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気になる少女

2009.11.20 (金)


次男のテニス・クラブで珍しい子を見た。

キキという白人の女の子。本名は知らない。9歳くらいだと思う。珍しいというより、久しぶりか。

何年か前に、私は町のレクリエーション課が運営する大人向けテニスレッスンに参加したことがある。メンバーはたった5人。たまに、隣町と合同練習や試合をした。

コーチ同士が知り合いだったし、「たまには他の人と試合をするのもいい経験だから」と言われた。もともと専業主婦たちのお遊びである。

キキを初めて見たのは、隣町のコートに行ったときだった。

そこでは子供向けレッスンも同時にやっていた。ボールがネットの向こうに行けば御の字という子が多いのに、とりわけ小さかった彼女はずば抜けてうまいのだ。フォームは本格的だったし、だいたい表情からして違っていた。

私が「あの子、上手ねえ。」と誰にともなく言うと、「ああ、キキね。コーチの娘なのよ。

そうか。母親が教えていたのか。どうりでうまいはずだ。キキの母親は、ぱっと見には「男」だった。ショートカットでいかにもアスリートという体つきと振る舞い、平凡な容姿だったが、キキはすらりとした美少女だった。

          *

その後、次男がテニスクラブに通うようになり、私も毎週付き合った。

次男と同じ時間帯に、隣のコートではハイスクールの生徒が練習していた。その中に一人だけかなり小さい子がいた。ハイスクールのプレーヤーと互角に打ち合っていた。もしかしたら、彼女が一番うまかったかもしれない。

あの子は小さいけど、上手だ。他の子と違う。金髪のポニーテールがどこかで見たような気がするけど。」と考えていると、トレーニングウェアを来た女性が隣のベンチに座った。あら、この人も見覚えがあるけど、誰だっけ。

彼女は、いっしょに座っていた人と話し始めた。腕の使い方がどうの、サーブがどうのという説明を私は盗み聞きした。私から見るとすごくうまい子も、わかっている人が見るとまだまだダメなのか。

「キキにはそれこそ時間もお金もつぎ込んだわ。ここにだって、週に何度も来ているし。私が教えてもいいんだけど、もう私の言うことは聞かないの。だから、他の人にコーチしてもらってるわけ。」

そこまで聞いて、私はハタと思い出した。

あの女の子はずっと前に隣町のコートで見たキキだ。そして、この人が隣町のコーチだったお母さんなのだ。

          *

お母さんには濃い東欧アクセントがあった。会話の内容から、旧チェコスロバキアの出身だとわかった。チェコといえば、ナブラチロワ。そういえば、いかつい感じが似てる。私はさらに聞き耳を立てた。

「私を診察したお医者がね、この子は運動したら死んでしまう、と私の母に言ったの。でも、私は黙って小学校のマラソン大会に出て、一番になったのよ。テニスも上手だったし、ずっと学校で一番のアスリートだったわけ。」

やっぱり蛙の子は蛙だ。母国ではテニス選手だったのだろうか。

テニスコートからロビーを見上げるキキは、母親のシグナルにうなづいたり、ラケットを振って見せたりしていた。ガラス張りで、声は聞こえない。

ちょっと打ちそこなうと、母親は「どうしてもっと腕を伸ばさないのよ。」「足の位置が違うわ。」といちいち口に出していた。自分がうまいだけに、見ていられないのだろう。

彼女は他のプレーヤーについても解説していたので、コメンテーター付きのレッスン見学となった。彼女とその知り合い以外の親は、ほとんど残っておらず、私はさりげなく彼らのベンチ近くに座ったものだ。

ポニーテールを揺らして、きれいなフォームでボールを打つキキを見るのは、私の密かな楽しみだった。まだ初心者で下手な息子のほうはどうでもよかった。

          *

でも、クラブの閉鎖騒ぎ以来、彼女を見る機会がなくなってしまった。

次男がクラブに復帰したときは、4面あるコートは2面しか使われていないことが多く、これでは経営不振でまたつぶれるんじゃないだろうかと不安になった。

いつもは次男を下ろして、近くのスーパーで買出しをしてから、またクラブに戻るのだが、今日はたいして買うものがなくてすぐ済んだので、早めに練習を見ることができた。

ふと見ると、一番奥のコートで帰り支度をしている少女がいた。キキだ。バンビみたいな体とポニーテールは、遠目にもわかった。

キキの隣に立っていたのは、母親。やはり自分で教えることにしたのか。レッスン代を払うより、テニスコートのレンタルだけのほうが安い。それに、彼女は指導方法にも一家言あるようなタイプだったから、もうクラブのコーチでは満足できないのかもしれない。

こんなことなら、買い物に行かなければよかったと後悔した。

          *

コートから階段を登ってロビーに戻ってきた二人。キキはあいかわらず小さかった。半年以上経っているのに、あまり成長していなかった。

いまどきの選手は大きいから、大変だな。才能がありそうなのに残念。お母さんも大きくないから、しょうがないのか。でも、背が低くても、エナンみたいにナンバーワンになる選手もいるから、わからない。

そういえば、お父さんは見たことがない。お母さんはいつアメリカに来たのかな。どういう仕事をしているんだろう。テニスのコーチで食べていけるんだろうか。アクセントからして明らかに移民のお母さんは、キキに夢を託しているのだろうか。二人の会話はいつも英語だけど、チェコ語は教えないんだろうか。

キキは以前と違って、眼鏡をかけていた。スポーツ選手で目が悪いのはかなりハンデではないだろうか。コンタクトレンズもあるし、レーシック手術という手もあるけれど、スポーツ選手に視力は大事だろうに。

彼女は、自分の身長と同じくらいの大きなバッグを背中にしょっていた。プロの選手が試合にかついでくるのと同じような、本格的なものだ。

今度から買い物はあとにして、まずキキの練習を見よう。来週も同じ時間に来るかな。

私は彼らと言葉を交わしたこともないのに、なんだかとても気になるのである。


<今日の英語>

He didn't give me a straight answer.
はっきり言ってくれなかった。


ゲームの進展について話し合っていた子どもたち。長男が別のプレーヤーの動きについて次男に尋ねると、「その子に聞いてみたんだけど、ストレートな返事をくれなかった」そうだ。2人とも、もっと他にやるべきことはないの。



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