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愛人ごっこ その89

2010.01.16 (土)


(前回その88の続き)

◆ エピローグ 6

パヴェルの結婚生活は、彼が期待していたものとはほど遠かった。でも、まだやり直せる可能性は充分にあった。

別居したとはいえ、電話では楽しく、ときにはアンナのアパートで食事をしたり、いっしょに出かけたりもしていた。ただし、あまり長い時間をいっしょに過ごすと、口論が始まってしまうらしかった。

彼が元のアパートで寝泊りすることがあったのかはわからない。

2人とも若いから譲れないところがあってぶつかるのだろうが、私はなんとなくアンナのほうの気持ちが冷めてきたような気がした。

20歳までベラルーシで育ったパヴェルは洗練されてはいないが、それを補って余りあるほどの良さがある。でも、彼女には物足らないのかもしれない。

夫婦のことは他人にはわからないにせよ、私はアンナが破綻の原因ではないかと疑っていた。

でも、私は助言や協力のできる立場ではなかったし、第一、断片的な情報しか得られなかった。ただ、パヴェルの気持ちを慮って、アンナの話題は持ち出さないことにした。

・・・

パヴェルは年末年始をベラルーシで過ごすことが多かった。アンナとこんな状況になってどうするんだろう、仲直り旅行になるだろうかと思っていたら、彼からメールが来た。

「アンナは新しいボーイフレンドができて、ホリデーはベルリンでそいつと過ごすと言ってる。別居しているとはいえ、ぼくたちはまだ夫婦なんだけど、彼女がそうしたいなら、それは彼女の判断で、ぼくには関係ない。その男はぼくより彼女のことを考えててくれるんだって。ぼくは一人でベラルーシに帰る。あっちで女の子を探しても、アンナはぼくを責められないと思うよ。」

私はアンナの気持ちが理解できなかった。パヴェルに当て付けるために、もう他の男を作ったのだろうか。

パヴェルはひどく傷ついたに違いない。やけになって、変なトラブルに巻き込まれやしないかと心配になってきた。

「なんだかいろいろあって大変だったわね。ベラルーシでゆっくりしてきたら。」 私はどちらも批判しないように返事をした。

彼は、他の誰にも話していないと前置きして、とうとうアンナとの問題を私に打ち明けてくれた。

「実は、結婚式のためにベラルーシに帰ったときから、ごたごたがあってね。アンナはぼくの母にひどいことをしたんだ。具体的にどういう会話と態度だったか、あなたに長々と説明したくないんだけど、つまりアンナは母を、ひいてはベラルーシを侮辱したってことだよ。

それでもなんとか収まりをつけて、ドイツにもどってきて、最初はよかったんだ。

ぼくたちは仕事も学校もあったから、そんなにベラルーシに長く滞在できなかった。だから、しこりを残したままだったけど、母もアンナを許すと言ってくれたし。

でもアンナは『自分は何も悪いことをしていないのに、どうして許されなくちゃいけないの。』と譲らなかった。許すということは、自分が罪を犯したと決め付けられたも同然だと言ってね。

そんなだから、アンナは母に謝るつもりはぜんぜんない。母は過去のいざこざはお互いに忘れて、仲良くやろうと言ってるんだけど、アンナは歩み寄る気がないんだ。もともとベラルーシには絶対に住まないって公言してたし、もう行くつもりはないんじゃないかな。」

・・・

では、きっかけは嫁と姑の問題だったのか。

義理家族に関してほとんど悩みがない私には、よくわからなかった。アンナにしたって、義理家族はベラルーシに住んでいて、自分たちはドイツなのだから、ふだんは関わらなくていいはずだ。

それに、彼女は自分の両親から教わってロシア語ができる。パヴェルの家族との会話に不自由はない。なまじ言葉がわかるから、微妙なニュアンスが伝わってこじれたのかもしれない。

いったいどんな言動だったのだろう。

ともかく、パヴェルは結婚式の頃から、アンナの自分の故郷での態度に苦労していたわけだ。アンナには、パヴェルの母親だけでなく、父親や弟や祖父母に対しても、なにか相容れないものがあるような気がした。

パヴェルはなぜもっと早く私にあらいざらい話してくれなかったのだろう。

結婚生活がうまく行かなくて恥ずかしかったのか。一人でなんとかしようと思っていたのか。

もしかしたら、彼が書き送ってきた遠回しの報告がSOSだったのかもしれないと今さら思った。

そんなことも知らず、私はアンナに、そして幸福そうに見えた若い夫婦に嫉妬していたのだ。

(次回その90に続く)



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