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愛人ごっこ その53

2009.09.24 (木)


(前回その52の続き)

それからパヴェルは忙しくなった。

学校とアルバイトで忙しいのはいつもの通りだったが、数ヶ月留守にするとなると、他にもいろいろとやることがあった。

アパートの一部屋を貸してくれているダミアンは、彼の頼みを快く聞き入れてくれた。秋に戻ったとき、また同じように間借りできるという。アルバイト先はどうなるかわからなかったが、バーのオーナーは彼の働きぶりを気に入っていたので、たぶん戻れるだろう。

もう一度ベラルーシに帰る時間はなかったけれど、その代わりに彼の母親が訪ねてきた。

・・・

去年ニューヨークに小さなアルバムを持ってきていたパヴェルは、私に家族の写真を見せてくれたことがあった。彼は母親に似ていた。2人とも背が高く、すらりとしている。やはり色白で、きれいな顔立ち。

でっぷりした中年のロシア婦人を想像していた私は、ちょっと恥ずかしくなった。

「すてきなお母さんね。あなたがハンサムなわけがわかったわ。」

「母はすごく若く見られるんだ。あなたほどじゃないけど。ぼくがベラルーシの大学に入ったときに一緒に来たら、姉に間違えられたんだよ。今でもモテるしね。」

彼は母親が自慢だった。彼女が夫のアル中と暴力で苦労したことで、マザコンとは違う深い絆ができているようだった。

ドイツで1週間過ごした母親は、満足して帰途についた。会ったこともない同い年の私によろしくと言い残して。彼女はもちろん私とパヴェルの関係を知らないが、母親の勘はどれくらい働くものだろうか。

・・・

もうすぐドイツを発つというときに、パヴェルからメールが来た。

「やっとこっちの用事が片付いたよ。去年いっしょにカヌーに乗ったトーマス、覚えてる?ハンガリーの。彼もまたキャンプに来るんだって。なんか懐かしいなあ。いろいろ思い出すよ。ぼくがあなたの子どもたちのカウンセラーになれるといいんだけど。」

「今年は、去年みたいに長々と朝のおしゃべりをしないほうがいいかもね。だって、他の親は子どもを置いてすぐに帰るんだから。めざとい人はいるものよ。」

「そうだね。ぼくは大丈夫だけど、あなたに迷惑をかけたくないから。」

私は自分がリスクを負っているとは思わなかった。私はこの保守的な田舎町の住人にどう思われようと、平気だった。むしろ、彼がからかわれたり、中傷されたりするのを恐れていた。

「会うのは、私が日本から戻ってからのほうがいいかしら。」

本当はすぐにでも会って彼を確かめたいのに、心にもないことを書き送った。その間に、彼はカウンセラーの若い女の子と仲良くなってしまうかもしれない。

「ぼくは一回だけでも会いたい。ほんの少しの時間でいいから。8ヶ月ぶりだよ。連絡するから待ってて。」

友だちのようにハグするだけなら、頬にキスするだけなら、誰に見られてもいいのではないか。それだけで私たちの深い関係が見抜かれることはないだろう。

でも、去年よりも注意深く行動しなければならないのは確かだった。

(次回その54に続く)



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