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ブロークン・イングリッシュで子育て

2010.07.29 (木)



NYタイムズに「ブロークン・イングリッシュで子どもに教える」と題する読者投稿があった。

投稿者はイスラエルの大学講師で、専門は心理学。

「香港には、片言の英語だけで子どもに話しかける親がいる」という記事について、子どもの情緒的発達への影響を憂うとコメントしている。

これは言語学習についての誤解から生じた現象だという。そして、英語と広東語のどちらかを選ぶ必要はない、子どもたちは違う人(たち)からそれぞれの言語で話しかけられれば、簡単に[easily]二ヶ国語を習うことができる、子どもは3歳までに言語を区別することを覚え、バイリンガルに育つと言い切る。

私は元記事を読んでいなかったが、興味を持った。

この講師は、「親の1人が英語で、もう1人の親が広東語で話せば、子どもは英語を話すようになる。」と書いている。

片親の英語以外は広東語という環境がどれほどのハンデか、わかっているのだろうか。それに、英語がブロークンであるという問題はどうするのだ。

まったく無責任な発言をしてくれる。


        *


うちでは、夫は英語だけ、私は日本語だけでずっと子どもに接してきた。

ティーンエージャーになった今でも、彼らは私に日本語だけで話すが、これまでつぎ込んだ時間とお金と労力の割には、幼稚な日本語だ

それさえ、いつまで続くかわからない。「日本語が話せるなんて、カッコイイ!」と彼らをおだててくれる友だちが頼りである。

両親は日本人なのに、英語しか話さなくなった例を少なからず知っている。

「家の外では英語、家の中では日本語」という理想的な環境であっても、バイリンガルになる保証はない。

兄弟姉妹がいると、子ども同士の会話は英語になる確率が高くなる。一人っ子は、「家の中では日本人の両親と日本語だけ」が徹底しやすいせいか、私の見聞きした範囲では英語訛りのない上手な日本語を話す子が多かった。

一般的に長子が弟妹より日本語がうまいのは、それと同じ理由かもしれない。うちの長男も、3歳でプリスクールに通い始めるまで(そのとき弟はまだ1歳)、私と日本語漬けの毎日だったせいか、次男に比べて自然な日本語を話す。

しかし、なによりも本人の適性がものをいう

うちは兄弟そろっておしゃべりなところがうまく作用したのではないかと思う。

多言語で育つ子は言葉が遅いと聞いて覚悟していたのに、長男も次男も1歳になる前に話し始めた。

長男はよくしゃべる子だなと思っていたが、2年後に生まれた次男に比べたら かなり静かだとわかった。次男は目に入ることや思いつくことをノンストップで ペラペラしゃべりまくり、私は呆然とした。

その後、次男は英語のほうがずっと強くなったが、私には日本語で、兄には英語で、今日も延々としゃべっていた。

時おり、リモコンのmute (消音)ボタンを押すように黙らせたくなる。それくらい、うるさい。


       *


ところで、NYタイムズの元記事は、「広東語でお願いします。」という題だった。

香港在住のフリーランス・ライターが2歳の娘の誕生パーティを開いた。そこで、広東語を話す両親を持ち、香港で生まれ育った4歳の男の子に、筆者が広東語で話しかけたら通じなかった。テーブルにあるおやつのどれがほしいかという簡単な質問を、母親が「完璧とは言えない」英語で通訳せねばならなかった。

なぜそんな育て方をしているかというと、一流のインターナショナル・スクールに子どもを入れるためである。もし家で広東語を話したら、英語での面接試験に受からないのだそうだ。

息子は無事に合格し、妹が最初にしゃべった言葉はすべて英語であったと、母親は誇らしげに語った。

誕生パーティに来た他の親も、たどたどしい英語で子どもに話しかけていた。

英語習得の競争は激しくなる一方で、英語でのプレイグループや幼稚園も増え、インターナショナル・スクールでは北京語を第二外国語として教えるところもある。広東語はない。

筆者は、広東語なしに文化や伝統を次世代に伝えることはできないと心配し、こうやって育てられた子どもたちのアイデンティティも危惧している。

私は香港に行ったことがないので、日常生活で英語と中国語がどう使われているのかは知らない。イギリスの植民地であった香港だからこそ、ここまで極端な話になるのだろうと想像する。


       *


日本でも、子供向けの英語産業はあいかわらず繁盛しているらしい。

必要もないのに、インターナショナル・スクールに行かせたがる親の話も聞いたことがある。

香港の親のように、英語を覚えてもらいたい一心で、自分の子どもに英語だけ(しかもブロークン)で話すという日本在住の日本人父母もいるんだろうか。

20年以上前に出た、日本に住みながら息子には英語とスペイン語で話したという日本人夫婦の本を思い出した。

私はその本を読んだことがない。当時から言葉には興味があったのに、読む気が起こらなかった。なんだかうさんくさいと思った。

この夫婦は言語学を専攻し、留学経験もあるが、日本人である。書評によると、少年は祖母とは日本語で話し、日本の学校に通ったらしい。彼が15歳になるまでの言語習得の記録だという。

その後、彼がどうなったか知らないが(むしろそっちの話がおもしろそうだ)、彼の母国語はいったいどれだろう。日本の学校教育を受けたのなら、思考言語は日本語か。

しかし、親と話すには英語かスペイン語という状況で、どれくらい深く意思の疎通ができたのか疑問である。

人工的に作り上げた言語環境という点も引っかかる。私がこの試みをきわものだと感じた原因はそれか。

友だちが遊びに来たときは、親も日本語に切り替えたのだろうか。遠足の支度とか、宿題の説明とか、日本の学校のことを英語とスペイン語でやりとりするとは、なんともまどろっこしい(そのあたりは本に書いてあるのかもしれない)。

