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だんだん短くなる日本語

2010.12.09 (木)



英語の比重が大きい生活をしていると、日本語のよさに開眼することがたびたびある。擬音語や擬態語もそうだし、外来語もそう。イメージを凝縮し、かつ解き放つ俳句にも今さらながら感心する。

最近気になるのは、省略機能である。

私が日本にいたころから、personal computer はパソコン、convenience store はコンビニだった。

もっとも、日本のコンビニほど優秀なconvenience store はアメリカにはない。もはやコンビニは  convenience store を超越した存在である。もしうちの近くに歩いていける(日本の)コンビニがあったら、私の生活はどれほど充実することか。

apartment をアパート、department store をデパート、notebook をノート。

これらは英語と意味が違う。apart は離れて、depart は出発する、noteはメモ(他にもいろんな意味がある)。だから、アメリカ人に「note をください」と頼んでも、帳面は出てこない。それでも、省略したことで使いやすい日本語になった。

remote controller がリモコン(アメリカでは単に remote と呼ぶ)で、air conditioner がエアコン(アメリカではA/C エーシーと読み書きすることもある)。

Sexual harrassment
がセクハラだと子どもたちに言ったら、「なに、それー?」と苦笑いされた。エアコンとリモコンは聞きなれているので、違和感がないが、そうでない場合はまったく結びつかないらしい。私にはそのほうが不思議だ。

ちなみに、リモコンは夫の数少ない日本語語彙の1つである。ただし、夫がいうと「リーマカーン(アクセントは最初にあり、全体に抑揚がありすぎ)」となって、私は居心地が悪くなるのだが、本人は努力しているらしいので、そっとしておく。


         *


夫が歯医者をドタキャンしてペナルティを払わされたことを次男に話したとき、「ドタキャンってわかる?」と念のために確かめた。

ふだんの生活で使わない言葉なので、初耳だったかもしれない。首をかしげている。

「土壇場でキャンセルするってことよ。土壇場ってわかる?ギリギリってこと。」

「わかった。last minute でしょ。」

土壇場は「首切りの刑を行うために築いた土の壇」のことなので、last minute では迫力がない。それにしても、江戸時代からの土壇場と英語のcancelを切ってつなげる日本語の柔軟さに舌を巻く。

(英語が入ってくる前は「ドタキャン」はなんと呼んでいたのか気になる。常識のない人間はいつでもどこでもいるから、江戸時代にもやたら直前に予定を取りやめる輩がいたはずなのだ。)

漢字が混じる略語はレベルが高い。それに、FBIやNATOみたいに頭文字だけを取るのとちがって、元の意味がなんとなくつかめるという優秀さ。

お見事なのは、トンカツ。

Pork Cutlet が豚カツレツになって、豚を音読みにして、トンカツ。うちでは Tonkatsu も英語になった(夫は、トーンカッツー)。食べ物の名称は、輸出入しやすいらしい。

そのうち地デジという言葉が出てきた。

地上デジタルテレビ放送をたった3文字にして、しかも元の意味が残る。

英語でも、たとえばNeo ConservativeをNeo Con と呼ぶし、MADD(Mothers Against Drunk Drivers 飲酒運転根絶を目指す母親たちの会)はmad(激しく怒っている)という形容詞と掛けてある。

マンハッタンのSoHo(ソーホー)は South of Houston. TriBeCa(トライベッカ)は Triangle below Canal Streetとちと厳しいが、イタリア風のおしゃれな響きがいい(行ったことがないので、単なるイメージ)。

しかし、日本語ほどの柔軟性も汎用性もない。


          *


さすが日本語と感心していたが、最近は変化が激しくてついて行けないという危機感もある。

しょっちゅうネットで日本語サイトを見ていても、わからない言葉が増えてくる。省略の度合いが大きく、新語が浸透するスピードも速い。

携帯電話が携帯。メタボリック・シンドロームがメタボ。メールマガジンがメルマガ。このへんまでは大丈夫だった。(メールがメルになったのは奇妙だが、パーソナルがパソになったのと同じか。たぶん時間が経てば慣れる)。

日本語のニュースサイトを見て、どうもよくわからないときがある。

たとえば、ワンセグ。

文脈から、放送に関係する言葉ということだけ理解できた。日本の放送は私には関係ないので、そのままにしてある。英語のone segment から来ているらしいが、アメリカ生活でone segment と聞くと、たとえばニュース番組の中のある1つの区切りを思い浮かべる。朝の2時間番組の料理コーナーは、cooking segmentである。

