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チップ論争

2010.03.07 (日)


先週のNYタイムズで、レストランやコーヒーショップでのチップに関するコラムがあった。原題は「ちょっと、ウェイターさん!いったいいくらチップをはずんでもらえると思ってるんですか。」

ニューヨークシティ在住のコラムニストが軽い感じで書いたのだが、1週間のうちに、コメントが1200件近く寄せられた。

著者はもともとチップ制度に不満を持っていた人だと思われるが、事の発端はカフェでのできごとである。コーヒーとスコーンを買ったら、5ドル75セントだった。そこで10ドル紙幣を渡すと、「おつりは要りますか。」と聞かれたのだ。これは70パーセントのチップに相当する。

別の日に、バーで1本4ドルのビールを頼んだ。バーテンダーは栓を抜き、お金を受け取ると、1ドル札だけでおつりをくれた。著者は微妙なやり方にカチンと来た。細かいお札で返して、チップをたくさんもらおうという魂胆だと思えたから。

紙幣はおそらく10ドル札だと思われるが、まさか20ドル札? そうだとしたら、1ドル札が15枚も戻ってくるわけで、あまりにもわざとらしい。特に「小さいのしかなくて」という断りがない場合。

さらに、6人でレストランに出かけると、メニューに小さい文字で「6人以上のグループには20%のサービス料が加算されます」と書いてある。これでは、お客はちゃんとサービスの評価ができないとお店が決め付けているようなものだし、ウェイターだって、最初から20%のチップがもらえるとわかっていたら、いい加減なサービスになってしまうじゃないかと著者は憤る。

      *

著者はアメリカ人で、自分はケチだと自覚している。ウェイターの給料が最低賃金以下で、チップ収入に頼っていることも知っている。

それでも、お客が従業員の生活費を援助するという考えはおかしいと主張する。

たとえば、飛行機のパイロットが同じことをしたらどうなる?

着陸した後、昇降口でパイロットが手を差し出して待ちうけ、「フライトをお楽しみいただけましたか。今日の着陸はちょっと難しかったんです。おや、ありがとうございます。いや、そんなことしていただいては。」とチップを受け取るようになるのだろうか。

おもしろおかしく書いてはいるが、最低賃金が低すぎるのが問題だと締めくくった。

ちなみに、NY州政府のサイトによると、NY州の最低賃金は時給7ドル25セント。ただし、1時間当たり2ドル55セントのチップが見込めるウェイターやウェイトレスは、時給4ドル60セントでもよい。

だからレストランの経営者は法律で決められた最低額を支払うのだが、実際はもっと低い賃金で雇われているウェイターもいるらしい。

そもそも、お客のチップを見込んだ給料と言う考えは、私には理解できない。

       *

このコラムには、当然ながら賛否両論。

普段からチップ制度にうんざりしている人たちは、もっとひどい扱いをされたというエピソードを投稿する。あるいは、「食事をサービスするのがウェイターの仕事。当然ちゃんと働くべきで、いいサービスだったからとチップを期待するのはおかしい。学校の先生や工場で働く人やコンピュータの設計をする人が、いい仕事をしたってチップはもらえない。」 

ウェイターの経験者は、「あんたみたいなケチは外食するな!」と怒る。

生まれたときからチップに慣れているはずのアメリカ人でも、いろいろと苦労しているのだ。

女将さんへの心づけ以外、チップとは無縁な日本で生まれ育った私は、20年以上アメリカに住んでも、まだチップに対して複雑である。

渡米当初は夫に任せていたが、何事も私に輪をかけてめんどくさがりの夫は、「これもアメリカに慣れるためだから。」とかなんとか言って、すぐに私の仕事になった。

昔は、当然男性が支払うと思われたのか、請求書はほとんど夫の前に置かれたが、この頃は真ん中あたりに置かれることが多い。経済力のある女性も多いだろうし、うちだけでなく女性がサインしている家族をときどき見かける。

        *

夫はランチは15%、ディナーは20%。特別気に入ったサービスなら5%追加したりする。あるとき、若いウェイトレスと何かの話がはずんで、私が計算している横で30%!と言い張った。

私はランチは13%くらい、ディナーは18%くらい。この2%にこだわるのが私のケチなところだ。

何に対するサービスかにもよるが、20年前は10~15%が普通で、特に良ければ20%というのが私の得た情報だった(だから、夫はいつもあげ過ぎだと思っていた)。ところが、10年くらい経つと15~20%が普通になった。今は20%が当たり前みたいな感じがする。

私の見聞きする範囲だけでなく、このコラムへの投稿にも「20%のチップが当然のこととして考えられるなんて、うんざりだ。」というコメントがあった。

料金は100ドルなのに、チップ20ドルを加えると120ドルになる。何か特別な取り計らいがあったとか、こちらが迷惑をかけたとか、そういう理由があればまだしも、(私から見たら)別にごくフツーのサービスであることが多い。いや、むしろ、もう少しどうにかなりませんか?というサービスのほうが多いかもしれない。