いまだに発音や冠詞で苦労している私からすれば、子どもに間違ったことを教えてしまいそうで身がすくむ。

この夫婦の英語またはスペイン語は片言ではないのだろうが、そんな迷いはなかったとみえる。


         *


子どもが小さいうちは、まだいい。

小学校のころは、日本語で話す苦労は少なかった。

それが、第一言語である英語でもっと深く考えられるようになり、英語の語彙も増えるにつれて、日本語で同じレベルの話をするのが難しくなった。

話の流れで想像できる部分もあるらしいが、私がたとえば社会問題について話すと、「現状って何?」などと話の途中で質問されたりする。私はごく普通に話していただけで、難しい議論をふっかけたのではない。

それでも、日本語は私の母国語なので、時間と忍耐さえあれば、私は子どもに詳しく説明できる。

英語(私にとっての外国語)でも説明できるが、20年アメリカに住んでも、英語は私の血肉とはなっていない。それはやはり日本語なのだ。


        *


NYタイムズに、今度は「インドネシアでも英語優先」という記事が載っていた。

そこでも、英語で授業をする私立学校に通う富裕層の子どもがインドネシア語を解さなくなっているという話である。

しかし、不完全な英語しかできない先生が全科目を教える学校もあり、たどたどしい英語しか話さない親に向かって家庭でも英語を話すように指導することもよくあるのだそうだ。

アメリカ経済が停滞していても、英語の影響力はまだまだ強い。

インターネットのせいで、むしろ破壊的に強くなったのかもしれない。他の言語を駆逐しかねない勢いである。

私だって日本人と結婚して日本に住んでいたら、きっと子どもたちを英会話教室に通わせ、英語のビデオを見せ、英検を受けさせていただろう。

でも、アメリカに住んでいるので、ほっておいても英語が第一言語となり、日ごとに後退する彼らの日本語を危ぶむ。

ただし、英語だけでやっていけるだろうとも思う。英語圏はもちろん、それ以外の国でこれだけ英語を勉強してくれているのである。どこに行っても、誰かが英語を話してくれる。

英語が母国語である夫と息子たちは、なんとラッキーなことか

しかも、自分たちの幸運をわかっていないのだから、おめでたい。もちろん、私の苦労もわかっていない。

英語の発音や文法を直されるのはありがたい半面、ときには「じゃあ今の日本語で言ってみなさいよ!」とささやかな抵抗をしてみる。


<今日の英語>

Mrs. Peabody was a boldface name.
ピーボディ夫人は有名人だった。


昨日亡くなったジュディス・ピーボディの死亡記事より。裕福で社交界でもよく知られた彼女は、熱心なボランティアでもあった。文字通りには、新聞や雑誌に太字(ボールド体)で記載される名前。



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 |  言語  |  コメント(2)

Comment

本当に!

うんうん・・とうなずきながら読ませてもらいました! 私も子供達の日本語教育には苦労しています。私達以外には日本人は全くいないという田舎に住んでいるのもありますが、補習校も無く、とにかく私以外に子供達と日本語を話すという人や機会が全くありません。 

だからか、まだ低学年と幼い年齢なのに、いかにもアメリカ人が喋る変な日本語・・しか喋れなくなってしまってます。

このイスラエルの教授の記事は全く持って不愉快ですね。一人が英語、もう一人が違う言語をもって話しかけていれば自然とバイリンガルになるなんて、ちゃんとした心理学の教授がそんなに簡単に言い切るのもオカシイ話ですよね。 

実際にそうやっていながらも子供のバイリンガル教育に苦労している私達みたいな人から話を聞いているのでしょうか・・・??

でも、息子さんたちの日本語、とても上手そうですね!それもこれもKometto3の努力の賜物だと思います!私は、一方、子供達のバイリンガル教育に早くも諦め気味なダメ母です。(笑)とりあえず、日本の家族と、片言でもコミュニケーションが取れたらそれで良いかな・・と思っています。

いつもとっても分かりやすい興味をそそるお話を書いてくれてありがとうございます。これからも覗かせてもらいます!
麦 |  2010.07.29(木) 22:28 | URL |  【編集】

今回、冒頭に挙げられた言語習得方法については、実際に実験的に子育てをされた方の本を読んだことがありますので、ご紹介します。

題名は「ヒロシ、君に英語とスペイン語をあげるよ」。著者はご両親である「北村祟郎、光世」さんです。
お2人それぞれに、大学教授で、旦那様はアメリカ研究および文学、奥様はスペイン語を教えていらっしゃるそうです。

彼らは自分たちの息子へ言葉を贈ろうと考え、冒頭で挙げられたような研究に基づいて、子供が生まれた時から、父親は英語で、母親はスペイン語のみで子供に話しかけます。
子供が居る空間では必ずそのルールを守る必要があるため、3人でいる場合は、夫婦間の会話でも、それぞれに英語とスペイン語を使用します。
子供の前では同一人物が決して別の言語を話さない事がポイントのようです。

さらに、息子は親しく接するおばあちゃんなど両親以外の人や、幼稚園では日本語を使うため、本人がかなり大きくなるまで、3つの言語を(相手によって)使い分けていると気づかぬうちに身につけて成長されたそうです。
ハト |  2010.07.30(金) 08:51 | URL |  【編集】

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