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愛人ごっこ その57

2009.10.04 (日)


(前回その56の続き)

NYに戻った私たちは、旅の疲れと時差ぼけで、だらけた数日を過ごした。まだ夏休みは半分残っており、子どもたちは翌週からキャンプに参加することになっていた。

パヴェルは、平日の自由時間はあまりない。それでも、ある日の夕食の後、キッチンのスタッフが使うらしい電話から連絡してきた。

「お帰り。待ってたよ。来週からだね。大丈夫?」

「大丈夫だと思うわ。私はともかく、子どもたちはキャンプをすごく楽しみにしてる。あなた、どっちかのカウンセラーになりそう?」

「それは初日にならないとわからない。ぼくからリクエストできないし。」

「あなたが担当でなくても、朝ちょっとだけ話をしてもいいかしら。」

「もちろんかまわないよ。でも、気をつけないとね。」

カウンセラーは毎年ほとんどが入れ替わるが、ディレクターやそのアシスタントたちはずっとそこで働いている。人前では、あくまで良き友人として振舞う私たちだったが、親密な関係をかぎつけられないとも限らない。

パヴェルのために、そういうややこしいことは避けたかった。

「今度の週末は、カウンセラーみんなで遠くに出かけるんだ。もう1ヶ月以上もここにいるから、息抜きにね。ディレクターたちも来るんだよ。ぼくも行くんだけど、日曜日の夜はライフガードを頼まれてる。赤十字の資格を持ってるのが少ないから、ピンチヒッターに呼ばれてね。今度はトーマスと一緒。」

彼は声をひそめて続けた。

「日曜日の夜、プールに来られる?」

日曜日には子どもも夫も家にいる。抜け出せるだろうか。

「私は行きたいけど、何か言い訳を考えなくちゃ。もし行けなかったらごめんなさいね。」

・・・

日曜日の夕食が終わって、夫はテレビを見ていた。

「明日からキャンプなんだけど、ちょっと買い忘れたものがあるから、ドラッグストアに行ってくるわ。確か9時まで開いてたから。」

「今から? 大丈夫か。」

目の悪い私は、夜の運転が苦手だった。でも、夫は自分が代わりに行こうと動く人ではない。

夏は8時でもそんなに暗くない。私は子どもたちを夫に任せて、車を出した。嘘をついたという罪悪感はなかった。

・・・

プールの外の駐車場に車を止めて、建物の中に入り、ロッカーからプールへ通じるドアを開けた。その夜は、どこかの障害者と付き添いのグループが8人ほどで貸切っており、閑散としていた。

水泳パンツとTシャツ姿のパヴェルは、私に気がつくと、プールの向こう側にいたトーマスに何か言って、こちらへ向かって歩いてきた。

私はトーマスに手を振った。ハンガリー語なまりの強い彼の英語はさっぱり聞き取れなかったが、去年のカヌー遊び以来、親しみを持っていた。もしかしたら、トーマスは去年から私とパヴェルの関係を知っていたかもしれない。誰にも内緒のはずなのに、なぜかそのほうが私には嬉しかった。

パヴェルはドアを開けてロッカーに入ってきた。私たちは抱擁とキスの合間に言葉を交わした。

「よく来てくれたね。どうやって抜け出したの?」

「キャンプのために買い物に行くって。だから、あんまり時間がないの。それに、あなたもライフガードをしなくちゃ。」

「大丈夫。トーマスに頼んであるから。それに今日はほとんど無用なんだ。でも、給料はもらえるし、こうやってあなたに会える。」

私は彼のシャツの下に手を入れて、滑らかなひんやりした肌を撫でた。彼の手は私の反応を確かめながら動き、ささやいた。「あなたがほしい。」

「それは私も同じだけど、しばらくは無理よ。さあ、もう戻らないと。トーマスが変に思うわ。」

私たちはしばらく抱き合っていたが、パヴェルはドアを開けてプールへ戻った。こちらを見つめていたトーマスと目が合った私は、また彼に手を振ってから、車に急いだ。

トーマスは気づいている。でも、彼は人の情事に口を挟むような野暮な真似をするタイプではない。

(次回その58に続く)



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