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図星を指されて怒鳴る夫

2010.08.04 (水)



長男の部屋でプリンターと格闘していると、精神科医から戻った夫がやってきた。

「Gから電話があったって、次男から聞いたよ。今から連絡してみる。」と夫。

夫は目の前で私が何をしているか全然考えないで、いきなり話しかける。

次男には、「ダディが帰ってきたら、留守電に入ってるG氏のメッセージを聞かせてあげて。」と指示しておいたのに、ゲームに夢中で、電話があったことしか伝えなかったらしい。

G氏が今日は重要なミーティングに出ていて、結果がわかりしだい夫に連絡してくることになっていた。

そうでなくても、私は仕事関連の電話には出ないことにしている。私が伝言を書き取るよりも、機械に録音させるほうが効率がいい。だから、今回もわざとG氏からの電話には出なかった。

G氏は、すべてうまくいったこと、疲れているから今から寝ること、詳しい話はまた明日と言っていた。夫が連絡を取ろうとしてもつかまらない。


       *


私はプリンターをそのままにして、夫の部屋のドアをノックした。ノブを回そうとしたら、鍵がかかっている。

どうして帰宅してすぐに鍵をかけるのよ?G氏からのメッセージ、留守電に入ってるけど、聞いたの?」とドア越しに言った。

夫は部屋から出てきて、G氏に頼まれたことで集中してやらなくていけないからとかなんとか言い訳をした。

どうせルーマニア女から携帯にテキストが入ったんでしょうよ。

「ともかく留守電を聞いて。」と私は先に立って台所へ下りて行った。

「G氏はあなたが外出していたのを知っているんでしょ。どうして携帯にかけないのかしらね。あなたはいつも持ち歩いているし、彼は番号を持っているんでしょ。」

私は嫌味を言った。

「どうして携帯にかけなかったのか、知らない。彼はぼくの携帯にかけるときもかけないときもあるんだ。」

一度もかけてこないくせに。」

私が盗み見たテキストメッセージの履歴は、ほとんど全部がルーマニア人からだった。


         *


留守電の再生ボタンを押し、夫をその場に残して、私は長男の部屋へ戻った。

ドアに背を向けてプリンターを直していると、夫がまたやってきた。

「メッセージを聞いたよ。パイロット・プログラムが許可されたそうだ。ぼくも昨日眠れなくて、疲れている。」

「ミーティングが成功してよかったじゃないの。眠いなら、お昼寝したら。」と私。

「さえぎるな!まだ話の途中だ!」と夫は怒鳴って、ドアのフレームをバンッと叩いた。

私は何もしていない。なんで怒鳴られなくちゃいけないのだ

不愉快になって、私は黙った。

夫は、さっきの電話はG氏が車からかけてきたものであり、だから夫の携帯にはつながらなかったらしいなどとグダグダ言い、晩ご飯は何を食べたらいいのかと聞いた。

昨日のキャセロールの残りを食べてくれと、私は夫が精神科医に出かける前に言ったことを繰り返した。

夫は自室へ入り、鍵をかけた。キーボードを叩く音が聞こえた。

ルーマニア女に返事しなくちゃねえ、と私は白けた。

G氏が携帯にかけなかったことを指摘されて、夫はうろたえたのだ。携帯を肌身離さずに持ち歩く言い訳は、G氏との連絡だった。その下手な嘘がばれそうになった。

それで動転したからと言って、なぜ私に怒鳴る?

これが結婚した当時なら、私はメソメソ泣いただろう。そんなに人に怒鳴られたこともない私は、夫の怒り方が怖かった。夫は気の強い同僚の女性をひどく泣かせたくらい、きついのだ。

しかし、20年も経つと、「またか。」と呆れるだけで、涙は出ない。もちろん不愉快なことには変わりはないが、鍛えられて、まともに相手をする気にもなれない。


          *


しばらくして夫は階下へ下りて行き、ゲームをしていた次男に「何時間、やってるんだ?!」と怒り、電子レンジでキャセロールを暖める気配がした。

5分もしないで食べ終わった夫は、私の部屋へやってきた。

「キャセロールを食べたよ。Gのスタートアップはこれで重要なハードルをクリアした。もう休んでるかもしれないが、彼にメールを出しておかないと。それから。」と夫は言いかけて、

