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愛人ごっこ その10

2009.07.08 (水)


(前回その9の続き)

そのとき、ガレージの開く音がした。子どもたちが「ダディーだ! ダディ、パヴェルが来てるんだよ!」と走っていく。

電話もしないで、めずらしく早い帰宅だ。虫の知らせだろうか。いずれにしても、都合がいい。

「ハイ。パヴェルが来たのよ。突然。相談したいことがあるんですって。覚えてるでしょ。次男のキャンプ・カウンセラーだった子よ。ベラルーシの。」

「ああ、覚えてるよ。相談ごとって?」

私は夫とパヴェルを引き合わせた。パヴェルはひどく緊張していた。

・・・

「彼ね、ドイツの大学に合格したんですって。でも、銀行口座のお金が足らないんですって。残高証明を大学に送って、ビザが下りたら、引き出せばいいんですって。お金、貸してあげない?」

「そりゃ、いいけど。いくら?」

「大学は最低いくらとか金額を言わないんですって。それで、彼の貯金が1000ドルあるっていうから、3000ドルくらいでいいらしいの。だから2000ドル貸してあげるのはどう?」

「合計で3000ドル? それっぽっちでいいのかな。5000ドルくらいあったほうが確実じゃないか。4000ドルにしないか。」

「ありがとう。ねえ、パヴェル。来た甲斐があったわね。」

「お二人とも、本当にありがとうございます。そんなに大金を知り合ったばかりのぼくに貸してくれて、感謝しています。必ず返しますから。約束します。ご親切は一生忘れません。」

「そんな大げさに考えなくたっていいの。あなたを信用してるから、大丈夫よ。じゃあ4000ドルの小切手を切るわ。」

私はこの青年を助けることができて、うきうきしていた。本当に5000ドルでビザが下りるのかどうか、わからなかったけれど。

パヴェルはドイツのシティバンクに口座を持っていた。そこで、アメリカでシティバンクの口座を作り、彼の手持ちのドルと私の小切手を預け入れ、残高証明を出してもらうことで話が決まった。口座の持ち主が彼でありさえすれば、ドルでもユーロでも関係ないらしかった。

運良く、うちから30分くらい離れた町にシティバンクの小さい支店があり、翌朝私がパヴェルをそこに連れて行くのだ。

・・・

私も夫も、借用証書なんか作る気は全くなかった。考えもしなかった。私はもちろんのこと、夫も人助けをしただけだと思って、すべて口約束だった。

私は夫があっさりと2倍の金額を申し出たことに驚いたが、あとになって、彼の父もかつて知人の息子の大学進学を援助していたと聞かされた。彼にとっては、そう突飛な話ではなかったのかもしれない。

それに、パヴェルの素朴な人となりで信用できると読んだのだろう。

夕食をいっしょにどうかと誘ったが、彼はキャンプ施設で夜の仕事があったので、私の車で送っていくことにした。

私一人で行きたかったが、てっきりパヴェルが泊まって一緒に遊んでくれると思っていた子どもたちは、「ぼくも行くー。ぼくもー。」とちゃっかり車に乗り込んでしまった。

幼い子どもたちには大人の話は理解できないだろうが、私はパヴェルと二人だけで話したかった。でも、夫は子どもがいっしょのほうがよかったのだろう。

私とパヴェルがこんなに親しいとは予想していなかったに違いない。当の私ですら、パヴェルが本当に目の前に現れて戸惑ったのだから。でも、これは当然の成り行きだという気もしていた。

もうとっくにヨーロッパに帰ったと思っていた彼と再び会えた。

2週間、朝と夕方だけしか話をしなかったけれど、彼は私なら手を差し伸べてくれると考えたのだろう。そして、それは正しかった。

秋には彼はドイツへ行ってしまうが、これで終わりにはならない予感があった。

(次回その11に続く)


<今日の英語>

It won't break the bank to do it.
それほどお金のかかることではありません。


お金のかからない夏休みの過ごし方をアドバイスしていた人の一言。無料コンサートもあるし、ピクニックをしてもいいし、遠くに行かなくても楽しめます。それをするのに銀行がつぶれることはありません。



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