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愛人ごっこ その15

2009.07.12 (日)


(前回その14の続き)

食事代は自分が払うと言い張る彼を無視して、私は支払いを済ませてレストランを出た。並んで歩きながら、どちらからともなく何度か腕と手が触れた。

車の中はいつもより少し静かだった。私たちはお互いの足を感じていたことについては何も言わなかった。

そのかわり、彼は私のことをいろいろ尋ねた。

いつからNYに住んでいるのか。
夫とはどこで出会ったのか。
日本を離れて、さみしくないか。
日本の家族はアメリカに来るのか。
ヨーロッパに行ったことがあるか。
ここの暮らしは好きか。
私の好きなものは何か。

私はいいことも悪いこともあるけど、ここが私の家だと思うし、ホームシックにもならないでごく普通に暮らしていることをぽつりぽつりと話した。

抗うつ剤を飲んでいることや、夫がタイでを作っていたことなどは言わなかった。そんなことをこの若者に話したってどうにもならない。

「今日は夕食を早めにして、一緒に食べましょう。仕事に間に合うように送っていくから。」

スーパーで夕食の材料を調達し、家に着くと、パヴェルは荷物をキッチンに運んでくれた。夫は買出しに付き合わないし、私が戻っても手を貸さない。「手伝いはいるかね。」と口先だけで動かない。

「わたし、いつも一人でやってるから大丈夫よ。あなたは中に入って、テレビでも見ていて。」

「二人でやればもっと早いでしょう。それに、ぼくのためにたくさん買ってくれたんだから、せめて運ぶくらいやりますよ。」

私は彼がを感じすぎているのがいやだった。ベラルーシの平均月収が400ドル相当だから、9000ドルを借りた彼としては無理もないけれど。

私は彼がそういう義務感でなく、私の家に来るのが好きだからという理由で来てほしかった。

・・・

子どもたちが帰宅し、パヴェルを見てまた歓声を上げ、水鉄砲を持って外に行ってしまった。窓から走り回っているのが見える。ほんとに子どもみたいに楽しそうだ。

しばらくして夫も帰ってきた。

「今日はモールとレストランに連れて行ったわ。仕事は7時からですって。だから夕食を早めにしていっしょに食べようと思ったんだけど。」

「いいよ。ぼくも彼と話したいね。子どもたちが彼を解放してやればの話だけど。」

夕食が始まると、ほとんど夫とパヴェルだけがしゃべった。夫が質問し、パヴェルが答え、夫が他の話へつなげていく。子どもたちは遊び疲れたのか、おとなしい。夫はパヴェルが気に入ったようだ。

早々に食事を済ませて、夫は自分のビデオコレクションや本棚を見せてはまだ話をしている。あなたこそパヴェルを解放してあげなさいよと思い、あと15分したら彼を連れて行くからと口を挟んだ。

「宿舎にはテレビもビデオもないのか。そりゃ退屈だろうね。よければいつでも来ていいんだよ。ぼくはできないけど、妻が送り迎えしてくれるだろう。」

「ありがとうございます。お金だけでなく、いろいろよくしていただいて本当に感謝しています。」

「いや、お金のことは妻に任せてあるんだ。あげたんじゃなくて、貸してるだけなんだし、もう気にしないでいいよ。あれできみが大学に行けるようになったら、ぼくたちもうれしいね。」

子どもたちは今日は送って行かないと言い、でもこの次は泊まってよとせがんだ。夫も、そのほうがゆっくりできるだろうと言い添えた。

私は黙って聞いていた。

(次回その16に続く)

<今日の英語>

Don't lose it.
カッとなるな。


片付けのできない次男の部屋が悲惨なことになっているらしい。先に見てきた夫の一言。この場合の lose blow up (激怒する)の意。She just lost it. 彼女は怒り狂った。



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