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愛人ごっこ その7

2009.07.07 (火)


(前回その6の続き)

私はパヴェルが他の人に呼ばれたり、プログラムが始まったりするギリギリまで、ずっと彼と話をした。他のカウンセラーには挨拶だけして、すぐにパヴェルのところに行った。

中にはカウンセラーと長話をしている親もいたが、たいていは自分の子どもがキャンプでどうやっているかについてだった。

それに比べて、私たちときたら、ロシア語やベラルーシ語、ベラルーシの政治体制、ベラルーシの生活、ベラルーシとロシアの関係など、およそキャンプ・カウンセラーと話す話題ではなかった。

あの東洋人の母親はカウンセラーをつかまえて何してるんだろうと思われたに違いない。いい年してパヴェルに気があるんじゃないかと勘ぐられたかもしれない。でも、私は周りなんかぜんぜん見えなかったし、気にしていなかった。パヴェルのすぐ近くに立って、顔を見て、会話して、夢中だった。

パビリオンの中は子どもたちの歓声でうるさくて、かなり近づかないと話ができない。顔を近づけて、お互いの耳元でしゃべるようになった。

・・・

あるとき、チェルノブイリの影響について話していたとき、めずらしく彼が気色ばんできた。ちょっと落ち着きなさいと彼の腕をそっと叩いた。薄い筋肉がついた滑らかな肌。うぶ毛すらないような、つるりとした、弾力のある若い肌。

「すみません。つい。」

「あやまらなくてもいいのよ。でもあんまり声が大きいとよくないと思って。場所が場所だから。チェルノブイリはほんとに大災害だったから、そんな話を持ち出した私がよくなかったわ。でも、あなたたちは逃げなかったの。」

「ええ。だいぶ距離があったし、ぼくたちはずっと西のほうだったから。でも、ぼくはほんのこどもだったから、何もわかりませんでしたけど。」

では、彼の色の白さやつるりとした肌は放射能とは関係ないのだ。健康ならそれでいいわ。じゃあ、もっと楽しそうでもいいのに。彼にはまだ何かある。

私は彼のことが何でも知りたかった。

・・・

「キャンプが終わったらどうするの。」

「うーん、まだ決めてないんです、どうするか。」

夏だけのカウンセラーのビザでは、アメリカにもそう長くいられないだろう。ベラルーシに帰るか、またドイツかどこかで仕事を見つけるか。

「せっかくベラルーシの大学に入ったのに、卒業しなくちゃもったいないじゃない。」

「それも選択肢の一つですけど、ほんとにどうするかまだわからないんです。」

生まれ育った環境のせいか、あるいは21歳という年齢がそうさせるのか。危なっかしいと思い、でもうらやましくもあった。

普通に大学を出て、少し働いて、結婚し、子どもを生んだ私は、レールからそれたようなそんな人生ではなかった。アメリカに移住したのでさえ、結婚した相手がアメリカ人だったから当然のようにそうしただけであった。

パヴェルは私に隠していることがあると思った。キャンプに来た子どもの親にうちあける話ではないのかもしれない。

私は彼の将来についてそれ以上聞くのをやめた。

(次回その8に続く)


<今日の英語>

He just toughed it out.
彼はただ戦い抜いた。


優勝者としてのフェデラーについて意見を求められたロディックの一言。危ないときでも彼は勝負がつくまで耐え抜く。いかにも平然と簡単にやってるように見えるから、この点はこれまでもちゃんと評価されていないけれど。彼は対戦相手にこれっぽちもあせりなんか気取らせないで、厳しい局面を乗り越えるんだ。



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