しかし、最近の略語はなぜか情緒がない。

いつから就職活動が就活になったのだろう。婚活は響きが美しくない。急に字数制限が厳しくなったとも思えないが、やたら短い。

しばらくKYというのがよく出ていた。空気が読めないと言う意味らしいが、日本語をローマ字の頭文字にしたのが不気味だった。一時期の流行語だったのか、この頃はあまり見ない。


           *


日本に住んでいる人は日ごとに変化する日本語の中にいるので、気にならないのかもしれない。

自分のこどもは少しずつ大きくなるのを日ごろから見ているのに、久しぶりに会う友人の子どもが急に大きくなっていて驚くのと似ている。

たとえば、くるねこさんの実家の白い猫ミーちゃんが「キモ。」ときつい目をして言う。「きもい」の「い」を落としている。

「早(はや)」あるいは「早っ(はやっ)」もよく見る。

なぜか赤ん坊が「ベビ」になる(実際にそう呼ぶのは聞いたことがない)。ベビーではない。「ー」がつかないのだ。目の悪い私は「うちのヘビ」と見まちがえて、蛇を飼っているのかと早とちりしたことがある。

レシピのサイトで「リピします」と出る。繰り返すのリピートだなとすぐわかったが、見るたびに「うわっ!」とのけぞりそうになる。ぜんぜん慣れない。

それにしても、漢字とひらがなとカタカナと外国語を自在に混ぜ、切ったり張ったり(コピペ?)しながら独自の進化を続ける日本語こそ、ガラパゴス化の本家本元じゃないだろうか。

【関連記事】
「ピリッとくる」を英語で 2010.11.29
最近気になる日本語 2010.04.08
アメリカから見たカタカナ英語 2009.06.23



<今日の英語>

I have this thing about fresh newspapers.
配達されたばかりの新聞にこだわりがある。


日曜日の過ごし方について聞かれたある女医さんの一言。「朝はまずシャワーに入って、そのあとすぐに新聞を取りに行きます。家族の誰よりも先に読みたいものですから。届いたばかりで、誰も読んでいない新聞でないとだめです。」



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 |  言語  |  コメント(4)

Comment

省略形

こんにちは。いつも更新楽しみにしております。

日本語は柔軟性がありますが、やはり漢字を含んだ省略後のほうがすぐに目に飛び込んできますね。

ベビという表現は最近多いな、と思っていたところです。それから自分のパートナーのことを、ダーと呼ぶのも。ダーリンのことなんでしょうが、うちのダー様とか聞くたび背筋がぞっとします。。。
penedes cat |  2010.12.10(金) 01:47 | URL |  【編集】

アメリカ人達に喜ばれた和製英語・略語・その他をご紹介します。「ドクターストップ・マザコン・ノータッチ・リストラ・アングラ・ ペーパードライバー・ゴスロリ・キッチンドリンカー・ヤンママ・マイホームパパ・だめんず・マヨラー・デキ婚・コラボ・バツ1・森ガール」。
ある人は毎回「オー!ニホンゴハクリエイティブ」と感心しています。アメリカの「オクトマム」にも笑わせてもらいましたが。
言葉の変化やサブカルの他にCMもほんとに面白いです。Kometto3、もしご存知でなかったら、「Softbank 白戸家シリーズ」、「虫コナーズ」、「小蝿コナーズ」などをYoutubeでご覧になってみてください。アメリカにはなかなか面白いCMがない…。
Yutampo |  2010.12.10(金) 07:14 | URL |  【編集】

今日の記事、とても面白く読みました。

一昔前に「ワープロ」ってありましたが(今もあるかな?)、それをずっと "word professor"の略だと思っていたんです。「言葉をつむぎ出す教授」という意味か~、ナイスネーミング!ぐらいに思っていたんですが、実は "word processor"で、日本語勉強中のカナダ人に間違いを指摘された時には顔から火をふく思いでした。
ふたまご |  2010.12.10(金) 12:29 | URL |  【編集】

本当にkometto3さんの分析は面白いですね!
コラムニストになれると思いますよ!
kometto3さんの文章はいつも読みやすく、すぅーっと頭の中に入ってきますし、職業になされば良いのにといつも思っています。

KYは元々はギャル語で、それを大人も使うようになったので、今は流行りも終わってあまり聞かなくなりましたね。
ギャル語と言えば、最近の若い人は『ゎたしゎ(わたしは)』といった様に小文字を多用するのをご存知ですか?
ネットでも時々見かけますが、読みにくいです・・・。
あと、一時期『こωL=ちレ£(こんにちは)』といったギャル文字が流行ったそうですが、私は全く解読できませんでした。

それにしても、こういうことを思いつく女子高生(中学生?)は本当にすごいなと感心してしまいます。


siroken |  2010.12.10(金) 19:37 | URL |  【編集】

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