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未亡人クラブ

2009.10.18 (日)


母は、15年ほど前から女学校の同窓会をやっている。

子どもが家を離れ、祖父母が他界した頃から、地元に残っていた仲のよい数人で食事会を始めたらしい。それを聞きつけた同級生たちが、「私も入れて。」ということでどんどん話が広がり、毎年1回という定例同窓会になった。

「10月はお祭りがあって忙しい」という、よくわからない理由で11月に開くのだそうだ。20人くらいが集まるらしい。メールが使いこなせない人たちなので、同窓会の通知は昔懐かし電話連絡網である。

同級生の3分の1が夫に先立たれたと聞く。

半世紀の間にお互いどんなことがあったのか、詳しいことを知っている人も知らない人もいるらしいが、その日は楽しくおしゃべりをして、おいしいものを食べる日なのだそうだ。

田舎なので、しゃれたお店があるわけもなく、調理師の免許を持っている母が一時期お弁当作りを手伝っていた料亭のお座敷を借りる。会費は3000円。

     *     *     *

私は同窓会に出たことが一度もない。

アメリカに移住してからはもちろん、東京に住んでいたときもそのために田舎に帰ることはなかった。勉強は好きだが学校が嫌いだった私は、学校関係の集まりは気が進まない。

エアメールで細々と連絡を取っていた数少ない友だちともすっかり疎遠になり、今では年賀状すらない。自然消滅するべくしてなったものだから、それでいいと思っている。

それなのに、同窓会があるからと実家にわざわざ電話をくれる人が未だにいるのだ。母は「せっかくだけど、娘は遠くて来れんで、申し訳ないねえ。」と謝る。近くでも、私は行かないわよ。

     *     *     *

この夏日本に帰ったとき、母に聞いてみた。自分のには出たくないのに、母の同窓会には興味があるというひねくれ者である。

「女学校の同窓会でも、来ない人いるんじゃない?」

「おるよ。あんたみたいな変なのが。せっかく誘っとるだに、あたくし興味ありませんから、結構ですって。」

「そんなはっきり言う?もう少し遠まわしに言うんじゃない?」

「いーや、あの通り。つんけんしとるわ。あんた、そっくり。」

「そういう人にはどうするの。」

「もう2度と電話せえへん。来たい人だけで楽しくやるだわ。

ああ、そう。まあ、さっぱりしたものだ。

母の同級生には、田舎の郵便局で働いていて、局長さんのお妾さんになった人がいる。仲のよかった人が何度か誘ったが、遠慮して出席しないという。「2号さんだろうがなんだろうが、だーれも気にしとれへんのにねえ。

みんなそれなりに苦労をしてきたはずで、夫の浮気や暴力やお金の苦労、姑のいじめ、離婚に病気にグレた子ども、なんとなく話は伝わるのだろう。「女学校を卒業してから、それは平穏な人生でございました。」という人はあまりいないようである。

     *     *     *

食事のあとは、甘いものとおしゃべりで瞬く間に時間が過ぎる。そこから二手に分かれるのだそうだ。

電車で帰るグループは駅に程近い母のところへ、遠くから来ていて一泊する人たちはホテルへ。そこでお待ちかねの2次会となる。もちろん運転手には、生き残っているご主人が徴用される。

未亡人たちは、お互いの家に行くにも、まったく気楽である。ご主人がいるからお邪魔かしらとか、友だちが来たら不機嫌になるかもとか、夫の食事を用意しておかなくちゃとか、そんな心配は一切無用。

女学校がそのまま半世紀移動したようなものだ。どれくらいけたたましいか、何を話しているのか、こっそり見学したくなる。

     *     *     *

私は、母の友人関係を密かに「未亡人クラブ」と名づけている。

このネットワークは一人暮らしの母だけでなく、私や姉にとっても心強い。ふだんも一緒に買い物に行ったり、夕食を共にしたり、(私のもっとも苦手とする)日帰り団体バス旅行に出かけたりする仲間である。

同級生の中には、ご主人でなく、本人がぼけて入院している例も何人かある。そういう人のところへも集まってお見舞いに行くのだそうだ。

会話ができる程度ならば、多少つじつまが合わなくても普通におしゃべりして帰ってくる。そして、あの施設はどうの、この部屋はどうのと、将来に備えてしっかり視察してくる。それもまた遠足みたいなもので、楽しいらしい。

母が言う。

「旦那さんを亡くしてすぐの人は、ちょっとめそめそしとるだよ。でも、次の同窓会にはケロッとしとる。そんなもんだよ。そういやあ、ひーちゃん(私は知らない人だが、母はそんなことお構いなしに話す)なんか、旦那が死んだときは涙なんか出なかったけど、飼い猫が死んだときは大泣きだったわ~、って。笑っちゃうねえ。皆で、そうよねーアハハーだったよ。」

この未亡人クラブは明るい。そして、平均寿命までまだ10年あるのだ。


<今日の英語>

You are so thick sometimes.
きみは、ときどきかなり鈍いね。

Skype でファイルが送付できることを知らなくて話がかみ合わなかった私に、夫が一言。次男によると、それほど軽蔑した言葉ではないそうな。



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