectancy vs spending


一人当たりの医療費と寿命の関係を示すもので、アメリカだけ右端にポツンとある。医療費が突出している。


               *


私は、ごくフツーの人がフツーに使える健康保険がほしいだけなのだ。

全部無料にしろとか、自然分娩で1週間入院させろなどと要求しているのではない(アメリカでは2日が標準。せめて3日にできんのか)。

でも、この国には、選択の自由や個人の権利や自助努力(弱肉強食?)のほうがそれより大事な人が少なくない。今回の訴訟や判決もその伝統に則っているらしい。

これから他の州でも違法判決が続いたら、2014年に加入義務が始まるはずだった医療保険はどうなるのかわからない。

既往症があっても加入できる部分だけは早々に実現してくれないと、持病もちはどうすればいいのだ。

メディケア(連邦政府が管轄する高齢者用公的医療保険)は65歳以上が対象である(こっちの保険は違憲じゃないのが不思議なところだ)。夫はまだ数年あるが、障害によって自動的に加入が認められた。私はあと15年も待たねばならない。その間に病気になると困るので、結局自腹で保険を買うしかない。

年を取るのはうれしくないが、「メディケアを受給するためだけに、一挙に65歳になったらどうだろう」と、悪魔との取り引きみたいなことを思い浮かべた。


<今日の英語>

I think that’s supposed to be off.
消すことになっていると思うのですが。


飛行機が着陸する前に、電子機器の使用を止めるようにとアナウンスされたのに、となりの女性がiPhone を消さない。本当は飛行に影響はないと聞いたが、心配でこう言ってしまった。知らん顔しておくべきだっただろうかという相談へ、「機長の指示には従うものです。あなたは何もマナー違反はしていません。特に、にっこり笑ってそう言ったのであれば。」とアドバイザー。



クリック募金を始めました。下記サイトにて協賛企業のリンクを各社1回クリックすると、1円ずつ募金できます。
    JWordクリック募金

 |  医療  |  コメント(7)

Comment

老後の心配は絶えないですね。私もアメリカ永住といいながら医療だけは日本で受けさせてと思います。他人と接さなくてもいいほど距離があり、合理的なシステムで何もしないで楽に生きれるアメリカですがね。日本国籍を捨てられない理由はこの辺にあるのかも。あれ、私何のために生きてるんだっけ?
ともり |  2010.12.16(木) 09:24 | URL |  【編集】

kometto3からのアメリカの医療制度のお話しは本当に興味深いです。
世界経済NO1の国で、世界の警察で・・・
タクシーで世界の中心に連れてってというとマンハッタンに到着する、
だとかいろんな夢のようなお話もありますが、この問題に関しては
まるで開拓民の頃と変わりません。死ぬか生きるか、そこまで大げさ
でないにしろ、力のある者だけがのさばっているような。

ところでアメリカでは医療以外の福祉はどうなっているのでしょう?
北欧では大学まですべて無料です。日本でも公立高校は無料となりましたが?
マイノリティーの授業料が安い、と聞きましたので無料とは程遠いですね。
アメリカではベーシックインカムの議論なんて受け入れてもらえないでしょうか?
ひまわり |  2010.12.16(木) 10:40 | URL |  【編集】

カナダ在住40年近くなります。子供の出産、年を重ねたこの頃では医者にかかることも多くなりましたが医療費がかからないのはほんとうに助かります。薬は自費ですが仕事をしている人は会社関係で何らかの追加保険に加入していれば安くなります。(結構カナダの税金の比率は高いのですよ)
 ここも役人の無駄使い、能力の無い人が政治をつかさどったり、どんどん国の運営資金が足りないとかで医療費のカット、教育費のカットなど問題が出てきています。
 また医者ですがカナダで学んだ多くの医者がアメリカのほうが給料がいいとカナダから出て行くことも問題になっています。今では医者不足です。それで手術に何ヶ月も待たされるという事が起こっています。でもアメリカに住んでみた医者で生活環境はカナダがいいと帰ってきたリターン組みもいます。
 どの国でも良い政治家(国民の事を考える)そして有能な役人が政治をしてくれない限りその国は衰退していきますね。(役人達が私利私欲を追う人たちだと)でも彼らを選ぶのは国民であるから私達が見極めて真剣に選挙を考えなければいけないのでしょうが。サラ.ペイレンが大統領になったらアメリカもおしまいですね。
 |  2010.12.17(金) 02:32 | URL |  【編集】

