スポンサーサイト

--.--.-- (--)


上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



クリック募金を始めました。下記サイトにて協賛企業のリンクを各社1回クリックすると、1円ずつ募金できます。
    JWordクリック募金

 |  スポンサー広告

愛人ごっこ その4

2009.07.02 (木)


(前回その3の続き)

ベラルーシについて調べるほどに、未知の国への憧憬が強くなった。

アメリカに来てからは、日本に居たときのような異国への興味が薄れていたのに気がついた。毎日の生活が外国になったからか、アメリカでの暮らしや仕事、結婚生活、子育てとめまぐるしい日々で余裕がなかったからか。

抗うつ剤が手放せない状況にあっては、好奇心や冒険心などひとかけらもなかった。

そして、タイ女の件が発覚して、たたきのめされて、どうでもよくなって、やっと自分を解放することができた。

は何がやりたいのだろうか。


・・・

キャンプのお迎えは4時だが、10分も早く着いてしまった。

グループによってはもうパビリオンに戻っていたけれど、パヴェルはいなかった。その日のプログラムでプールが最後だったりすると、小さい子の着替えで手間取るのだ。あるいは、カヌーをすれば道具を片付けたりしなくてはならない。

私の頭の中にはベラルーシについての覚えたての知識が入っていたが、出会ったばかりでいきなりあれもこれも話すわけにはいかない。

なによりも、私は彼のアクセントに慣れていないし、子どもたちの歓声やカウンセラー同士のおしゃべりで、パビリオンの中は相当うるさい。もとから子どもが好きではない私には、うっとうしいことこの上ない。

やることもないので、他のカウンセラーを観察する。

若いわね。特に男の子。女の子は色気づいていて、キャンプといえど、肌を出しすぎだわ。西洋人は老けて見える。それに肉付きがよすぎる子たち。きれいな女の子は2人くらいか。

大学生がほとんどらしいが、Counselor-in-Training (CIT) と呼ばれるカウンセラーの卵をしている地元の高校生もいる 。彼らは無給だが、来年カウンセラーに応募するときに経験を買ってもらえる。グループごとにカウンセラーが2人、CITが1人付いている。

・・・

子どもたちが列を作ってパビリオンに戻ってきた。パヴェルは背が高いし、やせているので遠目にも目立つ。

「ハイ、パヴェル。今日はどうでした?」

「次男君はプールが好きなんですね。楽しそうでしたよ。」

「ときどきここのプールの会員になってたの。日曜日の午前中だけ一般にもオープンしてたから。キャンプ中はないみたいね。

あのね、あなたベラルーシの人だって言ってたでしょ。わたし、ベラルーシ語があるなんて知らなかった。ロシア語をしゃべってると思ったの。White Russia っていうくらいだから。」

「ベラルーシ語はロシア語とよく似てますよ。でも違いますけど。」

「あなたは両方できるのね。」

「ええ、でも学校ではロシア語だったし、ロシア語を話すほうが多いかな。祖父母とはベラルーシ語です。」

「そう。私、あのキリル文字が読めないのよ。すてきだと思うんだけど、英語のアルファベットに似てるようで違うし、不思議な文字もあるし。」

「ぼくは英語を覚えるとき、逆でした。ロシア語に似てるけど、違ってた。」

「あなた、どうやってベラルーシからアメリカに来られたの? このキャンプにいるベラルーシの人ってあなただけでしょ。他にはどこの国から来てるの。」

「ルーマニア、ハンガリー、チェコ、オーストラリアかな。それから…。」

旧共産圏が多いのだ。年齢からしてソ連崩壊後の世代゙だけど、アメリカが見たいのかな。

「ぼくは、ドイツから来たんです。」

「どういうこと?」

「ベラルーシの大学のときに他の国が見たくなって、ドイツで1年間オーペアをしました。」

「オーペアってアメリカだと女の子というイメージだけど、ヨーロッパじゃ男の子もやるのね。じゃあ、あなたはドイツ語もできるってことね。」

「はい。ドイツ語はベラルーシの高校のときから勉強しました。」

「それプラス英語ね。英語は大学で? あら、でもベラルーシの大学には戻ってないの?」

「オーペアの1年が終わって、帰ろうかと思ったんですけど、キャンプ・カウンセラーになればアメリカに行けると聞いて、ベラルーシからよりもドイツから応募したほうがよさそうだったから。」

この子はおもしろい経歴を持ってる。それに4ヶ国語をあやつる。英語はロシア語なまりがまだ強いけど、ここに2ヶ月いれば上達するだろう。

ベラルーシのルカシェンコ大統領はヨーロッパ最後の独裁者なんて批判されてるのに、よく脱出したものだ。

「おかあさん、お腹すいた。もう行こうよ。」

もっと話をしたいけれど、今日はこれまでか。

でも、パヴェルのことがだいぶわかってきた。ドイツ経由だったのか。だから、どこから来たのか聞かれて一瞬とまどったわけだ。

ちょっとわけありの子かもしれない。

(次回その5に続く)


<今日の英語>

Everything seems to click for her.
すべて彼女の思い通りに運んでいるようです。


ヴィーナス/ラドワンスカ戦での解説者の一言。過去にウィンブルドンで5回優勝したヴィーナス。あっさり勝って、準決勝へ。



クリック募金を始めました。下記サイトにて協賛企業のリンクを各社1回クリックすると、1円ずつ募金できます。
    JWordクリック募金

 |  愛人
 | ホーム | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。