クルム伊達公子の英語
2009.06.26 (金)
38歳のクルム伊達公子がワイルドカードでウインブルドンに出場したが、1回戦で17歳のキャロライン・ウォズニアキに負けた。
私はESPNで試合を見ながら、コメンテーターの話を聞いていた。
クルム・ダテがかつて世界ランキング4位だったこと、彼女がドイツ人レーサーと結婚して引退したこと、1年前にプロに復帰したことなどが試合の合間に読み上げられた。
私は伊達選手についてはそんなに知らないが、英語でインタビューされるのがきらいという程度の知識はあった。
でも、結婚して7年も経てば、日常会話くらいできるだろう。ドイツ人は英語も上手そうだし、レーサーなら英語のメディアもこなすだろうから、二人の間は英語かな。
ウィンブルドン公式サイトによると、彼女の国籍は日本、東京在住となっているが、ウィキではモナコ在住。ご主人がレーサーならヨーロッパにも家があるのだろう。モナコの公用語はフランス語。
英語・ドイツ語・フランス語か。英語がどうしてもネイティブ・レベルになれずにイヤになる私なんか、まだまだラクなもんだ。
そんなことを考えながら、NYタイムズの記事を読んで驚いた。伊達選手の間違いだらけの英語が載せてあるのだ。
しかもわざわざ”imperfect English"なんて書いてある。そんなこと、読めばわかるわよ。なんだかいやだな。試合直後のインタビューから彼女の発言を拾っているのだが、そのままなのだ。
たとえば、ナダルだってやっと英語でインタビューをこなせるようになったものの、フェデラーなどに比べるとかなりお粗末。もちろんテニスができるからすごいのであって、英語のレベルはどうでもいいのである。
それでも、新聞記事になるときは、多少は手を加えて知性が疑われない程度のまあ正しい英語にしてある。あるいは、落とした前置詞や名詞をカッコ書きで入れる。今回はそれがない。
記事のトーンは彼女をけなしているのではなく、賢いゲーム展開だったとも書いてあった。
今度はウィンブルドンの公式サイトでインタビューを読んだ。
こちらはトランスクリプトという録音テープをそのまま起こしたもので、新聞記者の発言も選手の答えも極力発言通り。だから、言葉を選んだり、言い直したりするのもそのまま出ている。
だから、伊達選手の英語もそのまま文字になっているし、それは当然のことだ。
なぜドイツ人と結婚して、マスコミにも出る人がこの程度の英語なのか。
調べてみると、ご主人はどこで覚えたのか、「かなり日本語が堪能で、二人の会話は日本語」なのだそうだ。これでは、英語の苦手な人が上達するはずはない。それで合点がいった。
私は夫が日本語をまったく理解しない生活を20年続けてきたので、ついよそのお宅もそうだと思ってしまうのだ。
スポーツ選手がたどたどしい英語でもかまわない。あまりにもブロークンだったりアクセントが強かったりして、何を言いたいのかわからないのは困るけれど、トランスクリプトは発言そのままでいいし、むしろそのほうが臨場感があって、選手の性格が垣間見えるようでおもしろい。
でも、NYタイムズのような一般紙で、ここまで下手な英語を誰かが書く記事の中にそのまま載せる必要があるだろうか。なんだか悪意を感じる。そう思うのは、私自身のコンプレックスの裏返しか?
それにしても、試合後のインタビューはどれも同じような質疑応答になるものだ。伊達選手のトランスクリプトにあった質問もすべて想定内といえると思う。数をこなせば慣れるんじゃないだろうか。
ほとんどの選手は、記者会見よりはコートで戦っているときの方が何十倍も輝いていてカッコよく見える。すごく切れる試合運びで、感情をあらわにして、闘争心の固まりだった選手が、肩をすぼめて片言の英語でボソボソ答えるのなんか見たくない。
そのギャップが魅力的な場合もあるし、サフィンのようになまりの強い英語でおもしろい発言をする選手もたまにはいるが。
最近は、錦織など若いときからフロリダの有名な養成所でトレーニングする子も出てきた。そうでなくても、これからの日本選手は「英語がイヤだからインタビュー拒否」なんてしないであろう。もっとも、英語が話せるからと言って、ウィットに富んだ知的な返答ができるとは限らない。
ナダルの英語は通じるけれど、単純な言い回しで同じことばかりでつまらない。でも、スペイン語のインタビューでは豊富な語彙で鋭く分析し、深い知性を感じさせるそうな。
それを知りたければ、私がスペイン語を勉強すればいいのだが、これだけスペイン語が併記されているアメリカでも、私はスペイン語に興味がないのでまったく覚える気はない。
何ごとも、必要にせまられないとこんなものだ。
<今日の英語>
He is pretty laid-back.
