スポンサーサイト

--.--.-- (--)


上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



クリック募金を始めました。下記サイトにて協賛企業のリンクを各社1回クリックすると、1円ずつ募金できます。
    JWordクリック募金

 |  スポンサー広告

アメリカでの老後

2009.06.15 (月)



スーパーで洋ナシを3つ買い、さて袋に入れようと、ビニール袋がかかっているスタンドを探した。

すると、ほっそりした白人のおばあさんが袋を1枚はずそうとしているのが見えた。せかしたら悪いと思って、必要もないのにそのへんの野菜を選ぶふりをして待った。

ビニール袋は束になっていて、真ん中あたりをつまんでピッと引っ張れば簡単に外れるのだが、おばあさんはなかなかできない。皮膚がカサカサなだけなのか、手がうまく動かないのか。

ちらっと見た私とおばあさんの目があった。おばあさんが困ったような顔でニコッとしたので、「私が取りましょうか。」と声をかけて、1枚袋を取り、入れやすいように袋の口を開けて渡した。

「ありがとう。これ、やりにくくて困るわ。」とささやくように話すおばあさん。

「そうですよね。」と言ってよく見ると、小柄な私よりもさらに背が低くて、アメリカの大きなショッピングカートがすごく大きく見えた。あれでは広いスーパーの中を押して回るのは大変だろうなあと思いつつ、自分の買い物を続けた。


*     *     *


レジでまた会った。私の前に並んでいたおばあさんのカートには、ほんの10点くらいしか品物が入っていなかった。深くて大きいカートから商品を取り出すために手をいっぱいに伸ばしている。そのままつんのめってカートの中に落ちそうだ。

手伝おうかと思ったが、私の側からは届かない。レジの人も手伝おうとしない。おばあさんが頼めば、だれか来てくれるのかもしれないが、おばあさんは黙々と一人でやっている。いつもそうやっているんだろう。私が下手に手を出さないほうがいいかもしれない。

私が支払いを終えて外に出ると、ゆっくり歩いているおばあさんが見えた。カートを押すというよりもカートに引っ張ってもらっているみたいで、ハラハラする。

一昔前のアメリカ車のバックドアを開き、スーパーの袋を入れる。トランクを開け閉めする体力がないのだろうか。

彼女がゆっくり運転席に座ったところまで見届けて、私は自分の車に戻った。

スーパーを出るところの信号で、またおばあさんのすぐ後ろになった。

信号が変わって、おばあさんはゆっくり発進する。おばあさんのペースは遅い。田舎だし、交通量が少ない時間帯だからいいけれど、歩いている様子を見てしまった私は心配になる。それでも、歩きに比べたら、ずっとしっかりした運転ぶりだった。

次の信号で私は左折したが、おばあさんの車はそのまままっすぐ行った。そういえば、少し先に、老人向けの集合住宅があった。自分で動ける人は自由に外出するのだろう。


*     *     *


NYCのように地下鉄やバスが発達している町ならともかく、車の運転ができるかできないかで生活が大きく違ってくる。

年老いた親から車の鍵をいつ取り上げるか。どうやったら自尊心を傷つけずにできるか。そのあとの外出はどうするか。ときどき新聞などで話題に出る。車は自立の象徴であって、現実問題として車がないと自宅にこもりきりになってしまう。近所の店までちょっと歩いて、というわけにいかないのだ。

たまに、白人のおばあさんと黒人またはヒスパニックの中年女性がいっしょに買い物しているのを見かける。近所の人同士か、お嫁さんかと思っていたが、付き添いの仕事であることがわかった。もちろん、友だちとか義理家族という場合もあるが。

ローカルの求人にも、コンパニオン募集というのが定期的に載る。訪問看護士でも家政婦でもなく、コンパニオン。これは日本でいう接客コンパニオンや催し物にいる案内嬢ではない。

例えば、「90歳の父と月曜日から金曜日までの昼間いっしょに過ごしてくださる方。簡単な料理と掃除。入浴やトイレの介助は不要です。」とか「週3回、87歳の女性がきちんと薬を飲み、食事をするかどうか、見てくださる方。お医者さまへの付き添い。運転免許を持っている方希望。」

寝たきりとか病気ではないけれど、老齢のために一人にはしておけないというケースである。ナースやホーム・ヘルス・エイドといった資格は問わない。

見知らぬ他人にお金を払って家族の代わりをしてもらう。家族が遠く離れた州にいる場合(アメリカには多い。うちも西海岸と東海岸ですぐ飛んでいけないし、しょっちゅう行けない)、他にどういう方法があるだろうか。老人ホームは高いし、行きたがらない老人もいる。

今日見たおばあさんは、自分で運転し、カートを押せる限りは一人で買い物に来るだろうと思う。それはおばあさんの支えにもなっているかもしれない。


*     *     *


30年後の自分をふと考える。

夫は私より10歳年上。あるときから私だけが運転手になる可能性が高い。たぶん介護役も。そして、まず確実に未亡人になる。お金がいつまで続くか。子どもたちには頼りたくない。朝から脂っこいソーセージを出される老人ホームはいやだ。でも、日本人社会とほとんど関わらずに生きて、最後に日系老人ホームというのもなんだか勝手だな。

