スポンサーサイト

--.--.-- (--)


上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



クリック募金を始めました。下記サイトにて協賛企業のリンクを各社1回クリックすると、1円ずつ募金できます。
    JWordクリック募金

 |  スポンサー広告

愛人ごっこ その75

2009.12.05 (土)


(前回その74の続き)

キャンプ・カウンセラーのオリエンテーションが始まるまで、パヴェルは毎日キッチンとプールで働いた。経験者として優遇すると約束されていたこともあり、できるだけお金を貯めるべく、長時間の労働を厭わなかった。

ドイツでは勉強をしながらアルバイトもやっていて大変だったが、ここでは仕事だけすればいい。パヴェルのボスは、彼の熱心な働き振りと気立てのよさで、ずいぶんこの若い外国人を頼りにしていたらしく、「ジャパニーズ・レディー」の話さえなければ、居心地のいい職場だった。

私はもうキッチンには気軽に顔を出さないようにしていた。

どうしても彼に会わねばならないときは握手すらせず、用事が済むとそそくさと立ち去るようにしていた。彼のためにも、疑惑を呼ぶようなそぶりは見せてはならないのだ。

・・・

パヴェルからはときどき電話があり、メールも前より自由に使えるらしかった。

「去年のカウンセラーが不満を訴えたから、今年は改善したみたいだね。宿舎のミーティングルームにあったテレビもやっとつくようになったし。でも、携帯の電波は届きにくいって、みんなが言ってるけど。」

彼はドイツで使っていた携帯を持ってきたが、アメリカでは使えなかったので、やはり私との連絡は簡単ではなかった。私は彼からの電話を心待ちにした。

「今年のカウンセラーの中に、かわいい女の子はいるの?」

「うーん。今年は今までで一番だめかな。」

「まあ、はっきり言うのね。」

「あなたにはね。そんなに好きじゃないのに付き合おうっていう気持ちにはなれない。それに、ぼくは女の子のためにここにいるんじゃないから、かえって仕事に集中できていいよ。」

私からすれば、どの女の子も若いというだけで魅力的なのだが、自分自身も若いパヴェルにはそれがわからない。

でも、他のカウンセラーと恋愛沙汰でトラブルを起こしたら元も子もないし、夏の終わりにはそれぞれの国へ帰るのだ。彼の言うとおり、やたらに手を出さないほうがいい。彼が毎年誰かと引っ付いたり別れたりするタイプだったら、それこそ私の気が休まらないだろう。

それに、セックスしたければ私がいる。

そう頻繁に会うことはできないが、私なら妊娠の心配もなく、場所やお金で困ることもない。しかも、将来のコミットメントは要らないのだ。なぜなら、私は夫との生活を捨てる気はなかったから。

なんとも都合のいい相手ではないか。

・・・

私は子どもたちをキャンプの2回目のセッションに登録した。パヴェルはもちろん最初のセッションからカウンセラーとして働いていたので、平日に逢引をすることはできなくなった。

セッション初日の朝、私は子どもたちを引き連れてキャンプ場にあつらえたテントに寄った。そこで登録を確認し、グループの番号を聞いて、パビリオンに向かった。

入り口の近くにパヴェルが見えた。彼は今年はうちの子たちの担当ではなかったので、私たちは離れたところから視線と微笑を交わしただけだった。

私は長男と次男をそれぞれのテーブルに連れて行き、カウンセラーたちに挨拶した。子どもたちは慣れているし、もう私が居残る理由はなかった。

ふと見渡すと、パヴェルが他の親と話をしたり、握手をしたりしていた。見つめてはいけないと思いつつ、つい目が向いてしまう。

彼から視線をそらすと、1年目にカヌー乗りに付き合ってくれたトーマスが見えた。私は歩いて行って、話しかけた。あいかわらず彼のハンガリーなまりの英語は聞き取れない。

トーマスと話をしながらも、私の目はパヴェルのほうを向く。これでは、「パヴェルと彼のジャパニーズ・レイディー」はまだ続いていますと表明しているようなものだ。

私は一度もパヴェルと言葉を交わさずに、パビリオンを後にした。

(次回その76に続く)



クリック募金を始めました。下記サイトにて協賛企業のリンクを各社1回クリックすると、1円ずつ募金できます。
    JWordクリック募金

 |  愛人
 | ホーム | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。