とても気さくで大らかですよ。
「Andy Murray はどんな人ですか。」と質問された Andy Roddick の回答。
※この記事がお気に召しましたら、関連サイトへどうぞ。
私はESPNで試合を見ながら、コメンテーターの話を聞いていた。
クルム・ダテがかつて世界ランキング4位だったこと、彼女がドイツ人レーサーと結婚して引退したこと、1年前にプロに復帰したことなどが試合の合間に読み上げられた。
私は伊達選手についてはそんなに知らないが、英語でインタビューされるのがきらいという程度の知識はあった。
でも、結婚して7年も経てば、日常会話くらいできるだろう。ドイツ人は英語も上手そうだし、レーサーなら英語のメディアもこなすだろうから、二人の間は英語かな。
ウィンブルドン公式サイトによると、彼女の国籍は日本、東京在住となっているが、ウィキではモナコ在住。ご主人がレーサーならヨーロッパにも家があるのだろう。モナコの公用語はフランス語。
英語・ドイツ語・フランス語か。英語がどうしてもネイティブ・レベルになれずにイヤになる私なんか、まだまだラクなもんだ。
* * *
そんなことを考えながら、NYタイムズの記事を読んで驚いた。伊達選手の間違いだらけの英語が載せてあるのだ。
“Women’s tennis is everybody more taller, more powerful, more speedy,”
“But tennis, my opinion, is more using the head.”
“Second set, if I have extra power and energy, I think a little bit different story,”
“But tennis, my opinion, is more using the head.”
“Second set, if I have extra power and energy, I think a little bit different story,”
しかもわざわざ”imperfect English"なんて書いてある。そんなこと、読めばわかるわよ。なんだかいやだな。試合直後のインタビューから彼女の発言を拾っているのだが、そのままなのだ。
たとえば、ナダルだってやっと英語でインタビューをこなせるようになったものの、フェデラーなどに比べるとかなりお粗末。もちろんテニスができるからすごいのであって、英語のレベルはどうでもいいのである。
それでも、新聞記事になるときは、多少は手を加えて知性が疑われない程度のまあ正しい英語にしてある。あるいは、落とした前置詞や名詞をカッコ書きで入れる。今回はそれがない。
記事のトーンは彼女をけなしているのではなく、賢いゲーム展開だったとも書いてあった。
今度はウィンブルドンの公式サイトでインタビューを読んだ。
こちらはトランスクリプトという録音テープをそのまま起こしたもので、新聞記者の発言も選手の答えも極力発言通り。だから、言葉を選んだり、言い直したりするのもそのまま出ている。
だから、伊達選手の英語もそのまま文字になっているし、それは当然のことだ。
* * *
なぜドイツ人と結婚して、マスコミにも出る人がこの程度の英語なのか。
調べてみると、ご主人はどこで覚えたのか、「かなり日本語が堪能で、二人の会話は日本語」なのだそうだ。これでは、英語の苦手な人が上達するはずはない。それで合点がいった。
私は夫が日本語をまったく理解しない生活を20年続けてきたので、ついよそのお宅もそうだと思ってしまうのだ。
スポーツ選手がたどたどしい英語でもかまわない。あまりにもブロークンだったりアクセントが強かったりして、何を言いたいのかわからないのは困るけれど、トランスクリプトは発言そのままでいいし、むしろそのほうが臨場感があって、選手の性格が垣間見えるようでおもしろい。
でも、NYタイムズのような一般紙で、ここまで下手な英語を誰かが書く記事の中にそのまま載せる必要があるだろうか。なんだか悪意を感じる。そう思うのは、私自身のコンプレックスの裏返しか?
* * *
それにしても、試合後のインタビューはどれも同じような質疑応答になるものだ。伊達選手のトランスクリプトにあった質問もすべて想定内といえると思う。数をこなせば慣れるんじゃないだろうか。
ほとんどの選手は、記者会見よりはコートで戦っているときの方が何十倍も輝いていてカッコよく見える。すごく切れる試合運びで、感情をあらわにして、闘争心の固まりだった選手が、肩をすぼめて片言の英語でボソボソ答えるのなんか見たくない。
そのギャップが魅力的な場合もあるし、サフィンのようになまりの強い英語でおもしろい発言をする選手もたまにはいるが。
最近は、錦織など若いときからフロリダの有名な養成所でトレーニングする子も出てきた。そうでなくても、これからの日本選手は「英語がイヤだからインタビュー拒否」なんてしないであろう。もっとも、英語が話せるからと言って、ウィットに富んだ知的な返答ができるとは限らない。
ナダルの英語は通じるけれど、単純な言い回しで同じことばかりでつまらない。でも、スペイン語のインタビューでは豊富な語彙で鋭く分析し、深い知性を感じさせるそうな。
それを知りたければ、私がスペイン語を勉強すればいいのだが、これだけスペイン語が併記されているアメリカでも、私はスペイン語に興味がないのでまったく覚える気はない。
何ごとも、必要にせまられないとこんなものだ。
<今日の英語>
He is pretty laid-back.
