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愛人ごっこ その87

2009.12.29 (火)


(前回その86の続き)

◆ エピローグ 4

結婚? だってこの間知り合ったばかりでしょう。同棲し始めて1年も経ってないでしょう。いくら運命の相手だからって、まだ学生なのに。しかも外国にいるのに。学位を取るのが最優先だと言っていたじゃないの。

いつかはこういう日が来るとわかっていたし、パヴェルの幸福を願ってもいたが、早過ぎた。彼にはもう少し独りでいてほしかった。

「おめでとう。アンナは幸せね。あなたみたいな人に求婚されて。大学はどうするの?」 

「婚約しても、今までと同じだよ。ぼくは大学とアルバイトで、アンナは仕事。いっしょに暮らしてみて、ぼくは確信したんだ。それで結婚式はベラルーシでやることにしたよ。」

もう結婚式の話? あまりに早い展開に私はただあっけに取られてしまった。

「ベラルーシのお母さまが喜んでいらっしゃるでしょう。」

「うん。ぼくは派手なことはやりたくないんだけど、母はどこか借り切って大勢呼ぶつもりらしい。あなたが来てくれたら、ほんとうにうれしいけど、ベラルーシだからね。」

「そうね。私もあなたの結婚式には出席するなんて言ったけど、ちょっと無理そうね。その代わり、写真を送ってくれる?」

私は彼の結婚式の写真なんか見たくなかった。

「あなたにもDVDを送るよ。プロが編集してくれるサービスがあるから。ロシア正教の結婚式って見たことある?」

・・・

パヴェルは、式のことは母親にほとんど任せていた。彼はそうでなくても、ドイツでの学生生活とアルバイトで忙しかった。その合間にも、ときどきメールが来て、結婚を控えた彼がどれほどわくわくしているかが伝わって来た。

「アンナがやっと気に入ったウェディング・ドレスを見つけたよ。もう大変だった。これから靴を探すんだって。」

私は大使館で婚姻と移民のための書類を作っただけで、式はしなかった。パヴェルはベラルーシの伝統的な結婚式をやるらしかった。どこの国でもそれは準備が大変だろうが、新郎と新婦が式の直前までドイツにいるのだから、ほとんどは彼の母親が仕切るのだろうと思われた。

パヴェルが名実ともに私の手から離れてしまう。

彼の幸せは喜ばしいことだが、私の心の中には、いくらかの失望や嫉妬と共にかつての親密な時間の思い出が渦巻いていた。

私はカレンダーに「パヴェルの結婚式」と印を付け、彼からメールが来るまではこちらから連絡しないことにした。婚約者に夢中になっている彼に、私への義理を感じさせることはない。

・・・

2人はハネムーンには行かなかった。式が終わり、ベラルーシで数日過ごした後はドイツに戻って、前と同じように暮らし始めた。結婚したことだけが違っていた。

DVDの製作は遅れていたが、パヴェルは先に写真を何枚かメールしてくれた。正装した若いカップル。石造りのロシア正教会。なんだかカジュアルな格好をした参列者たち。いかにも旧共産圏らしきデザインの服を着た年配の女性たち。ボート遊びに出かけたときのスナップ。

「パヴェル、結婚おめでとう。そして、写真をありがとう。とてもきれいな花嫁さんね。式に出席できなくて残念だったと思います。DVDを楽しみに待っています。結婚の贈り物をリクエストしてください。あなたたちがほしいものを贈ります。」

私は形式的な返事を書いた。パヴェルが私のことをどう説明しているのかわからなかったが、何か渡したかったのだ。

パヴェルはアンナがとてもきれいだった、式に感動したと言い、ベラルーシで品物もお祝い金もたくさんもらったから贈り物は要らないと私に遠慮した。

私はアンナに聞いてくれと頼んだ。すると、彼女はアメリカの香水をリクエストしてきた。

私はモールに行って、アメリカのデザイナーが出していた香水やバスオイルなどのギフトセットを買い、ドイツの新婚夫婦あてに航空便で送った。

「ギフトをありがとう。アンナがとっても喜んでいます。ぼくたちは素晴らしい毎日を過ごしています。とても幸せです。ぼくがドイツに留学する手助けをしてくれたあなたに心から感謝しています。」

(次回その88に続く)



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