スポンサーサイト

--.--.-- (--)


上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



クリック募金を始めました。下記サイトにて協賛企業のリンクを各社1回クリックすると、1円ずつ募金できます。
    JWordクリック募金

 |  スポンサー広告

愛人ごっこ その69

2009.11.26 (木)


(前回その68の続き)

年が明けてパヴェルはドイツに戻り、2月の試験に備えて忙しくなった。

そんなときでも週に何回かは必ずアルバイトに出かけていたので、私は彼が体を壊しやしないかと心配した。

私にはいつでも彼を援助する気持ちと手段があったが、口を出さないで見守ることにしていた。彼にあれこれ指図してうっとおしがられるのはいやだったし、私たちはお互いを束縛しないのが暗黙の了解だったから。

この貴重な関係を、くだらない世話焼きや嫉妬心で壊したくなかった。

試験が終わると、パヴェルは少しリラックスできるようになり、ときどきは女の子と出かけているようだった。それでも、私にわざわざ報告するほど気に入った子はいなかった。

「ぼくは、たった一晩のセックスを楽しむだけじゃなくて、本当に愛することができる女の子に会いたいんだ。結婚したいと思えるくらいの子にね。」

「そのうち会えるわよ。でも、慎重に決めなさい。結婚は一生のコミットメントだから。まあ現実はそうじゃない人も多いけど、一応そういうことになってるでしょ。ベラルーシの友だちがほとんどみんな結婚したからって、慌てないで。」

結婚はもちろん、同棲の経験もないパヴェルは、結婚生活についてまだ夢を持っていた。もともと若者らしくロマンチストなところのある子だった。

夫がいる身で(夫は夫でタイに女を作り)若い愛人と関係していた私は、結婚という制度を冷め切った目で見ていたが、パヴェルが結婚して女の子が生まれたら、かわいい洋服を贈ってあげるなどと書き送ったりもしていた。彼が夢見ているなら、私もそれに便乗して楽しめばいいのだ。

・・・

春になって、私はまた夏の計画を立て始めた。

日本には一年おきに帰国することにしていたので、今年は帰らない年だった。カリフォルニアに1週間行くか。そのあと、地元のキャンプに2週間行かせるか。たいしてやることもない夏になりそうだった。

ただ、子どもたちは、パヴェルがいないんだったらキャンプに行かないと言い出した。

「今年は来ないわ。もう2年も続けて来てくれたじゃない。パヴェルは大学生なのよ。そう毎年夏のセメスターを休むわけにいかないの。どんどん卒業が遅れるでしょ。わかる? それにいつまでもキャンプのカウンセラーじゃなくて、もっと自分の勉強に関係あるインターンっていう仕事をしなくちゃいけないの。」

「ぼく、パヴェルといっしょにプールに行きたい。それと、うちに来てモノポリーやるって約束したもん。」

まだ小さかった子どもたちは、パヴェルの状況が理解できなかった。単に毎年夏休みに遊びに来る友だちだと受け止めていた。

カウンセラーは他に何人もいたのに、どうしてパヴェルだけがうちに来て泊まったり、一緒に食事をしたりしたのか。なぜ他人を家に入れたがらない母親が、彼だけは親切に面倒を見るのか。そんなことまで考えられる年ではなかった。

・・・

「パヴェル、今年はどうするの? 私は去年日本に帰ったから、今年はうちでのんびりするつもり。子どもと2ヶ月もいっしょだなんて、気が狂いそうだわ。あの子たち、あなたが来ないならキャンプに行かないなんて駄々をこねてるのよ。あなたは大学の勉強とアルバイトで忙しいって説明したんだけど、ぜんぜんわかってないの。」

「あなたを困らせてるの? そんな心配は要らないよ。ぼくは今年もニューヨークに行くつもりだから。」

「えっ、本気なの? 大学はどうするの? インターンの仕事を探すって言ってたのは? それに、3年も続けて同じキャンプに派遣してくれるの?」

私は予期しない事態にうろたえた。

「うん。去年みたいにキャンプのディレクターに頼んでみる。キッチンのスタッフも口添えしてくれると思う。知ってた? 3年目からはキャンプもキッチンも賃金を上げてくれるんだって。今年はドイツでインターンのポジションが見つかりそうにないし、もう1年くらい夏の授業を休んでもいいんだ。単位はあとで追いつけるから大丈夫だよ。それに、あなたともう少しだけいっしょにいられる。」

・・・

もうパヴェルには会えないかもしれない。そう思って、抑えていた気持ちがまた甦ってきた。また会えるのはすごくうれしい。

でも、私は怖かった。

これ以上いっしょに過ごしたら、私も彼も飽きてしまわないだろうか。お互いのいやな部分が目に付くようにならないだろうか。せっかくの心地いい関係が終わってしまわないだろうか。

私は、パヴェルがまたニューヨークに来るつもりでいることを、夫にも子どもにもすぐには言わなかった。

彼の希望通りにことが運ぶ保証はなかったので、もし実現しなければ子どもたちがさぞかしがっかりするだろう。それに、私自身の気持ちが落ち着くまでは、夫とパヴェルの話をする気分になれなかった。

(次回その70に続く)



クリック募金を始めました。下記サイトにて協賛企業のリンクを各社1回クリックすると、1円ずつ募金できます。
    JWordクリック募金

 |  愛人
 | ホーム | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。