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愛人ごっこ その40

2009.09.07 (月)


(前回その39の続き)

空港行きのバス乗り場まで行く途中で、彼のボストンバッグをくくりつけていたカートが壊れてしまった。手で持ち運ぶには重過ぎる。

私は彼にゆっくり来なさいと言い置いて、先に立ってその辺のお店を探すことにした。ここはマンハッタンなんだから、お金さえ出せば何でも手に入るはずだ。

パヴェルといると、なぜかいろんなことが起きる。そして、驚くべきことに、たいていの場合、私は対処できるのだった。

信号待ちをしているときに、角に旅行バックのお店が見えた。中に入って、もう少ししっかりしたカートを買い、難儀しているパヴェルのところに戻った。

「はい、これ。付け替えましょう。」

「どうしたの、これ。」

「すぐそこで売ってたの。あなたへのプレゼント。こんなのが最後のプレゼントなんて、ロマンチックじゃないわね。」

彼はお礼の言葉もそこそこに、新しいカートに付け替えた。やっぱり付いてきてよかった。

・・・

彼は空港までの片道切符を買った。私は空港までは付いて行かない。

何時のバス?

1時半。

もうあと少しね。

うん。わざわざ来てくれてありがとう。カートを買わせたりして、ごめんね。

いいのよ。ドイツでもベラルーシでも使えるでしょ。ドイツなら何でも売っていると思うけど、必要なものがあったら送るわ。

彼の目はすでにドイツのほうを向いていた。私となんでもない話をしながらも、彼の頭の中はドイツでの新しい生活のことでいっぱいのように見えた。

・・・

彼のバスが来た。私はその場を動かなかった。

彼は私を抱きしめてキスすると、

「さよなら。ぼくの大事なひと。ほんとにありがとう。言っておくけど、これで終わりじゃないよ。あなたがドイツに来るか、ぼくがアメリカに来るか。また会えるんだから。」

「気をつけてね。ドイツからメールをちょうだい。落ち着いてからでいいのよ。」

彼は軽い足取りでバスに乗り、私から見えるところに座り、手を振った。

あまりきれいでない窓ガラスから見える彼の顔をもう一度確かめて、手を振り、私は一人で歩き始めた。

(次回その41に続く)



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