いったい何が気に入らないんだ?!」と、黙っていた私にまた怒鳴った。

「さっき私が途中で話したら、さえぎるなって怒ったからよ。あなたが話し終わるまで待ちます。」と白々しい私。

夫は二言、三言続けてから、「これで話は終わりだ。」と言った。

「G氏のプロジェクトが支援されることになって、よかったじゃありませんか。」と私。ほかに何が言える? ルーマニアの話なんか持ち出して、また怒鳴り声を聞くのはごめんだ。

夫は出て行き、やっと静寂な時間がやってきた。

そのあとも何度か夫と顔を合わせたが、私が黙っていると、夫は「まだ怒っているんだろう?」と尋ねた。

「いいえ。別に。でも、どうして私が怒鳴られなくちゃいけないのか、わかりません。」

「今日はイライラしていたんだ。」

だったら、私に八つ当たりしてもいいのか。


         *


こういう気の短さは躁鬱病とは関係ないと思う。単なる性格だ。

今は穏やかな義父も、若い頃はかなりの瞬間湯沸かし器だったらしい。今でも、ときおりその片鱗が見える。ただし、私には絶対にそんなことはしない。

うちの息子たちは口論もするけれど、兄弟仲はいい。殴り合いのけんかはしたことがない。根が優しい。

現地校でも補習校でも、「長男(次男)くんはとても優しい子です。」とよく言われたし、通知表にも書かれた。社交辞令もあっただろうが、対立を好まず、人の役に立ちたがるので、そういう印象を持たれるのだ。

ティーンエージャーになり、私に口答えはするが、可愛いもんである。今のうちにもっと反抗期らしいことをしないと、成人してから危ないんじゃないかと、逆に心配になるほどだ。

いや、夫の亡き母は「小さい頃はあんなにいい子だったのに、どうしてこんなことに。」と反抗期の夫を見て嘆いたというから、それは関係ないかもしれない。

ともかく、息子たちには怒鳴り散らす男にはなってほしくない。そういう遺伝子があるだけに、私は気を揉む。


         *


もう何年も前に、どっきりカメラみたいな番組を見たことがある。

その日のテーマは、温和で知られる人たちをどうやって怒らせるかというものだった。

何人かがひっかかって、感情的になったり、あからさまに敵意を示したりする様子が映し出された。趣味の悪い企画である。

PBSの Mister Rogers' Neighborhood という子ども番組のホストだった Fred Rogers が標的にされた。

製作にも関わっていたロジャーズ氏は、見るからに穏やかな人で、気の短い私は番組の悠長なぺースがじれったいくらいだった。

どっきりカメラは、そのロジャーズ氏に新しい子供向け番組の企画委員会に参加してほしいと頼んだ。

怒らせ役の人は、こころよく引き受けたロジャーズ氏を、殺風景な部屋に連れて行った。ロジャーズ氏は業界でも一般にも広く知られており、受賞も数知れない。

「すみません。テレビ番組のミーティングなのに、テレビやビデオの機材はまったくないんです。」と怒らせ役。

「いや、かまいませんよ。何もなくても、話はできますから。」とにこにこするロジャーズ氏。他の人たちはここで、「それじゃあ仕事にならない。」とつっかかったりした。

「XさんもYさん(他の有名人ゲスト)も来られないそうです。」

「来られる人だけでいいと思いますよ。」と落ち着いたロジャーズ氏。

細かいところは忘れたが、ともかくあの手この手でロジャーズ氏を怒らせようとしたのだが、ことごとく失敗した。ついに、「実はこれはあなたを怒らせる企画でした。」と白状する怒らせ役。失礼な!と怒るどころか、

「おや、そうだったんですか。ぜんぜん気がつきませんでした。」といつものおっとりペースのロジャーズ氏。

彼は本当に優しくて怒らない人だというのが番組の結論だった。

ロジャーズ氏は「いや、怒るときは怒りますよ。」と笑っていたが、うちの夫のように理不尽な八つ当たりはしなかったと思われる。

ああいう人と結婚していたら、穏やかな毎日だろうなあと時おり空想する。

もっとも、ロジャーズ氏が妻に隠れてルーマニア女にお金や花を贈ったり、テキストでたわごとを書き送ったりするところは想像できない。そんなことをしないから、妻に図星を指されて血相を変えることもないのだ。



<今日の英語>

Since when is ice cream so expensive?
アイスクリームって、いつからこんなに高くなったの?


プレミアムやアーティザンと称するアイスクリームが非常に高い値段で売られていることに驚いたお客の一言。



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