アメリカに長く住んで英語で生活してきたのに、年を取って日本語しかわからなくなった人の話を聞いたことがある。赤ちゃん返りのついでに、母国語に戻ってしまうのだろうか。

私は夫に先立たれても日本に帰るつもりはない。お墓もお葬式もいらない。遺灰は、うちの裏庭の隅っこ、前に飼っていた猫を埋めたあたりにまいてもらって、そうして土に還りたい。

【関連記事】
アメリカの老人ホームのメニュー 2009.10.10
理想の老人ホーム 2010.11.09



<今日の英語>

You can beat that.
あの車より先に行けるよ。


左折しようと信号で待っていたら、直進する乗用車が何台か通り過ぎた後に大きなトラックがゆっくり向かってきた。かなり距離がある。夫が、いま発進すれば間に合うぞ、とせっついた。このbeatは、打ち負かす、先んじるの意。



クリック募金を始めました。下記サイトにて協賛企業のリンクを各社1回クリックすると、1円ずつ募金できます。
    JWordクリック募金

 |  社会  |  コメント(4)

Comment

日本帰国も視野に入れたほうが

たぶん、日系と言っても他の人種もいると思います。
プライベートな施設はわかりませんが、
補助を受けている施設だと日本人だけという訳にはいかないようです。
私が見学した施設は低所得層という条件があり、日系という名ではありましたが
入居者は日本人以外のアジア人、ヒスパニックなどが半数近かったです。
また、寝たきりになると他の施設へ移動になるそうで、最後の時を日本語と日本食で過ごしたいなら
日本へ帰国するか、自力で日本人のケアギバーを確保するしかないかも知れないです。

お金と人間関係、大切ですよね。
歯痛 |  2009.06.16(火) 01:47 | URL |  【編集】

私は日本に住んでますが、葬式もお墓も何もしてほしくありません。遺灰は海にまいてほしいです。
もしこのまま独身で最期を迎えたら、誰に遺言しておこうかと、たまに考える27歳です…(笑)
きみまろ |  2009.06.16(火) 05:28 | URL |  【編集】

老後

私はアメリカに移住して日が浅いですが、老後は日本に帰国とは考えてません。それがいいとも思いません。長くアメリカにいた人にとって日本で老後を過ごすことは狭い世界に閉じこもるだけのように思います。アメリカの老後が孤独だからと言って日本での老後で孤独を癒されるとも思いません。
私の大正生まれの義父ですが、日系老人ホームにいます。ここでは演歌が流れ、日本語を話すケアの方もたくさんいますし、何でもが日系人、つまり日本文化中心です。三味線、日本舞踊、民謡等芸を披露しにくる方もいます。訪問する私としてはここがアメリカであることを忘れます。日本食も出ますし、その人に合った食事をだしてくれます。とは言っても介護が必要なお年寄りは食べられるものが限られてきます。もちろん、アメリカの良いところも取り入れてますし、普段話すのは英語です。

そういえば、義父を訪問したある日、英語が話せない日本人のお婆さんが、車椅子から落ちて転んで、ケア係の方が「日本語を話せる方」ということでホーム内を探していて私が通訳をしたことがあります。おそらくアメリカに嫁いだ娘が、日本で一人ぼっちになってしまったお母さんを呼寄せたのでしょう。

私は子供はいませんが、子供がいようと、いまいと状況によっては、一人で介護を受けながら最後は生活する人が多いのだと思います。
マリナ |  2009.06.16(火) 10:33 | URL |  【編集】

アメリカンライフの果て

人それぞれだとは思いますが、日本人がアメリカ社会で独り老後を生きるには、それなりに厳しい現実があると思います。私はニューヨークに30年近く住んでいますが、病気をして病院に初めて入院した時に、その厳しい現実を体験しました。
4人部屋の中で日本人は私ひとりだけ。あとは全員アメリカ人でしたが、夜中に救急で入院したアメリカ人の老いた男性が、カーテンを閉めて横になっていた私を知らずに、他の入院患者や看護婦との世間話しから、戦争の話題をし始めたのです。
「ジャパニーズのやつらが攻めてきて...」と始まったところで周りが男性の話しを遮り、そこに寝ているのが日本人であることを小声で告げていました。
入院中は病室の中での会話にも参加できず、朝昼夜と出されるものは油っこい肉もの料理や、こってりしたソースものばかりで、コーヒーよりはお茶、梅干しのお粥やお茶漬け、うどん物などが無性に欲しくなりました。
経済的に大きな余裕があれば別でしょうけれど、歳を取ってくると、若い時にはへいちゃらだった人種の壁や文化、習慣の違いが浮き彫りになってきて、とても面倒なことに思えてくるものです。

ケンケン |  2012.03.29(木) 00:39 | URL |  【編集】

コメントを投稿する

URL
コメント
パスワード  編集・削除するのに必要
非公開  管理者だけにコメントを表示  (非公開コメント投稿可能)
 

▲ページトップへ

Trackback

この記事のトラックバックURL

→http://halfwaymark.blog114.fc2.com/tb.php/146-c2bdfd77

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事へのトラックバック

▲ページトップへ

 | ホーム | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。