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愛人ごっこ その1

2009.06.24 (水)



は、思いつめたような顔をしてまっすぐこちらへ歩いてきた

若い人ね。それに、もう2週間はキャンプにいるのに、なんて白い。こういうのをアラバスターの肌と言うのかな。

・・・

このサマーキャンプには長男が2年前に参加したことがあり、初日の手続きや毎日のプログラムなどについても私はよく知っていた。1年前の夏は日本に帰ったために、アメリカのキャンプには行かせなかった。

今年は次男も参加できる年齢になり、夏休みの間ずっと子どもたちと一緒にいることなど耐えられない私は、4月早々に2人分を申し込んでおいた。

泊まりキャンプではないので、毎日朝9時に送り届け、午後4時に迎えに行く。それでも、7時間預かってくれるのである。子どもの相手にうんざりしていた私には、その時間が必要だった

費用は安くない。でも、子守だけでなく、私ができないような魚釣りとかアーチェリー、カヌー、クラフトなど毎日いろんなことをやらせてくれる。暖かいランチも出してくれる。室内プールもある。

町が主催するキャンプはもっと安いが、カウンセラーは地元の高校生。一度、長男を入れたら、お迎えのときにワーワー泣いていたのに、カウンセラーは「あのう、長男くん泣いてるんですけど。なんでか知らないけど。」とボソッと言っただけ。プログラムはあってないようなもの。ランチもジャンクフードだった。

そんなことがあって、高くても内容のよいこちらのキャンプにしたのだ。

ここはNPOが経営していて、夏だけでなく年間を通して活動しているちょっと変わったキャンプである。

サマーキャンプの売り込みの1つは、海外からのカウンセラーが大勢いることだ。おそらくアメリカを見てみたい大学生に、住む所と食べるものがあってキャンプの最後にはお金ももらえる仕事として人気があるのだろう。

アメリカの白人と補習校の日本人としか交流のないうちの息子たちに、もっと違う人たちと会わせたいと私は常々思っていた。

それに、私は外国語が好き。大学では、ドイツ語とフランス語をかじった。そのあとも、簡単なフレーズをいろんな国の言葉で覚えるのが趣味みたいなものだった。子どもたちもよその国に興味を持つかもしれない。

・・・

初めて長男だけ参加したとき、カウンセラーの一人はアレクセイだった。

すらりとして背が高く、冷たい美貌の持ち主で、めったに笑わないロシア人。白人を見慣れている私でも、アレクセイを初めて見たときはぼーっとした。顔の造作が整っているのである。俳優でもこんなにきれいな人はいないんじゃないかと思った。

実際、カウンセラーの女の子たちは彼の周りをうろついて、中には身体をぴったりくっつけていた子もいた。でも、アレクセイはにこりともしない。

アメリカ人のお母さんたちも、アレクセイを見る。薄暗いロッジの中で彼のところだけ目立つのだ。つい視線がそっちへ行ってしまう。

その頃、私は、夫が出張のたびにタイ女と会い、メールや電話のやり取りをしていたことを調べ上げ、夫と毎日のように口論し、げっそりやつれていた。

夫は子どもの送り迎えをする気などない。毎朝どうにか起きて、サングラスで泣き顔を隠し、長男を連れて行った。長男の行くところにはどこだって自分も行きたい次男も引き連れて。

美しいアレクセイにも、おはよう、ありがとう、くらいしか話す気力はなかった。

・・・

ある日の夕方、迎えに行ったら、長男がいなかった。別のカウンセラーに聞くと、長男はトイレに落ちてしまって、いまアレクセイが世話をしている、もうすぐ来ると思う、とのことだった。

着替え持ってくればよかったなあと、滅入っているところへさらに落ち込んで待っていると、長男を背負ったアレクセイが歩いてくるのが見えた。

「トイレに落ちたんですって?ごめんなさいね、世話をかけて。」

いえ。そんなことありません。」

「汚いでしょう。歩かせてくださればよかったのに。」

「長男君がもう歩けないって泣くものですから。ぼくは平気ですよ。」

「ほんとにありがとう。うちの子、ぼんやりしていて困るわ。明日もよろしくお願いします。」

アレクセイにさようならを言ってから、長男に言い聞かせる。

もっと気をつけなくちゃだめじゃない。いったいどうやって落ちたのよ。アレクセイがきれいにしてくれたの? いい人ねえ。すごく静かだから冷たい人だと思ったけど、私なんかトイレに落ちた子をおんぶできないわよ。

アレクセイ、ぜんぜん笑わないけど、いい人なのね。ロシア人って優しいね

・・・

その後はアクシデントもなく、2週間のプログラムは終わったが、私と夫の間の問題はそのままだった

夫は開き直り、私は途方にくれて、1日中グズグズ泣いていた。夫がここまで冷酷に私を扱えることにショックを受けていた。

もちろん、セラピストと私の主治医以外には誰にも話さず、友人知人や近所の人たちはもちろん、夫と私の家族もまさかこんなことになっているとは誰も想像できなかったと思う。

他の人と会うときは、ごく自然にふるまっていたから。しかも、結婚当初から夫とはベタベタしないし、手すらつながない私だったので、特に冷えた関係には見えなかったはずである。

そうこうするうちに、なんとなく落ち着いて、夫もタイ女とは手を切ったと言い、セラピストに通いながらも私はもう泣くこともなく、表向きは元の生活に戻りつつあった。

ところが、私は夫のメールを読んでいたので、久しぶりのシンガポール出張で夫がまたタイ女と落ち合う計画を立てていたことを知った。でも、今度は黙っていた。

夫の本当の気持ちを確かめるチャンスだと思った。

そして、私が知らないはずのホテルに2人が一緒にいそうな時間を狙って、電話した。タイ女が電話に出たとき、私は驚かなかった。取り乱すこともなかった。彼女がそこにいるのはわかっていたし、むしろ出てくれてよかったと思った。

それから私はもう恐いものがなくなり、「夫が何をしようと、どうでもいい」と思うようになり、自分と夫を解放した

別居も離婚もしないで、今まで通り暮らすのだ。

次男もサマーキャンプに参加できる年齢になった頃には、夫との間はまだぎくしゃくしていたが、表面上は穏やかな生活に戻っていた。

アラバスターの肌のパヴェルに出会ったのは、そんなときだった。

(次回その2に続く)



<今日の英語>

My recourse is limited.
私の取れる手段は限られています。


目の前にいる会社の同僚が一日中小さな声で上司の悪口を言って、イライラさせられている人からの相談。彼は正社員で、私はインターンだからできることは限られているんだけど、なにかいいアイディアはありませんか。「直属の上司に話しなさい。そして、このうっとうしい同僚を反面教師としなさい。いつかは会社に不満だらけになるときが誰にでもあるけれど、ひそひそ文句言ったって何の解決にもならないってことです。」



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