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愛人ごっこ その16

2009.07.14 (火)



※ これまでの話(その1~15)を
最初から読む。またはカテゴリで話の番号を選ぶ。

(前回その15の続き)

彼が泊まりに来る機会はなかなか来なかった。キッチンの仕事は朝早く、プールの仕事が終わるのは夜遅かった。休めばその分だけ給料が減る。

それでも、何度か都合をつけて、私の家に来た。たいてい、どこかに行く用事があって昼間のうちに私と出かけ、そのあと家に来るのがお決まりだった。

私たちは挨拶代わりにいつも軽く抱擁した。私は、どうしてこの子の体臭はこんなにかすかなんだろうと不思議だった。

彼はいつも礼儀正しく、あいかわらず私に気を使っていた。

・・・

あるとき私が2階から降りてくると、駆け上ってきた彼と階段の途中で出くわした。「ソーリー。2階の本棚を見に行こうと思って。」と言う彼の無邪気な顔が目の前にあり、私は彼の薄いにすっと私の唇を重ねた。

彼はびっくりして、口ごもった。

「何をするんですか。ぼくはあなたがとても好きだけど、こういうことは―。ぼくはそんなつもりでは―。」

「私もあなたがとっても好き。どういうつもりって言ったの?」

「だって、あなたは結婚しているじゃありませんか。りっぱなご主人がいる。」

「そう見える? りっぱなご主人様はタイにを囲っていて、ばれたら私を罵倒したの。あの女とは手を切ったと白々しく約束したあとも、こっそり会おうとしたのよ。私ね、証拠をつかんで現場を押さえたの。電話でだけど。

それで、もうすっかりどうでもよくなったわ。自分を責めるのをやめて、夫に合わせるのもやめて、夫には好きにさせることにしたの。もちろん夫とはセックスもしないし、別々の部屋で寝てる。そういう結婚よ。」

「知らなかった。でも―。」

「そうね、知らなかったと思うわ。だって表向きはごく穏やかにやってるもの。これ、カウンセラーと主治医以外には誰にも話したことがないのよ。

あなた、2階の本はこの次にして。もう戻らないと仕事に遅れるんじゃない。」

そうして、私は彼を車で送って行った。二人ともあまりしゃべらなかった。彼が降りるときに、初めてさっきのキスについて触れた。

「さっきはごめんなさい。こんな年上の女にキスされて迷惑だったわね。忘れましょう。私もどうかしてたと思うわ。あなたがあんまり可愛くて。だって、あなたほんとにいい子だもの。でも、これからも遊びに来てくれるでしょ。」

彼は私の手をぎゅっと握り、

「謝らないで。ちょっとキスしたくなることは誰にでもあります。ぼくは気を悪くなんかしてませんよ。言っておきますが、お金を借りているからじゃないです。また連絡します。」

彼は私の頬にすばやくキスして、微笑み、車から降りた。

・・・

そんなことがあったあとも、私たちは毎日メールを出し合った。

「昨日は驚かせてごめんなさい。」

「気にしないで。ぼくの母も久しぶりに合うと唇にキスするときがありますよ。」

私はあなたの母親と同じ扱いにされてしまったの?

「自分が年を取っているなんて言うのはおやめなさい。あなたはまだまだ若い。それに、本当に若く見えますよ。とても二人もお子さんがいるとは思えません。」

日本人は若く見えるのよ。それでも21歳の青年と並んだら、すぐばれると思うわ。

「ぼくには、ご主人がどうしてそんなことをしたかわからない。でも、あなたがすごく傷ついたのはわかります。ぼくを信じて打ち明けてくれたと思っています。ぼくは誰にも口外しません。ぼくはまだ子どもかもしれないけれど、それなりにいろんなものを見てきています。」

パヴェルは自分の両親のことを書き送ってきた。

(次回その17に続く)



<今日の英語>

He kept tabs on her.
彼は彼女がどうしているかをいつもチェックしていた。

NYタイムズの結婚報告ページより。行き違いがあっていったん別れたカップル。男の方はずっと彼女がどうしているか把握していた。共通の友人などから彼女の噂を聞いたり、ちょっと目立つ仕事をしていた彼女が話題に出ると、聞き逃さなかった。そうして、何年後かに再会。二人ともお互いが運命の相手だと悟り、このたび結婚式を挙げた。



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