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愛人ごっこ その17

2009.07.15 (水)


(前回その16の続き)

パヴェルの両親は、弟と一緒にベラルーシ西部の町に住んでいる。

母親はナース。父親はソビエト時代は地元の工場で働いていたが、いまはシベリア地方で建設作業に出ている。ロシア、しかもシベリアだったら、ベラルーシの何倍も稼げる。ただし、仕事は厳しい。

父親は定期的に列車で帰国し、また出稼ぎに行く。そういう生活である。真面目に働いて送金している家族思いのいい父親。

しかし、パヴェルは自分の父親を殺そうとしたことがあるのだった。

・・・

「父はぼくが小学校に入った頃から、アル中になっていました。最初は仕事が終わってから酔っ払っているだけだったけれど、そのうち仕事に行けなくなって、一日中ウォッカを飲んでばかりいました。

飲んでいなければいいんです。ぼくと弟をつりに連れて行ったり、サッカーをしてくれたりしました。

でも、だんだん暴れ始めました。そして、母をひどく殴りました。学校から帰ると、家の中がめちゃくちゃでした。父が投げたお皿やウォッカの瓶が割れて床に転がっていました。

母は泣いてお酒をやめてくれと頼んだのに、父はそんな母を殴りました。

ぼくは祖父母に助けを求めたけど、だれにも父を止められませんでした。ぼくと弟は毎日暗い気持ちで学校に行き、家に戻るのが恐かった。

ぼくたちは子どもだったけれど、母を守らなくてはと思っていました。だから、父が母を殴ろうとするのを二人で一生懸命止めました。でも、父は力が強くて身体も大きくて、ぼくたちのほうが飛ばされてしまいます。

そんな生活が何年続いたか。ぼくは上の学校に上がりました。どうして母が父の元を去らなかったのかわかりません。

・・・

ある日学校から戻ると、父は恐ろしく荒れていました。母は殴られて泣いていました。ぼくはカッとなって、これ以上母をこんなめに合わせられない、父を殺すしかないと思いました。そして、台所へ行って、包丁を取り出しました。

父が死ねば、母が悲しまずに済む。ぼくも弟も平和に暮らせる。

そして、包丁を手に父と母のいた居間に向かおうとしたら、通路に母が立っていました。そして、ぼくを抱きしめてすすり泣きました。母はぼくに「おまえにそんな真似はさせられない。」と言うのです。

じゃあ、いつまでもこんな生活でいいのか。母の幸せはどこにあるのか。

でも、結局ぼくには父を殺すことはできませんでした。すでに嘆き悲しんでいる母をこれ以上悲しませることはできません。

それから父と母の間になにがあったのか、よくわかりません。母は家を出て行こうとしたのか、父を追い出そうとしたのか。なぜ父がウォッカを手放したのか。

父がどうやってアル中から立ち直ったのか、ぼくはよく覚えていません。知りたくもなかった。これまでも何回かお酒はやめるといって、やめたためしはないのです。母はナースだったので、何か伝手があったのかもしれません。

ぼくはいざとなったら父を殺せるとずっと思っていました。

そうして、高校に行って、最初は遊んでばかりいたけど、あるとき急にこれじゃだめだと気がついて、真剣に勉強を始めました。

ぼくがミンスクの大学に合格したころには、父はしらふになっていました。そして今でもウオッカは口にしません。

・・・

母と父は、昔そんなことがあったとは思えないくらい、仲良くやっています。ぼくが家に帰って、父も出稼ぎから帰っていて、皆が揃うとほんとに幸せです。ぼくは父を許したのか、自分ではなんとも言えません。でも、ぼくは父を愛しています。

母も父を愛しています。母がどう乗り越えたのか、ぼくには理解できないままです。

あなたとご主人の間の問題を、ぼくの両親の問題と比べるつもりはありません。でも、仲直りすることは不可能ではないと思います。ぼくはあなたに幸せになってほしい。

ぼくには、あなたの深い傷をどうやって直したらいいのかわからないし、何もできません。ただ、あなたはとてもいい人で、ぼくはあなたに強い愛情を持っていることは確かです。

ぼくが父を殺そうとしたことは、母しか知りません。親友にも弟にも話していません。このことを知っているのは、母とあなただけです。

あなたがぼくを信頼して打ち明けてくれたので、ぼくも同じことをするべきだと思いました。」

・・・

彼の長いメールを読んで、自分と夫のことより、彼がこんな苦しみを抱えていたことを知って、胸が痛くなった。そして、これまで以上に彼を守ってあげたくなった。

私と彼はお互いの秘密を共有し、それからは二人の間にもっと激しい、強く締め付けられるような気持ちが生じた。

私たちは何も口に出さなくても、自分も相手もそれを感じていることを知っていた。

(次回その18に続く)


<今日の英語>

There is no free lunch.
ただ飯なんてない。/ただより高いものはない。


投資アドバイザーの一言。リスクとリターンは表裏一体。元金保証で高利率なんてありえません。もしあるとしたら、そんなうまい話をどうして他人に教えるんでしょうね。それこそがフリー・ランチで、やっぱりただ飯はこの世にはないのです。あったと思ってごちそうになると、損失を出すか、ただ飯の恩を感じてやりたくないことをやる羽目になります。世の中は甘くないと肝に銘じておきましょう。



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