とても気さくで大らかですよ。
「Andy Murray はどんな人ですか。」と質問された Andy Roddick の回答。
※この記事がお気に召しましたら、関連サイトへどうぞ。
どこでもドア |
2009.06.26(金) 05:53 | URL |
【編集】
初めまして。毎回ぐいぐいと引き込まれながら拝読しています。
私にとって、アメリカに住んでいる以上、英語は永遠の課題です。伊達選手も、配偶者が外国人というだけで英語を喋るんだろうと期待されてしまうのが日常茶飯事なのではないでしょうか。例えご主人がドイツ人だとしても。
ちなみに「誰でも英語が喋れて当たり前」と思っているアメリカ人に時々会いますが、その傲慢さにうんざりします。でもこれもkomatta3がおっしゃるようにコンプレックスの裏返しなのでしょうか。
これからも楽しみにしております。
私にとって、アメリカに住んでいる以上、英語は永遠の課題です。伊達選手も、配偶者が外国人というだけで英語を喋るんだろうと期待されてしまうのが日常茶飯事なのではないでしょうか。例えご主人がドイツ人だとしても。
ちなみに「誰でも英語が喋れて当たり前」と思っているアメリカ人に時々会いますが、その傲慢さにうんざりします。でもこれもkomatta3がおっしゃるようにコンプレックスの裏返しなのでしょうか。
これからも楽しみにしております。
たいへん興味深い内容でした。
記事のリンクさせてもらってもいいですか?
記事のリンクさせてもらってもいいですか?
サフィンって味がありますよね。
私はロディックも面白いなと思うのですが、私の拙い英語力では間違ったニュアンスにとってる可能性もあります。
マレーはけっこう大口たたきのイメージがあったので、laid-backっていうのが意外な感じです。
英語が第一言語の人たちの中には「まともな英語もしゃべれないくせに」というような態度を見せる人間がいますが、そういう人に限って完璧なモノリンガルなことが多いように思います。
私はロディックも面白いなと思うのですが、私の拙い英語力では間違ったニュアンスにとってる可能性もあります。
マレーはけっこう大口たたきのイメージがあったので、laid-backっていうのが意外な感じです。
英語が第一言語の人たちの中には「まともな英語もしゃべれないくせに」というような態度を見せる人間がいますが、そういう人に限って完璧なモノリンガルなことが多いように思います。
> どこでもドアさん
私はフェデラーのエレガントな試合が好きなんですけど、ナダルはほんとに性格よさそうですね。記者会見はダメですが、ファイナル直後の表彰台でのスピーチは好きです。
> nyXstitchさん
ガイジンと結婚したら英語ペラペラという神話は健在ですね(そういう私も伊達選手については思い込みがありました)。アメリカ人が、どこの国の人にも当然のように英語で話かけるのはおめでたいです。フレンチオープンでフランスの選手が記者会見をフランス語でやったり、フェデラーが優勝スピーチを英仏に切り替えながらやったのですが、ESPNキャスターの慌てぶりが伺えて、してやったりと思いました。
> mommy.jpさん
どうぞリンクはご自由になさってください。よくわかりませんが、普通は記事ごとの許可を取るんですか。ただの雑文ですけれど、よければいつでもお使いください。
> triple Dさん
サフィン語録みたいなのがありますね。今年で引退なので寂しいです。私もロディックはいいコメントをすると思ってました。マレーはスコットランドなまりが強くて聴き取りに苦労しています。
英語だけで生きていける人はそうなりがちですね。日本に行ったら英語が通じない!なんて驚いたり怒ったりして。そういう世界観にこっちのほうが驚きます。
私はフェデラーのエレガントな試合が好きなんですけど、ナダルはほんとに性格よさそうですね。記者会見はダメですが、ファイナル直後の表彰台でのスピーチは好きです。
> nyXstitchさん
ガイジンと結婚したら英語ペラペラという神話は健在ですね(そういう私も伊達選手については思い込みがありました)。アメリカ人が、どこの国の人にも当然のように英語で話かけるのはおめでたいです。フレンチオープンでフランスの選手が記者会見をフランス語でやったり、フェデラーが優勝スピーチを英仏に切り替えながらやったのですが、ESPNキャスターの慌てぶりが伺えて、してやったりと思いました。
> mommy.jpさん
どうぞリンクはご自由になさってください。よくわかりませんが、普通は記事ごとの許可を取るんですか。ただの雑文ですけれど、よければいつでもお使いください。
> triple Dさん
サフィン語録みたいなのがありますね。今年で引退なので寂しいです。私もロディックはいいコメントをすると思ってました。マレーはスコットランドなまりが強くて聴き取りに苦労しています。
英語だけで生きていける人はそうなりがちですね。日本に行ったら英語が通じない!なんて驚いたり怒ったりして。そういう世界観にこっちのほうが驚きます。
komatta3 |
2009.06.26(金) 19:49 | URL |
【編集】
>komatta3
ブログに関しては、私もよく知らないんですが・・・許可なくてもいいんですかねぇ〜? とにかく、ありがとうございます^^
ブログに関しては、私もよく知らないんですが・・・許可なくてもいいんですかねぇ〜? とにかく、ありがとうございます^^
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ある試合の重要な場面展開で、審判がナダルにとって有利なミスジャッジをした時、彼はそのことを知っていて、自ら申し出たそのいさぎよさと清々しさ・・・
でも、試合が終わるとインタビューされているTV画面に向かって、おねがいだからしゃべらないで〜。と、言ってしまいます。きみは、テニスをしているだけでもう充分美しいから。