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初めてのコルチゾン注射

2010.12.01 (水)



朝一番に、整形外科医のところへ行ってきた。

物静かで素朴、ちょっとモッサリした感じの、30代半ばの男性。とてもわかりやすい英語を話す。饒舌でも無口でもなく、説明は上手だし、私の質問にもていねいに答えてくれる。理想的なお医者である。

お医者に好感が持てると、信頼感も生まれる。変な勘ぐりや気遣いをせず、治療に集中できる。

もし骨の具合が悪くなったら、この先生に診てもらおう。それにしても、年を取るにつれて、だんだん専門医が増えていくなあ。

診察室で待つこと5分。微笑みとともに入ってきたドクターとそっと握手をした。握手は簡単な動作なのに、かなりひじに響く。普通にしようと思っても、自然とひじをかばってしまう。当分の間は、相手に握ってもらうような握手でやり過ごすことにしている。

「具合はどうですか。」

私は説明する前に、フィジカル・セラピストが書いた進捗報告を手渡した。封筒に糊付けしてなかったので、すでに私も目を通してある。

ドクターは報告書を開き、「どれどれ…。『親愛なるドクターF、kometto3は私がこれまで受け持った患者の中で最悪です。』」とまじめな調子で読み上げた。冗談とわかっていても、一瞬どきっとした。

「そんな、馬鹿な。私は6週間ちゃんと通って、言われたとおりにやっていたんですよ。」と、思わず反論して、二人で笑った。

アメリカのお医者は時々こういうことをする。深刻になりがちな診療の場面をユーモアで包む。もちろんジョークが受け入れられそうにない状況ではそんなことはしないだろう。私が軽症で、たぶん生真面目な印象を与えたから空気を和らげようとしたのか。

卵巣手術をしたときのことを思い出した。

10年以上前の話だ。空腹と寒さと、まだ小さかった子供たちを夫に任せたのが不安でストレッチャーの上でニコリともしない私に、麻酔医が「ほら、誰もがこんな貴重な経験ができるわけじゃないんだから、エンジョイしなくちゃ!」と話しかけてきたのには驚いた。

もしかしたら悪性腫瘍かもしれないのに、全身麻酔と開腹手術を楽しめ?!

唖然としている私に、「心配無用。手術はきっとうまく行きますよ。麻酔から覚めるまでずっと私が見てますから。何も感じないうちに終わることを請合います。」と私の手を握った。彼は私を元気づけようとしたんだなと後になってわかった。

 
        *


ドクターFには、ひじの調子はとてもよいこと、セラピーが終わってから更に回復したこと、でもまだほんの少しだけ痛みが残っていること(次男の入れ知恵で、twinge を使ってみた。語学は実践と繰り返しである)、それより左手の親指の付け根が数日間かなり痛かったことなどを話した。

しかし、今や左手にはほとんど違和感がなく、ドクターが押してもなんともない。

こういうのは困る。あれほど苦労したシートベルトも普通につけられるのだ。症状がないのに、判断や手当てのしようもない。車の調子が悪くてメカニックに持って行ったのに、そういうときに限って不具合が再現できないのと似ている。

レントゲンを撮りましょうと言われるかと思ったが、おそらく一時的なものだったのだろうという診断だった。

肝心の右ひじは、骨の構造を知り尽くしているドクターが問題の場所を押すと、やはり痛む。全治していない証拠だ。

「オプションは3つあります。」とドクターF。

「1つは、フィジカル・セラピーをもう2週間続けてみる(私の顔には、もうセラピーにはうんざり!と書いてあったに違いない。ドクターはニヤッとした)。それで、今の痛みが消えるかもしれない。もう1つは、何もしないでそのまま様子を見る。自分でストレッチするとか、冷やすとか、家でできることはやってみて。最後の1つは、cortisone injection(コルチゾン注射)です。」

私がネットで集めた情報の通り、効果は人によって様々であり、3回以上の注射は組織を壊す危険が大きいという。

「効き目は3日くらいですぐ現れますよ。これで痛みと永久にさよならできるかもしれないし、3ヶ月くらいでまた痛みが戻るかもしれない。あなたの場合は、この注射で最後のしつこい痛みを乗り越えられるかということですが。」

