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愛人ごっこ その35

2009.08.27 (木)


(前回その34の続き)

その夜遅く、パヴェルから電話があった。マンハッタンは遠い。

「遅くなってごめんなさい。これから電車に乗るんだけど。」

「気にしないで、お迎えに行くから。到着時刻を確かめるわね。」

・・・

真っ暗でひっそりした田舎の駅に車を止めると、しばらくして電車が滑り込み、ドアが開いた。彼がプラットフォームを歩いてくるのが見えた。手に何か大きなものをもっている。買い物をしたんだろうか。ビザは無事にもらえただろうか。

車のドアを開けてやると、目の前に大きな花束があった。彼が私のために買ってきたのだ。

「まあ、きれい。でも、こんなことしなくてもよかったのに。」

「あなたにあげたくて、花屋に寄ったんだ。そんなに高くないよ。」

私は花束なんかもらったことなんかあっただろうか。子供が生まれる前に勤めていたオフィスで、最後の日にもらったきりだ。わたしは生け花もできないし、花をすぐ枯らせてしまう。だから、夫にも花なんか買ってこなくていいといつも言っていた。

パヴェルは殺風景な私の家を花束で飾ろうとしたのか、私をなぐさめようとしたのか。

私はパヴェルにありがとうを言い、暗い夜道をパヴェルの宿舎に向かった。明日は早くから仕事があるので、今日は泊まっていかない。

彼はブライトンビーチやマンハッタンでどこに行ったのかを楽しそうに話してくれた。

宿舎に着くと、彼は送り迎えのお礼を言い、長いキスをして車を降りた。こうやって彼と過ごす時間は残り少なくなるのだ。

・・・

まだ起きていた夫は、花束といっしょに戻った私を見て、一瞬不愉快そうな顔をした。

「何だい、それは。パヴェルから?」

「そうよ。これまでのお礼ですって。ヨーロッパの子ね。女性には花束ってことかしら。」

「なんだかうれしそうだね。いつも花束なんかいらない、もったいないって言ってたんじゃないか。」

「そうよ。でも、もうもらったんだから、返すわけに行かないでしょ。かわいそうじゃない。」

そうして、花瓶を戸棚から出して、キッチンのカウンターに置いた。私には派手すぎる色彩だったけれど、あんなに若いのに、こんなことができるのねえと素直なパヴェルを思った。

夫は何か気づいたかもしれなかった。でも、それ以上は追求しなかった。

(次回その36に続く)



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