スポンサーサイト

--.--.-- (--)


上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



クリック募金を始めました。下記サイトにて協賛企業のリンクを各社1回クリックすると、1円ずつ募金できます。
    JWordクリック募金

 |  スポンサー広告

愛人ごっこ その43

2009.09.10 (木)


(前回その42の続き)

パヴェルとこんな風にメールしていることは、夫には内緒だった。

読まれて困ることはお互いに書かないように気をつけていたけれど、余計な詮索をされたくなかった。

「パヴェルから何かニュースはあった?」とたまに夫に聞かれると、「やっと落ち着いたみたいよ。」とか「最近はメールが来てないわね。」とか、適当に答える。

私とパヴェルはいい友人であり、本当はそれ以上の関係だったが、いい友人というのも嘘ではなかったので、私は平然としていられた。サマーキャンプで子どもたちと一緒に写したパヴェルの写真を、堂々とベッドルームに飾った。

そして、パヴェルがいなくなってからも、ロシア語の勉強を細々と続けた。

それは彼が私にくれた贈り物でもあった。彼が話す言葉というだけでなく、ロシア語の美しさに惹かれていた。フランス語や中国語の音がきれいだとよくいうけれど、ロシア語には暖かさと音楽的な魅力があると思った。

補習校への道すがら、車の中でかける音楽はリュベ。「アメリカにいて日本語を習いに行くのに、ロシアのポップミュージックを聴くなんて変じゃない?」と子どもたちに聞いたが、「変じゃないよ。」

・・・

パヴェルが教室で出会った女の子とは、その後進展しなかった。恋人探しは、彼がベラルーシ出身だということが案外ネックになっているようだった。

でも、職探しの方面ではうまくいった。彼が見つけたのは、バーの仕事だった。学校が終わってから、夜中の2時まで。ただし、毎日ではない。

ヨーロッパではアメリカほど禁煙が規制されていないだろうと思い、彼の健康が心配だった。それに、お酒がらみのごたごたに巻き込まれるのも気がかりだった。

でも、彼は大丈夫、心配しないでと返事をくれた。いくらもらえるのかは知らないが、NYにいたときキッチンの仕事をして、カウンターやテーブルで働くのも抵抗はないらしい。大学を休まないでできるのが一番のポイントだった。

大学では、とりあえず英語を専攻するつもりだと言う。日本の大学しか行ったことがない私には、アメリカやヨーロッパの大学の仕組みはよくわからなかった。ドイツで英語?

夫は、英語よりもっと就職に有利な科目を勉強したほうがいいんじゃないかと言ったが、私はパヴェルが自分で見つければいいと思って、反対しなかった。

事実上の国際語となった英語のネイティブ・スピーカーである夫には、英語をマスターしたいという外国人の気持ちはわかるまい。パヴェルの英語は下手ではないけれど、もっと上達できる。

そして、ドイツでの大学生活を始めたパヴェルに、他人にはもちろん、自分の子どもや夫にもやらないくらいの励ましと賞賛を書き送った。

・・・

私たちはちょくちょく些細なことを知らせ合って、率直に意見を述べた。離婚とか結婚とかいうややこしい話をしなくていいのは気楽だった。若い恋人同士のような、将来はどうするのかというわずらわしい問題は、私たちの間には存在しなかった。

希薄な友人関係しか築けない私が、この若い愛人には心を開くことができた。母や姉にも話せないうつ病や夫の浮気のことを知っているのは、彼だけであった。

(次回その44に続く)



クリック募金を始めました。下記サイトにて協賛企業のリンクを各社1回クリックすると、1円ずつ募金できます。
    JWordクリック募金

 |  愛人
 | ホーム | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。