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セラピーという名の社交

2010.11.13 (土)



今週がフィジカル・セラピー最後の週である。整形外科医の指示通り、毎週3回通った(1回だけずる休みした)。

顔見知りも増え、おばさんたちからいろいろ話しかけられるようになった。おばさんというより、おばあさんに近い。

私の行く時間帯は、男は中年か若い人が多く、女は高齢者が多い。

私にハイスクールに通う息子が2人いるとわかると、ちょっと驚かれる。目元の小じわや手の甲のシミが見えませんか。

でも、鏡に映った自分を見ると、白人に比べて何となく顔立ちも体つきも幼い。

私だって背中や腰に中年特有の脂肪がしっかりついているが、白人の脂肪のむっちりボヨ~ンとした厚みとはぜんぜん違う。それに、白人の腕や首から胸にかけてびっしり浮かぶシミは、私には(まだ)ない。


           *


「腕をどうしたの?」とかなり太っていて、いつもディズニーの長いTシャツを着ているおばあさんに聞かれた。彼女は、必ずダンキン・ドーナツの大きい飲み物を手にやってくる。

「テニスひじです。」と答える。

「あなた、テニスをするの? 私はねえ、carpal tunnel syndrome(手根管症候群) なの。しかも、左手。私は右利きなのに、おかしいでしょ。なにかのまちがいじゃないですかって言ったんだけど、クラフトが好きでずっとやってたからじゃないかって。まさかと思ったわ。でも、私がここに来ているのは、ひじの骨を折ったからなの。ここにプレートが入ってるのよ。」

ディズニーおばあさんは延々と自分の話をする。

私はベッドの上でマッサージの順番を待っていたが、おばあさんはおしゃべりしていていいんだろうか。

聞いてばかりでは退屈なので、私も質問する。アメリカに20年も住んで、今さら英会話の練習でもないが、わざわざ出かけてきた、せっかくの機会である。

「どうして骨が折れたんですか。」

「転んだの。それがなんと、病院の床でよ。」

それで病院を訴えたという話になるかと思ったが、そうではなかった。

「痛かったでしょうね。どれくらいギブスをしてたんですか。」

「ギブスじゃないの。プラスチックで、こういう、えーとあれは何ていうものだったかしら。」と思い出せないおばあさん。通りがかったアシスタントのクリスをつかまえて、「ちょっと、そういうの何て呼ぶの?」

アシスタントはいろいろ忙しいのである。


           *


今度は、ちょっと上品でかわいい感じのおばあさんが横にやってきた。アシスタントがフィッターと呼ばれる、手で前後左右に押して動かす道具をベッドの上に置いた。

「あなた、テニスするの?」と山の手おばあさんが手を動かしながら私に尋ねる。ディズニーおばあさんより若い。

おばあさん同士で、他の患者の情報交換でもしているのだろうかと思ったが、私はUSTA Team Tennis のTシャツを着ていたのだった。

「昔はしましたけど。テニスひじになる前は、3年くらいまともにボールを打ってません。どうしてテニスひじになったのかわからないくらい。たぶんコンピュータのマウスがいけなかったんじゃないかと思います。」

「私は、肩を痛めたの。肩から腕まで。私もテニスをしてたんだけど、もうぜんぜんできないでいるのよ。そういえば、あなたはどこのクラブでやってたの?」

いや、私は長いことやってないのだが、せっかくなので、次男がC町のテニスクラブに通っていると説明した。

「ああ、あそこね。私はデビスカップが好きなのよ。この間の、見た?イタリアとアメリカの。この肩で何もできないから、テレビばっかり見てるのよ。」

うちにはテニス・チャンネルがないが、ウェブサイトでちょくちょく試合結果を見る。あれはフェドカップじゃなかったっけ。そう聞いてみたが、どうも会話がかみ合わない。彼女はデビスカップだと信じているらしい。まあ、どっちでもよろしい。

「イタリアが勝ちましたね。アメリカは若手ばっかりで。」

「ペネッタがよかったわよ。彼女のプレイはいいわ。でも、ほんとのことを言うと、男子の試合のほうが好きなの。」

それは私も同じだ。サフィンの話をしようと思ったが、マッサージの順番が来た。


            *


男たちは「おー、久しぶり。どう調子は?」くらいで、あとは黙々と運動をする人が多い。セラピストとは話すが、男同士の会話は短い。

女たちは、まあよくしゃべること。愚痴から自慢話から、病気のこととかどこのお店がいいとか、私は3週目くらいまでは黙って見ていたが、そのうち徐々に引っぱり込まれて、おばあさんたちの孫の話やホリデーの計画などを聞くともなしに聞かされた。

もちろん、寡黙な人もいるが、そういう人にはセラピストがよく声をかけている。

ちょうど日本の病院の待合室が老人でにぎわうように、アメリカのセラピー・センターもおばあさんたちにとっては社交の場なのかもしれない。みんな体に故障があって来るのだから、それくらいの楽しみがあったほうが長続きするのか。

私は社交嫌いだが、にっこり笑って適当に相手をするくらいはできる。特に英語では、ニュアンスの理解に限界があるので、変に気を使うことがなくていい。

夫婦でやってくる人も少しだけいる。決まって老夫婦。

印象に残ったのは、夫婦とも白髪で小柄でとても静かなカップルと、大柄で声の大きい奥さんとちょっとボケかかったような、動作の鈍いお腹の出たご主人のカップル。

前者は奥さんの足が棒切れみたいに細く、ご主人が労わるようにぴったり寄り添っていた。奥さんは杖をついていても、ふらつく。あれでは運転できまい。きっとご主人が家の中でもどこに行くにもいっしょなのだろう。不安そうな奥さんに椅子を勧めて、自分は立っていた。ときおり小さい声で言葉を交わす。

後者は奥さんはまだまだ元気。ご主人に命令口調であれこれうるさい。

「ほら、そこがトイレよ。ショートパンツを持っていって、着替えて。」

自分はどっかり座って、パンツをバッグから出す手伝いもしない。ご主人はのろのろと着替えを取り出す。

「さっき受付で聞いたけど、やっぱりこの書類よ。ほら、ちゃんと読んで。裏もちゃんと記入しなさいよ。」と突き出した。ご主人はあきらめたような顔で書類を受け取った。年齢からして、長い結婚生活だと思われる(最近、再婚したという感じはしない)。

よその夫婦の仲はわからないが、ひどくぶっきらぼうな奥さんで、しかも人目を気にしない様子だった。これがあたしのやり方よ、文句ある?


            *


1人で通っているおばあさんたちは未亡人なのか、離婚したのか、ご主人は家で待っているのか。なぜかご主人の話は出なかった。

もし夫にフィジカル・セラピーが必要になって、自分では運転できないとしたら、私は1時間半も付き添うタイプではない。私がいっしょにいてもしょうがない。夫を送り届けたら、1人で買出しでもして、あるいは家に戻って1人の空間を満喫して、1時間半後に夫を拾って帰宅する。

「あの奥さん、そっけないわね。ご主人への愛情が感じられないわね。何年くらい一緒にいるのかしら。」などと、おばさんたちのおしゃべりのネタになりそうである。


<今日の英語>

That's all that matters.
それが一番大事なの(他のことはどうとでもなる)。


息子の誕生日会の様子を話していたセラピストのシンディ。予期しないトラブルが起きて大変だったらしいが、息子さんはとても楽しそうだったという。それを聞いていたおばあさんが一言。



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