説明が終わるか終わらないかのうちに、「コルチゾン注射お願いします。」と身を乗り出す私。もしドクターがオプションに入れなかったら、私から頼もうと思っていたくらいだ。


         *


ドクターは私のひじを押さえ、「ここですね。」と爪でXをつけた。なぜマーカーやペンを使わないかは聞かなかった。ばい菌が入るからかなと思ったが、手の爪にだってばい菌はある。もちろんお医者さんは私を診察する前に手を洗った。消毒のコットンで拭くと、インクが消えるからか。

飛び上がるほど痛いというネットでの書き込みを思い出し、「痛いですか。」と急に怖気づいて聞いた。

「ぜーんぜん痛くないですよ。皮膚に麻酔スプレーをするので、ほとんど感じないんじゃないかな。」と自信たっぷりの回答があった。またアメリカ人が大風呂敷を広げて!とは思わない。信頼のなせるわざである。

ドクターは注射器に透明の液体を入れ、缶に入った麻酔薬を私の右ひじにシューッと連続してかけた。とても冷たい。これには消毒薬も入っているのかもしれない。

垂れてくる液体をふき取ると、「ちょっとチクッとします。それと圧迫感があります。ぼくを蹴飛ばさないでくださいよ。」と言って、初めてのコルチゾン注射となった。

インフルエンザ注射みたいなものだ。それでも、麻酔が必要ということは、かなり奥深くまで注射針が到達したのだろうか。私はじっとしていたが、注射針が入るところは見なかった。

「こんな注射のあとでも、私たちの友好関係は継続していると思っていいですね?」と、またジョークを言いつつ、バンドエイドを張りながら私が痛みに耐えられたかどうかを確かめた。「もちろん。ところで、これは骨に注射したんですか。」と私はやたら質問したくなってきた。

「いや、周辺です。骨には注射できませんから。仮にできたとしても、ぼくはやりたくないですねえ。」と無知な私の質問にも馬鹿にしないで答えてくれた。

コルチゾン注射を打ってから、2~3日はむしろ痛みが強くなるそうだ。そして、これまで残っていたテニスひじの痛みは魔法のようにサーッと消える。それがいつまで持つのかは、予測できない。

今後どうするかは、私の予後次第だ。「気になるようでしたら、1ヶ月か3ヶ月後に様子を見ますよ。ただし、open invitation (期日の無い招待)ですから、あなたが必要と思えばいつでもいらっしゃい。」


          *


次の予約は入れないことにした。その代わり、左手がまた関節炎みたいになったら、すぐに行こう。

根拠もなく、コルチゾンがすごく効いたような気になった。セラピーの100倍くらい信用できる。コルチゾンの正体はステロイド・ホルモンという恐ろしげな組み合わせなのだが、それでこそ強力なのだろう。

私は西洋医学を信奉している。

もっとも東洋医学については何もしらない。漢方薬は飲んだことがないし、お灸や整体やヨガすらやったことがない。アメリカに住んで20年の間に、抗生物質や全身麻酔や開腹手術を経験して、アメリカの医学に感心したのだ。医療だけでなく、病院の施設や個室制(せいぜい2人部屋)も進んでいる。お医者とのコミュニケーションも取りやすい。

もちろん、こういうのは太っ腹な健康保険があり、費用の心配なく利用できてこその話である。

【追記】 保険会社の明細書によると、この日の医療費は以下の通り。カッコ内は保険会社が認めた適用金額。私には差額を払う責任はない。

手術(骨・筋肉) 140.00 (75.80)
外来受診 125.00 (0.00)
注射剤 15.00 (15.00)
注射剤 15.00 (8.59)
---------------------------------
合計 295.00 (99.39)

自己負担額は、上から15.16+0.00+3.00+1.72で合計19.88ドル。注射剤が2回あるのは、コルチゾン剤と麻酔剤(実際はスプレー)だと思われる。外来受診(Office Visit)は施術の一部であるとして、別個の請求は認めていない。

【関連記事】
フィジカル・セラピー初日 2010.10.09
信ずるものは救われる? 2010.10.11
今度は左手 2010.11.08


<今日の英語>

It will get you over the hump.
それで難関を乗り越えられますよ。


ドクターがコルチゾン注射の効用を説いたときの一言。hump はラクダのこぶ、あるいは小山や丘などの盛り上がった地形。病状が峠を越すときにも使う。



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