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愛人ごっこ その46

2009.09.14 (月)


(前回その45の続き)

数日後、外出先から戻ると、ガレージの外に黄色い横長の段ボール箱が置いてあった。アメリカでは見かけないその色と Luftpost の文字で、一目でパヴェルからだとわかった。

持ち上げてみると軽い。それに中身が動く。箱自体もなんだか薄いダンボールで、頼りない。それなのに、短いテープで2箇所とめてあるだけ。よくこれで無事に届いたものだ。私はカリフォルニアに荷物を送るときだって、荷造りテープでぐるりと巻くのに。

2階にいた夫には何も知らせないで、箱を開けた。

緑とピンクで刺繍された細長い布、ロシア語の文字が埋め込んである精巧な寄せ木細工の置物。そして、絵葉書のセット2つ。

これらが緩衝材もなしに、ただ大きい箱にポイポイ入れたような形で入っていた。輸送の途中で相当動いただろうに、どれも傷にはなっていなかった。いかにも若い男の子がやりそうな、カジュアルなパッキングで笑いがこみ上げてきた。

パヴェルに荷物が届いたことをメールしなければ。

「この間は電話をありがとう。今日、パッケージを受け取りました。細長い布も木の置物も、ベラルーシのものかしら。置物には、あなたの故郷の街の名前がロシア語で書いてあるみたい。わざわざベラルーシからドイツに送ってもらったの? 忙しいときにありがとう。」

絵葉書は、大学のあるM市と住んでいるK市のものがそれぞれ4枚ずつ入っていた。いかにも観光客が買いそうなものだったが、町の名所や風景が私の想像をかき立てた。

「絵葉書はいつでも見られるように冷蔵庫に張ったのよ。磁石でポケット式だから、ときどき入れ替えるつもり。あなたの大学はお城みたいに見えるわ。」

その夜、キッチンに現れた夫は、絵葉書を見て、「パヴェルから? へえ、よさそうな所だね。」 そして、布と置物を見て、少しだけキリル文字が読めるらしい夫は「これはベラルーシからか。彼らしいな。」

「何も要らないって言ったんだけど。さっき、お礼のメールを出しておいたわ。」

・・・

パヴェルからの返事はすぐに来た。

「もう届いたの。よかった。あの布は、ぼくのおばあちゃんが作ったんだ。伝統的な織り方で、結婚式や他の儀式なんかにも使うものなんだけど、あなたの好きなように使っていいよ。置物はベラルーシの伝統工芸で、どっちも母に送ってもらった。あなたの誕生日に間に合うように。」

「ずいぶん長い布だと思ったけど、セレモニーに使うものなの。そんな大事なものをいただいていいのかしら。しかも、おばあさまのお手製の。」

「あなたのことは、ぼくの家族みんなが知ってるよ。おばあちゃんはぼくがそんなにお世話になった人に、ぜひあげたいって。いくつも持ってるから、大丈夫。一つだけあなたのために選んでもらった。

ぼくの町の絵葉書があなたの冷蔵庫に張ってあるなんて、なんだか変な気持ちだなあ。ご主人が気にしない?」

パヴェルがドイツに行ってしまっても、私は彼とつながっていて、そのことは夫にも隠さなかった。

パヴェルは私の愛人であっただけでなく、ファミリー・フレンドでもあったのだ。それは、私たちの関係をカムフラージュしてくれた。

(次回その47に続く)



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