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愛人ごっこ その49

2009.09.17 (木)


(前回その48の続き)

パヴェルはM大学の学生になってから初めてベラルーシに帰ることになった。

アルバイトも勉強もあるので、そう長くは居られないけれど、メールの文面から待ちきれない気持ちが伝わってきた。夢見ていたドイツでの大学生活が始まって、彼も彼の母親も鼻が高いに違いない。

「飛行機は高いから、バスで行くんだ。ドイツからポーランドを通って。48時間くらいかかるかな。でも、おもしろいんだよ。」

きっと前にもそうやって旅行したことがあるのだろう。私は丸2日間もバスに揺られるのに耐えられそうにない。ヨーロッパに行ったことがない私は、国境を越えるバス旅行を想像するしかなかった。

彼はお人よしだし、悪い人にだまされないかと心配になる。

ベラルーシのパスポートを持っているんだから、国境を越えるのも問題ないはずだ。でも、ルカシェンコ独裁政権の下では何が起こるかわからない。外国のメディアはベラルーシの状況を誇張しすぎていて、市民は普通に暮らしているとパヴェルは言うけれど。

「おばあさんにこの間いただいたベラルーシの織物のお礼を言ってね。大事にしますって。あなたのお孫さんは、私の大のお気に入りですって。」

・・・

何日か経って、パヴェルからメールが届いた。

ベラルーシからメールできるとは思わなかった私は驚いた。孤立した国、政府が情報管理している国、言論の自由がない国というイメージがあったので、インターネットがどれだけ普及しているのか、市民にパソコンが買えるのかも知らなかった。

「元気? 無事に着いたよ。バスはドイツではビュンビュン進むんだけど、ポーランドに入ったとたん道が悪くなって、ガタガタし始めて、ベラルーシに入ったらまた一段と遅くなってやきもきした。

ベラルーシでバス停についてから、タクシーを拾ったんだけど、ドイツの物価とユーロに慣れてるから、タクシー代が信じられないくらい安く思えてね。運転手にチップをはずんじゃったよ。クリスマスだし。

アパートのドアをノックしたら、すぐドアが開いて母がニコニコして立ってた。ぼくは思いっきり母をハグしたんだ。料理がたくさん用意できてて、部屋中すごくいい匂いがした。父もシベリアから戻っていたし、弟もいたし、久しぶりにみんな揃って素晴らしい時間を過ごしたよ。」

ベラルーシの料理について調べたことがあったが、あまり私の口に合いそうになかった。でも、彼にはそれがお袋の味なのだ。

また、彼の父親がかつてはアル中で、母親を殴り、家庭が崩壊しかかっていたことを思うと、パヴェルが「どんなに大変でもやり直せる」と信じるのもわかる気がした。

・・・

祖父母はさらに田舎に住んでいたようだが、彼は会いに行ってきた。パヴェルは特に祖父のご自慢で、「ドイツの大学に行っているうちの孫息子」の話はみんなが知っているらしかった。入学の手助けをした私に、また感謝の言葉が寄せられた。

私は何週間かお金を貸しただけなのに。そして、私がパヴェルにあげたものよりも、彼が私にくれたもののほうがはるかに大きいのに。

彼のかつてのガールフレンド、ガリーナは他の男の子と付き合っているらしかった。彼はまだ彼女に未練があると思っていたが、案外ふっきれたのかもしれない。ベラルーシでの休暇中、彼は友だちとバーに行ったりして、女の子を見つけたけれど、深い関係になる前に、ドイツに戻らねばならなかった。

(次回その50に続く)



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