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愛人ごっこ その41

2009.09.08 (火)


※ これまでの話(その1~40)を最初から読む。またはカテゴリで話の番号を選ぶ。

(前回その40の続き)

パヴェルがドイツに行ってしまってからの数日間、私は何をしてもうつろだった。悲しいとか寂しいとかいうよりも、人恋しくて、彼の腕や胸や唇の感触を取り戻そうと虚しく試みた。

彼が帰った翌日にゲストルームを片付けたとき、彼の残り香がシーツにあるのに気づいた。洗濯をするふりをして地下室に持って行き、長い間シーツに顔を埋めた。そして、すべてきれいに洗った。

夫の前では彼の話をしないように気をつけた。もうNYにはいないのだし、いつまでも思いふけっている理由はない。

でも、誰かに話したくてたまらなかった。「おかあさん、いつもパヴェルのことばっかり、しゃべってるね。」と言われながらも、子どもたちだけにはよく話した。

「パヴェルはもう大学に通ってるかしらねえ。ビザは大丈夫だったかしら。どんなところに住んでると思う?マンハッタンでカートが壊れてね、新しく買ったのよ。また壊れてないといいけど。」 

まだ小さかった子どもたちは、やはりパヴェルがいなくなってつまらなかったらしく、「今度はいつ来るの?」とよく私に聞いた。when (いつ)ではなくて if (もし)なのに。

     *     *     *

彼の夢だったドイツでの大学生活。NYの田舎での数ヶ月や私たちの秘密は、すでに遠いものになってしまったのかもしれない。

でも、彼はこれで終わりにはする子ではないと信じたかった。

私は彼に貸した4000ドルを彼の銀行口座に入れたままで、ドイツでの生活が落ち着いたら引き出すという話にしておいた。

私から彼にメールを出すつもりはなかった。落ち着いてからでいいと言ったのは私。彼にうっとうしく思われるのはいやだった。一夏の愛人関係だとわかっていたのに、遠くに行った彼にまとわりつくようなみっともない真似はしたくなかった。

いても立ってもいられなくなると、彼がくれたロシアのCDを聞いて、心を落ち着けた。

夫は、そんな私に気がついていたのかどうか。

ときどき、「パヴェルから連絡はあった?」と私に尋ねた。「まだよ。忙しくて、とてもそんな余裕はないでしょう。」と、私はぜんぜん気にしていないという風を装って答えた。そのくせ、一日中メールをチェックしていた。

(次回その42に続く)



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