ただ、こちらの生活が長いと、まあそんなもんでしょうと一種あきらめがつく。そして、サービスの質は下がり、チップは相対的に上がる。

     *

日本に帰って、レストランに行ったり、デリバリーを頼んだり、髪を切ったりすると、チップを払わないでいいからうれしい。それが料金に含まれているとしても、20%はかかっていないはずだ。

しかも、食べものはおいしい。気が利く。時間を守る。仕事が丁寧。ちょっと手違いがあると謝ってくれる。だいたい、そんな手違いはめったにない。

日本に住んでいたら当たり前だと思うだろうが、たまに帰るといちいち感激するのである。つい頭の中でチップを計算してしまい、「そうだ。チップは要らないんだった。」と思い出す。でも、こんなサービスならチップをあげたいとすら思う。

そして、アメリカに戻って、いざチップが期待される場面に出くわすと、アメリカに戻ってきたんだなと思う。

チップはこの国の習慣なので、気に入らなくても全く無視して過ごすことはできない。顰蹙を買うだけである。

     *

このコラムへのコメントで、アメリカ人でもチップをあげたくない人が多いこともわかったけれど、「明日からチップしない方針にしよう」と決意しても、実際はかなり難しい。非常識だと思われるし、もしかしたら身の危険があるかもしれない。

アメリカには計算の苦手な人が多いのに、どうしてこんな習慣が続いているのか、まったくもって不思議である。

最近は、計算できない人のために、レシートの一番下に15%と20%の金額が印刷してあるのも見かける。チップの欄にはどちらかを書いてもらいたい、つまり「最低でも15%はいただきたい。」と主張しているのかと思う。

そういうのを見ると、ますますチップがいやになる。あの程度でチップがもらえると思ってるの? あれは仕事の範疇じゃないの? やって当たり前のことじゃないの?

私は、心からチップをあげたくなるようなサービスにはめったに出くわさない。

むしろ、アメリカのチップはサービスの内容には関係ないのだと割り切らねばやっていけない。

日本を基準にしているせいか、もともとケチだからか。なんだか損をしているような気になる。100ドルが120ドルになるなら、最初から120ドルと料金表に書いてほしいと思うのだ。そして、チップを手渡しするときも、クレジットカードのレシート欄に書き込むときも、なんだか微妙な空気を感じる。

そのうち慣れるだろうと思って、21年暮らしてみた。チップの必要な場面や金額や渡し方は身に付いたが、心の底では「なんかおかしいぞ。」といまだにすっきりしない。きっと死ぬまでその感覚は抜けないと思う。


<今日の英語>

It rings so true.
まさにその通り。


著者と同じようにチップに辟易している人が寄せた一言。文字通りには、「真実のように思える。」 金属やガラスの質(あるいは本物か偽物か)を調べるのに、むかしは弾いた音で判断したことから。



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 |  社会  |  コメント(4)

Comment

何でもかんでも(笑顔も含め)チップを貰う為にしているんじゃないか、と疑ってしまう私です。
疑ってかかる自分の性格にも嫌気がさします。
vegas |  2010.03.07(日) 15:58 | URL |  【編集】

これを頂いて生活しているものとしてはなんとも意見がしにくいところです。
もらって当然とまでは思っていないけどチップになれていない人たちの払い方は(日本人観光客とかは・・)ものすごくみみっちく見えます、正直。
チップを考えず最低賃金があがったほうが安定するのは間違いないですよね。
賛否の意見はないけど、日本でウエイトレスやってたときの、低い時給で「お客様は神様」状態で働いていたときより、こっちの働き方のほうがシアワセなことは確かです。
akiumi |  2010.03.08(月) 09:20 | URL |  【編集】

このアメリカで、レストラン・バーがもしチップ制でなくて定給(メニューの価格設定を考慮するとたぶんギリギリの設定となりそうですが)、笑顔が無いのはもちろん、昔の共産圏のような(実際行ったことはないのすが。。)当たる人によっては恐ろしく寒いサービスとなるような気がします。。少なくても、私の居住地域のドラッグストアのキャッシャー等を見ていると思います。
でも反対に最近の15~20パーセントは当たり前的風潮にも納得出来ず。。ですが、
最低保障の時給額の低さを考えるとそれも有りかと思ってしまいます。
Hana |  2010.03.08(月) 10:27 | URL |  【編集】

子供の頃、お相撲を見に行くと、父は最初にチップをあげていました。すると、お運びの人が、気を利かせていろいろとサービスしてくれます。
旅館でも、女将さんでなく、仲居さんにあげておくと、愛想がよくなって、食事がおいしくなったり。

イギリスも、サービスは悪いので有名ですが、Harrodsで買い物した時、カードに書いてある名前を覚えて、
「Thank you, Mrs....」と品物を渡してくれるレジ係りがいて、驚きました。

数年前帰国したとき、東京の喫茶店のウェイトレスの態度がとても悪くなっていて、がっかりしましたが、最近はどうでしょう。
あみぃ |  2010.06.14(月) 18:42 | URL |  【編集】

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