ほんとにどうなるんでしょうか・・・。

詳しく紹介してくださってありがとうございます。英語のニュースなどもほとんど見ないし見ても聞いても結局あまり理解できないので、このkometto3の記事を読んでよく理解できました。

気に入らない相手のすることにはなんだかんだと「いちゃもん」つけたいんでしょうね・・・。

うちは保険に入ってないし、このままの保険制度では結局入れないでしょうね~・・・。
Bあや |  2010.12.17(金) 09:42 | URL |  【編集】

同じ様な図表を以前にNational Geographic Magazineで見たことがあります。国民健康保険に反対する人達はこんな事実も知らないのではないか?とその時は思っていましたが、その後の状況を見ていて、この人達は知っても意見を変えないのだろうなと諦めの気持ちが強くなりました。なにしろ「この国は神に選ばれた国だ」と本気で思っている人達です。自分で稼いだお金は自分が助けたい人のために使われるのはいいけれど、自分が助けたくない人には使って欲しくないのですよ。

どこの国にも社会的弱者がいるという事実、自分もまかり間違えばそちらに行く可能性があること、想像もしない傲慢な人間達が大勢いるようです。
アンパンマン |  2010.12.17(金) 13:07 | URL |  【編集】

カナダのケベック州在住です。
上の方が書いているように医療費は無料ですが、待ち時間が長過ぎて泣きたくなります。
看護婦の判断で重病人順でドクターに見てもらえます。真っ先に診てもらえるのは生死に関わる怪我や病状の人。込み具合にもよりますが、普通の風邪なら4~6、7時間待ちです。
先日も風邪で病院に朝7時半頃行ったら、前日から待っている人が居て、看護婦のアドバイスで病院を変えました。
他にも、新患者は先着15人しか診ないから、と理不尽な理由で断られたり、移民でなければお金を払われても診られないと断られたりしました。(当時は労働ビザ)
身体の一部が痛いから、緊急でもないけど一応専門科医に診てもらおうと予約の電話を入れれば半年待ち。
アメリカの医療事情も大変そうですが、私的にはカナダ(ケベック州しか分かりませんが)もそれほどいいとは思えません。
日本のように何割かお金を払ってでも、早く医者に診てもらいたいと常々思います。特に家族が痛みや苦しみに耐えている姿を何時間も待合室で見るのは精神的にも辛すぎます。
加奈 |  2010.12.17(金) 23:46 | URL |  【編集】

健康保険

私のホームドクターは朝8時から5時まで診察しています。15分以上待たされたことがありません。最初のホームドクターは処方箋をだしすぎるので、10年のち、今のドクターに替わりました。今のドクターとの付き合いは、20年になります。ドクターは、ケベックから、BC州に20年前やってきたので、フレンチカナダ人です。

私は、日本でペニシリンの注射によって何度も他の病気をひきおこされていました。カナダのホームドクターによって初めて自分はペニシリンのアレルギーを持っていることがわかり、日本の病院の制度も怖いものがあるなと思いました。

BC州の健康保険制度は、低所得者には、健康保険金納入の負担がなく、保険を使うことができ、ちゃんと所得のある人が低所得の人をカバーしてあげれていい制度だと思っております。
フリージャー |  2010.12.20(月) 09:18 | URL |  【編集】

コメントを投稿する

URL
コメント
パスワード  編集・削除するのに必要
非公開  管理者だけにコメントを表示  (非公開コメント投稿可能)
 

▲ページトップへ

Trackback

この記事のトラックバックURL

→http://halfwaymark.blog114.fc2.com/tb.php/692-489eb166

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事へのトラックバック

▲ページトップへ

 | ホーム | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。