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愛人ごっこ その42

2009.09.09 (水)


(前回その41の続き)

5日目にドイツからメールが届いたとき、私の心臓は嬉しさと不安で飛び上がった。もし彼が「これで終わりにしよう。」と書いてきたらと思うと、すぐには開けなかった。

私たち家族全員宛てと、私だけに宛てたものと、2通があった。どちらも、連絡が遅くなって申し訳ないというお詫びの言葉で始まっていた。

夫と子どもたちが読んでもいいメールは、あたりさわりのない挨拶で、M大学の寮に住んでいること、大学の設備が立派で感激したこと、私たちがプレゼントしたパソコンがとても役に立っていること、NYで世話になったお礼などがつづられていた。そして夫のアドレスにも出されていた。

私宛てのメールにはこう書いてあった。

「ドイツでの大学生活も夢のようだけれど、NYでの数ヶ月も夢みたいだった。あなたのことは一生忘れない。あなたは、ぼくの人生を信じられないくらいにいい方向に変えてくれた。

ぼくはここで一生懸命やるよ。絶対にあなたをがっかりさせたりしない。

4000ドルはもういつ引き出してもいいです。ぼくは、キッチンで働いてためたお金もあるし、すぐにこっちでも仕事を見つけるから大丈夫。ありがとう。」

そして11月の私の誕生日に何かしたい、何か贈りたいと言う。

「パヴェル、私はモノは何もいらないの。ときどきメールくれるだけでいいわよ。それも、時間があるときに。」

働きながら大学に通わなくてはならない彼に、お金を使わせたくなかった。すべて親掛かりで日本の大学を卒業した私には、それがどれくらい大変か想像もできなかった。

・・・

彼と私は頻繁にメールを出し合った。地理的に離れても、なぜか私たちの関係は切れなかった。

私はうれしかったけれど、一方で彼が義務感からそうしているのかもしれないという気持ちがぬぐえずにいた。でも、今はメールが唯一のつながりで、私はそれを手放すつもりはなかった。

そして、毎日パヴェルからの報告を心待ちにした。

ジュディに大学への奨学金を与えた足長おじさんも、こんなふうに彼女の毎月の手紙を待っていたのかなとおかしなことを思ったりした。私もある意味ではパヴェルのスポンサーだったから。

「ガールフレンドできた? どんな子か教えて。」

「大きな教室で講義があって、ぼくのすぐ横に座ってた子がすごくかわいかった。話してみたら、ちょっといい感じになって、もしかしたら週末に出かけるかもしれないよ。」

パヴェルは人懐こい。誰とでも友だちになってしまうところがある。ベラルーシでの生い立ちがそうさせたのだろうか。ドイツでそんなことをして危ない目に合わないだろうか。悪い女に引っかかりはしないだろうか。まずは勉強と言っていたのはパヴェルだったのに。

しっかりしているようでどこか抜けている、素朴な彼が心配になった。でも、小うるさい親戚の叔母さんみたいにはなりたくなかった。

「まあ、手が早いのねえ。うまくいくといいわね。あせっちゃだめよ。またデートの報告して。」

そういえば、何度目かに一緒に過ごしたベッドの中で、「私はあなたの mistress (愛人)っていうことになるわね。」と私が言うと、彼はその響きがいいと喜んだ。

私は彼をがんじがらめにするつもりなど毛頭なかった。私たちはそういう関係ではないのだ。

<次回その43に続く>



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